高校生の頃に同じ場所にいたことを僕だけが知っている

珠宮さくら

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僕は、伯母が検査入院したと聞いて毎日のようにお見舞いに病院にいた。

最初は、遠慮していた伯母だが病院にいい思い出がないこともあり、僕が暇を持て余しているのに付き合ってくれることになった。

従弟妹たちは、花屋をしているし、叔父さんも仕事でお見舞いには中々来れていないようだ。

僕の奥さんも来たがっているが、丁度そろそろ生まれそうなこともあり、出産を終えたらお邪魔させてもらうことになっていた。


「そういえば、凪。高校生の時に二種類のリボンをラッピングに使おうとしてた意味、わかった?」
「叔母さん、いつの話しだよ」
「わからないのね」
「んー、わからないな」
「だろうと思った。あれは、あんたの無意識だもの」
「?」


僕は、依頼主とそのラッピングされた花束を貰う人が上手くいくように直感で選んだ色を結んでいたようだ。


「……マジで?」
「それに赤いリボンもよ。あれは、運命の赤い糸ね」
「……なるほど」
「凪は、人の想いを結ぶのが上手いから、私はすぐにわかったわ」


僕は全く気にしていなかったが、意味があったらしい。そんな話をして数日して、叔母は亡くなった。

検査入院だったはずで、結果が出る前にあっという間に亡くなってしまって、僕だけでなくて、みんなが驚いてしまった。

検査結果は、癌だった。

もしかすると叔母さんは、わかっていたのかも知れない。

更に母さんも、同じ年に亡くなった。癌だったと聞いたが、叔母さんの時より何ともなかった。

親不孝だと言われるのも無理ないかも知れない。

でも、その日に僕にとって、末っ子となる娘が生まれて、複雑な日になったのは言うまでもない。

我が子の誕生日で、母さんの命日となったのだ。

まぁ、うん。上の子は祖母の命日で、真ん中は父さんの誕生日だったりするから、意味がないわけがないのだろうが。

叔母さんの花屋は、従弟妹が引き継ぐことになった。2人とも、叔母さん譲りでセンスも良かった。

叔父さんは、叔母さんがあっという間に亡くなったことで、茫然自失となっていて心配したが、従妹が何かと世話をやいているようだ。

僕は、あの花屋に行くたび、伯母がいるような気がし続けた。そこで、従弟妹たちがお客様たちに満足いく花を誂えているのを見て、僕もそこに入りびたい気持ちでいっぱいになりながら、家族の待つ家がより恋しくなってしまった。

矛盾しながら、従弟妹たちが張り切って作った結婚記念日の花束を受け取った。


「やっぱり、凪兄さんは花が似合うよね」
「そうかな?」
「うん。琴葉さんが、羨ましがってたよ。女の私より似合ってる気がしてならない時があるって」
「え……?」
「おい、真理。余計なこと言うなよ」


従弟妹たちが喧嘩となったが、僕は複雑な気分と嬉しい狭間に苦笑してしまった。

まぁ、最後は花が似合うと言われて、女も男も関係ないと言いたいところだが……。

それを奥さんに言われるのは、堪えるな。

そんな風に落ち込みながら帰って、何があったかを伝えると子供たちに全力でフォローされ、奥さんにもフォローされ、複雑さは増すばかりだったが僕はそういう星の下に生まれたようだ。


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