最愛の亡き母に父そっくりな子息と婚約させられ、実は嫌われていたのかも知れないと思うだけで気が変になりそうです

珠宮さくら

文字の大きさ
10 / 15

10

しおりを挟む

ガイエ国王の子爵家では、ヨランダが留学生に選ばれていたことを知って、義姉のアンリエットは学園で恥ずかしそうにしていた。

この国では、留学する理由が男漁りや女漁りのためと思われているせいだ。

もっとも、直前まで婚約者がいて、破棄をしたのも留学が決まった方ではないのだが、全てはヨランダがしたかのようにして、アンリエットは外面をよくしてできた義理の姉を演じていた。


「恥ずかしい限りだわ」
「君が、恥入ることはない。全ては、ヨランダが悪いんだ。全く、破棄して良かった。まさか、留学が決まっていたとは思わなかった」


そんなことをアリステッドが話していた時だった。それまで、黙って聞いていた令嬢が、こんなことを言い出したのだ。


「いくら元婚約者であろうとも、名前を呼び捨てになさるのは、おやめになられた方がいいわ」
「は? なぜだ?」
「ご存じないのですか? ヨランダ様は、あちらでフェルギエール侯爵家の養子になられたのですよ」


サラッとそんなことを令嬢が言ったが、アリステッドはすぐにありえないと言った。アンリエットは、眉を顰めていた。


「そんなわけないだろ。破棄されて傷物になって勘当されたのに」


すぐさま、馬鹿にした物言いをしたのは、アリステッドだ。

それに返したのは、別の子息だった。


「事実だ。あちらの学園で、数十年どころか。数百年単位の才女と言われている。留学のもくても、あちらの学園の選択授業全てを受けたかったからだとか。よく知りもしないで、馬鹿にするのはやめた方がいい」
「そうやって、頭のいいものを遠ざけるせいで、ここの学園の学力が世界で一番低いし、この国が他所で出来損ないであろうとも、簡単に卒業できると馬鹿にされるのよ」


頭がいいものたちは、他所の国からここの出身だと聞くなり縁談の話がなくなることにげんなりしていた。そのため、留学しようとしても、ハードルが高すぎて留学できないのだ。

それこそ、他の学園を卒業したとなるとそれだけで、いいところに嫁げたり婿入りできるチャンスが広がるのだが、それすらできなくなっている。

そんな不満が爆発したのも、ヨランダが留学が決まった矢先にこんなことになったからに他ならない。我慢の限界を迎えたのだ。

前までは、何か言い返して、ヨランダの留学のことが台無しにならないかと口出しできずにいたのだが、それもなくなった。

するとどう聞いても、アンリエットがヨランダを貶めるためにしていたのは明らかなことばかりなのに。ヨランダが気に入らないからとアンリエットの味方をしている連中が、いなくなってもなおあれこれとヨランダを侮辱するのを耳にして、我慢するだけ無駄だと思ったのだ。 

そんなことをするより、もうヨランダに迷惑をかけることにはならない。それならば、言いたいことを言ってやろうと思う者は、1人、2人ではおさまらなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

処理中です...