初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

文字の大きさ
14 / 112
第1章

14

しおりを挟む

ウィスタリアは、婚約者がしでかしたことを挽回するのは、どんなに上手くいっても卒業するギリギリになると思っていたが、マルグリットが以前言っていた通りに助けてくれることになった。

彼女の婚約者の家は、隣国にあり凄いパイプを持っていたことで救われたところが大きかった。

それにマルグリットも、お茶をした時に尽くしに尽くしすぎていると言ったのを後悔していたようで、それをどうにかできるのが自分ではなくて、婚約者になることに歯がゆそうにしていたが、それでもそれが大いに役立ったことを知って共に喜んでくれた。

そうなったのも、落ち込んでいた彼女をウィスタリアが目にしていたのも大きかった。


(あんなに落ち込ませてしまって、申し訳ないわ。マルグリットのせいではないのに)


お茶に誘ったせいだと思って落ち込んでいたのは、マルグリットだけではなかった。あの時、お茶くらいと誘ってくれた令嬢たちは、みんなそこまでだったことを知ることになったのだ。

ウィスタリアは、それもあって、これはチャンスなのだと思うことにした。挽回するどころか。味方というか。同じ夢を見て実現しようとしてくれる人を増やすためのチャンスだ。


(そうよ。そのためにも隣国で、マルグリットの婚約者の方にこの事業のことをわかってもらわなければ)


他の者なら、そんなのをチャンスだと思えないと言いそうだが、ウィスタリアはこれが必要だったと思わせるべく動いた。

ウィスタリアに申し訳なかったと謝らせたくなくて、みんなが思ってくれたからこそ、更に発展することができたと言いたいのもあり、ウィスタリアはこれまで以上に気合をいれて動いた。


「マルグリットが、あなたのことを唯一無二の友達だと言うだけはある。ぜひ、父と会ってくれ。それと私の弟の友人にも会ってくれないか?」
「弟さんのご友人ですか?」


年上の方々に会うように言われることはよくあったが、弟の友人に会ってほしいと言われたことに首を傾げた。


「あぁ。きっと、あなたと話が合う。弟と私は少し年が離れているんだが、その友人はかなり頭がいいんだ。私も、時々どころか。中々ついていけないようなとても聡明で、古代語も堪能なんだ。私と話していても、退屈そうにはしないが、あなたとなら退屈だという顔を隠そうとはしないだろう」
「そんな、私程度では、そんなに聡明な方の相手が務まるとは思えません」


(年の離れた方で、更に古代語が堪能とあらば、婚約者になれなくて、古代語を学ばなくなって数年経つ私では、役不足だわ)


「そんなことはない。マルグリットから聞いた。あなたも、古代語が堪能だと。私は、かじった程度でしかないんだ。だから、私ではどうにも退屈させてしまうことしか言えない。父上も、堪能とまではいかない。本人が、そう言ってはいないんだが、平凡な私たちでは退屈だと思られても仕方がない」
「……」


(なら、益々会いづらいわ)


過度な期待をされていることにウィスタリアは、どうしたものかと思ったが、どうしても頼みたいと言うので困ってしまった。

まずは、マルグリットの婚約者の父親と会い、息子同様に幼い息子の友人に会ってほしいとこれまた頼み込まれてしまったのだ。

あまりにも必死に会ってほしいと言われるので、ウィスタリアはそうすることにした。期待に添える自信など、ウィスタリアに欠片もなかった。

だが、会ってみると色んな話で盛り上がることになったのだ。

ウィスタリアですら、年下だとは思えないほどの博識っぷりで、マルグリットの婚約者とその父親も一緒にいたのだが、ウィスタリアたちの会話に全く入っては来れないまま、その彼が凄い!とウィスタリアの話を聞いて感激して大喜びしたのだ。


「あなたは、凄い人ですね」
「え?」
「あの方が、あんな風にはしゃぐのを初めて見た。年相応な姿など、見せたこともない」
「……」


ウィスタリアは、聡明すぎるため、同い年の子供と同じことではしゃぐことができなかったのだろうとすぐにわかった。


(私は、同じように夢を語らえる方がいたからよかったのよね。……あれ? 今の王太子とそれをしたのだったかしら? 今の王太子ではなくて、他の方だったような……? この方のような方と私は……)


そんなことを思っていると……。


「ウィスタリア嬢。時間は大丈夫ですか?」
「はい。今度は、何のお話しましょうか?」


目の前で、年相応に楽しそうにする少年にウィスタリアは、懐かしいものを感じていた。

でも、それは誰と比べてのことかを考えないようにした。ただ、楽しむ時間は限られている。よそ事など、今は考えずに満喫しようと思うことにした。

聡明な少年が、凄い!と言うことを聞きつけてくる者も多かった。

だからこそ、マルグリットの婚約者の父親もこの事業は上手くいくと思ったようだ。

それでも、検討してみると言い、数日して……。


「ぜひ、スポンサーにならせてほしい」
「っ、あ、ありがとうございます!」


一緒に行ったソレムの父親は感激していた。それだけではない。隣国では、ウィスタリアと少年が楽しげに話すのを聞いているだけでも素晴らしいとなり、事業のことよりも、聡明な2人の古代語の討論を絶賛してくれ、多くの貴族がスポンサーに名乗りを上げてくれるまでになったのだ。

その中の殆どが、マルグリットの弟の友人が絶賛していただけはあるとウィスタリアのことを褒めたのだ。

少年もさることながら、ウィスタリアは彼女が思うほど古代語に関しても、その他に関しても、王太子の婚約者になるためにと必死に勉強したことは無駄にはなっていなかったのだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結済】王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。 けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。 「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。 ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。 そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。 学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。 けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。 暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。 ※10万文字超えそうなので長編に変更します。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

【完結】前提が間違っています

蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった 【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた 【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた 彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語 ※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。 ご注意ください 読んでくださって誠に有難うございます。

処理中です...