訳あり少女は、転生先でも散々な目に合う道を自ら選び続けて、みんなの幸せを願わずにはいられない性分のようです

珠宮さくら

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たくさんの祝福を持って生まれることになったのはアンジェリーカが転生者で、波乱万丈の人生を送っていたから、それを見かねた神様がくれたものだと思っていた。

神様が何度となく戻ってきてしまう彼女に寿命が尽きてもいないのに戻ってきてしまうことを何かの手違いのように思っているとアンジェリーカはずっと思っていた。

あまりにも早く戻ることに世界があわないのだと思ってくれたからこそ、別の世界に行くことをすすめてくれたものと思っていたのだが、その考え方がそもそも違っているなんて万が一にもないと思ってすらいた。

そのまま、この世界へと転生させてくれたのだが、その際にアンジェリーカは記憶があるままがいいと言うだけで、他のオプションなんて望んではいなかった。

贅沢な願いにしか聞こえないだろうが、アンジェリーカは普通がよかった。貴族でなくてもよかった。平民で、貧しくとも、慎ましやかに生きていられれば、それでよかったのだが、この世界で貴族に生まれてしまったのだ。そんなことを言ってはいられない。祝福の数や魔力からして、平民として生まれていたら、売り飛ばされていたかも知れない。とてつもないお金が舞い込むことになって、それで金儲けしない親が、この世界にどれだけいることか。そう考えれば、初めから貴族のままの方がまだマシだったかも知れない。

でも、そもそもアンジェリーカの勘違いがかなり含まれていることに本人は全く気づいていなかった。

前の世界で生まれ変わるたび、それまでの家族や周りの人がもう一度会いたいと思ってくれたことや思い入れが深すぎたことで、それに無意識に応えようとしている自分がいたなんて誰が思うだろうか。それこそ、夢を見ていた人間が、どんな夢を見ていたかを正確に全部を覚えているようなものだ。

目が覚めたらすべて忘れてしまって何を見ていたかも忘れてしまうような夢を毎回見ていたようなものだ。

生まれ変わるたびに新しい人生に支障をきたすことになるほどに思われていて、それに新しい人生を上手く生きることよりも、大変なことになるとは思っていないせいで、とっちらかっていたなんて、アンジェリーカは全く思っていなかった。

それにアンジェリーカを本当に必要としている者たちにとって、唯一自分たちを助けることができる存在だとまだ起こってもいない状態から、認識され続けて呼ばれていたなんて誰が想像できるというのか。

それが複雑に絡み合い、前の世界では生きづらいことになっていることに気づいていなかったことも大きかった。

ユヴェーレンの世界に転生することになり、アンジェリーカを必要としているものが、この世界にいたのたが、アンジェリーカの周りがいつも忙しなくしているせいで、アンジェリーカはその存在に気づけてはいなかった。

ガガガという無線機から流れる音のようなものが、アンジェリーカの耳に聞こえていた。時折、単語を拾うが何を言っているのかが全くわからないものだった。


(人が何かを話しているようだけど、何を言っているのかがわからないな。一体、この声はどこからしてるんだろう?)


いや、完全に気づいてはいないわけではなかった。何かとちょっとしたことで、イライラして暴走していたのも、無意識のうちに必要とされているものを感知していたからかも知れないが、それでもアンジェリーカはまだまだ起きている時にそんな存在がいることに気づいてはいなかった。

夢の中で、何かに呼ばれているような気がするが、それも気のせいだろうと思うレベルで起きると全く覚えてはいなかった。

高熱を出して寝込んだ時に1番深いところで、雑音がそこかしこに聞こえていたが、それを体調が良くない時に聞いていたせいで気持ち悪くなってしまい、そこから悪夢を見てしまっていた。

ノーロープジャンプの夢だ。暗雲立ち込めて、雷があちこちで光るところをすり抜けるように落ち続けるのだが、雷雲を抜ける前に雷に打たれるというものだった。最悪すぎたが、それすら目が覚めれば覚えてはいなかった。ただ、酷い寝汗をかいていた。


(酷い夢を見ていた気がするけど、何見てたんだっけ? 起きる寸前まで見ていたはずなのに。……う~、寝汗が酷いし、気持ち悪い)


今度こそ、何不自由なく生活が出来るようにと公爵令嬢の身分と困らないようにとたくさんの祝福を与えてもらい、アクシデントで早死しないようにと高い魔力までもを惜しげもなく与えてくれたというのにアンジェリーカは、転生してから散々な目に合ってばかりいて、何とも言えない顔をよくするようにまでなっていても、自分がこの世界でどれだけ必要とされている存在なのかもわからずにいた。

それどころか。自分の存在が危険なものにすら思え始めていた。


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