初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第1章

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自分の家族のことになるとてんで見通しが甘くなるようだ。特に妹のことになると希望的観測から、理想の家族というより、姉妹を想像してしまうようだ。


(もっと早く気づけたら、こんなことにならなかったのに。私が、思い描いた未来を叶えるために家を出たから。一番身近で大事な妹の未来を潰してしまった。何を言われても、この家からは出なければよかった)


そんなことを思っていれば、プリムローズは両親の小言に腹を立てて居なくなっていた。いつも、そんなことをしているようだ。

そんなこともウィスタリアは知らなかった。こんな時間に祖父母のところに行くのに何の心配もしない両親に驚いているというのに。プリムローズのことなどいなかったようにウィスタリアのことを心配そうにして、婚約破棄されたことを怒っていた。

それこそ、ウィスタリアが見たことないほど憤慨してくれているが、それを見てもウィスタリアは何とも思うことはなかった。両親は、ウィスタリアのためと言いながら、自分たちの今後を気にしているのだ。


「えー! お姉様、婚約破棄されたの!?」
「っ、」


突然、祖父母のところに行ったはずの妹が戻って来て大きな声を出したので驚いてしまった。


「いきなり、大声を出すな」
「何で、戻って来たのよ」
「お姉様が、いつまでいるか聞き忘れたんだよ。でも、そっか。破棄されたなら、そんなこと聞く必要ないわね」


両親が激怒するのを聞きながら、プリムローズはなぜか、ニヤニヤした顔をしていた。


(その顔、気持ち悪いわ。何のつもりなの……?)


妹のそういう顔は、見たことないと思っていたが、化粧のせいで見覚えがなかったようだ。初めて妹のやることで、気持ち悪いと思っていた。


(あ、お祖母様が、意地悪いことを思いついた時の顔だわ)


どうやら、祖父母の家で過ごすうちに似てきたようだ。顔つきや仕草でも悪影響を与えているようだ。


「お母様そっくりな顔はやめて。その顔、人に見せたら駄目だと言ってるでしょ」
「お母様は、そればっかりね。自分が真似できないからって八つ当たりしないでよ」
「は? そんな顔、真似できなくて結構よ」


そこから、母娘の喧嘩となった。

プリムローズはわがまま放題で何の努力もしようとせずに祖父母が孫可愛さに色々していて、すっかり感化されてしまったようだ。

両親は、ウィスタリアが家から出て行ってしまってから、姉のいなくなった寂しさからなのか。両親を質問攻めにして、煩わしくなってしまったようだ。

そんなプリムローズを可哀想だと面倒みるようになったのが、母方の祖父母だ。プリムローズを猫可愛がりしていたせいで、構ってくれる家族は、祖父母だけだと思ったようだ。

そちらの祖母にプリムローズがそっくりな性格をしているせいで、祖父は若い頃の妻を思い返して嬉しくて仕方がないようだ。祖母も、自分そっくりな孫を実の娘よりも可愛がっていた。

でも、責任を取るのが嫌いな人たちだ。何かあっても、誰かのせいにしても、自分たちのせいではないと言う人たちだ。

幼い妹を街に連れて行って、迷子にさせたまま、戻っているはずと思うような人たちだ。その時は、両親は激怒していたが、今はプリムローズを煩わしいと思っているのが丸わかりとなっていた。

母は、実の母親から散々な目に合わされてきたようで、毛嫌いしていた。それこそ、その祖母に懐いたプリムローズをも毛嫌いしたようだ。

自分に似ていないからと冷たく扱って、酷い仕打ちをしている自覚もないようだ。


(それこそ、酷い仕打ちをしているのは、祖父母だけでなくて、両親もそうなのに。そして、私も人のこと言えないわ。迷子になったとわかっても、責任のなすり合いをして喧嘩をして、探す算段もしないような人たちだったのに。何で、今まで忘れてしまっていたのかしら。普通のことすら、してくれたことがなかったのに)


ウィスタリアは、そんなことを思い出していたが、プリムローズは母に色々言われても、ニヤニヤ顔を姉に向けてやめることはなかった。

他の人が見ていたら、絶対に良からぬことを企んでいると言いそうなところだが、ウィスタリアがそんなことを思うことはなかった。

ソレムに色々言われて腸が煮えくり返っていたのが落ち着いて、妹が何かする気だと警戒することもせずにただ自分が姉としての役目をしなかったことを酷く後悔していた。


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