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しおりを挟む人間たち、みんなが天国行きとなった。でも、それが気に入らなかったのは、エルフたちだ。自分たちが瀕死の状態となっているのに救世の乙女は、何もしてくれず人間たちばかりを助けるのに忙しくしていたとして、エルフたちの何人かは本来存在している世界にアンジェリーカの力によって戻ることをせずに残り続けて、恨みつらみを増幅させ続けていた。
人間が憎くてたまらない。そんな感情の矛先が、アンジェリーカへと向かうことになったのだ。
「おのれ、何が救世の乙女だ! たかが人間の分際で、我々よりも神に愛された存在がいてたまるものか!」
「そうだ。あんな女が、救世の乙女なはずがない!」
アンジェリーカのことをすっかり目の敵にしているエルフたちは、病みすぎていた。ただですら、弱っていて元々見目麗しい容姿はしていなかったが、それどころではなかった。
どす黒いオーラを放つようになっていて、目はみんな血走っていた。凶悪な顔つきになっていて、その姿はまるで悪魔のようだった。そんな姿を見て、誰がエルフだとわかるだろうか。
もとより、この世界でエルフの存在を全て消したのはエルフたちだ。人間たちは、エルフがいるなんてアンジェリーカ以外、誰も知らないままだったこともあり、彼らを見てエルフだとは誰も気づくことはなかった。
エルフたちは自分たちが死ぬのなら、自分たちを助けてくれず、見捨てることにしたアンジェリーカを道連れにしようとした。
彼女は決して何もしなかったわけではない。エルフたちが元々住んでいた世界に行けるようにしていた。
こちらに来たのは、人間たちと共存しようとしたエルフがいたことで移り住んで来たようだが、人間たちと自分たちを比べるようになり、そのうち人間を見下すようになって袂をわかつことになったようだが、それもエルフたちは綺麗に捻じ曲げて都合のいいようにしたようだ。
アンジェリーカの提案を拒否して、毎回戻らない者たちが徐々に増えていって、残った者たちが憎悪をむき出しにして逆恨みをしたのだ。
アンジェリーカは、自分の生き残ることを度外視して、ユヴェーレンの世界の人間を天国行きにして魂を救うことをし続けていた。人間たちが幸せになることを願い祈り続けて、ようやく成就したと安堵したところで、エルフたちの逆恨みによって死ぬことになった。
もっとも、エルフたちの逆恨みが爆発していなくとも、アンジェリーカはもう限界をとっくに迎えていたのだが、エルフたちは自分たちが満足できれば、それでよかったようだ。
殺さなくとも、死んで消えようとしているのをわかっていても、ただでは死なせたくなかったようだ。それほどまでにアンジェリーカが憎くて仕方がなかったのだろう。
エルフたちの逆恨みによって、アンジェリーカはやっと念願成就したことに喜んでいたところで、死ぬことになったのだ。
(どう、して……?)
エルフたちに殺されることになったことにアンジェリーカは驚愕してしまった。すっかり、恐ろしい形相と成り果てたエルフたちを見て目を見開いていた。
(私が、しようとしたことは、間違っていたってこと……?)
「きゃー!!」
「悪魔だ! 悪魔が、アンジェリーカ様を殺そうとしている!!」
(違う! 悪魔じゃない!!)
アンジェリーカは、薄れゆく中で、もう使いきったと思っていた力を振り絞ることにした。
このまま、エルフがユヴェーレンの世界にいたら、悪魔のままにされてしまう。そんなわけにはいかせないと元いた世界に帰すことにした。
そこに帰れば、彼らも数百年に一度の危機に見舞われて具合を悪くすることもなくなる。
最後までエルフのこともアンジェリーカは見放すことができなかった。それを望まれていないのは明らかだったのに。
(はじめから、こうして、いれば、よかった)
「アンジェリーカ様! しっかり!」
「すぐに医者を」
1番はじめに会った時とは、まるで違う人たちがみんなアンジェリーカのことを心配して、騒いでいる声を聞きながら、いい人生を送れたとアンジェリーカは微笑んで目を閉じていた。
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