初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第1章

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婚約者は、一緒にいると来てくるとは言うが、一緒にいなくともジュニパーも同じだった。婚約する前から、ある意味、ジュニパーと王太子はそっくりだったようだ。

試験の前に卒業できなければ、王太子との婚約破棄をさせると言われたのだ。そんな叔母たちが、どうにかしてくれると思って余裕でいたら、そんな不正が許されないことに焦るかと思えば、ジュニパーは……。


「具合が、悪くて……」


それが物凄く酷いもので、慌てることなく具合が悪くて、たまたまだと言い逃れたのだ。他のことなら、できると言うのにそんな風には全く見えないと言う者はいなかったから、何とかなると思ったようだ。

すると彼女は、王妃自らが古代語の進み具合を見るための試験に挑むことになったのだが、ジュニパーは……。


「え? 古代語の試験を王妃様が……?」
「学園の試験がいまいちでも、王妃様自ら出される試験に合格しなければ、結婚は認められないのは、ご存じですよね? もう、何年も婚約なさっているのですから」
「へ?」


古代語をやたらと覚えさせようとしていたのをジュニパーは、ただの意地悪だと思っていた。そんなわけのわからないものを王族にも、王族に嫁ぐ者にも必須なことだとは思わなかったのだ。

思わなかったとジュニパーは言うが、散々説明したはずであり、聞いていないと言わせないために全て記された本をジュニパーの部屋に置きっぱなしにされた。

わからないことは調べて、その都度、きちんと暗記してくださいと言われても、それも意地悪だと思っていた。

わからないことがあれば、側にいるのに聞けばなんとかなるとジュニパーは思っていた。


「王妃様自らの試験です。一度落ちると2年以上間を置くため、次の試験をその間は受けられなくなります」
「な、何、それ、そんなの……」
「知らないはずが、ありません。婚約者になったら、目を通すようにと言われた本があったはず、そこに全てが記されています。わからないことも調べて暗記するようにとも言われていたはずです。もう何年経つのですから、流石に覚えはれたはず」


そんなこと知るかとジュニパーは思っていたが、それでも試験を受けた。自信がなければ、すぐに受けなくとも良いのだが、そんなことも知らないジュニパーは、断り方も知らず散々だった。

ジュニパーが、その試験に合格できるわけもなく、エルウッドの方も古代語の試験も酷いこともあり、王太子としても、王族としても認められるレベルではないとして、廃嫡することになった。

ジュニパーは、廃嫡されることになるのも知らず、王太子の婚約者から是が非でも降りたくないと頑張っていたが、廃嫡となった途端……。


「王太子でなくなるなら、意味がないわ」


あまりにもあっさりと婚約を破棄すると言い出したのには、誰もが呆れた。エルウッドは、婚約破棄を嫌がるのは、自分をそこまで好いているからだと思っていたら、そうでなかったことに呆然としていた。

そして、次の王太子は誰になるのかと国王に聞いたのだ。


「そんなことを聞いて、どうする?」
「婚約するのよ」
「して、2年後の王妃の古代語の試験に合格できるまでになれると?」
「それ、何なの? あんなの覚えたって仕方がないじゃない」


そんなことを平然と言うジュニパーに養父母たちは慌てふためいた。養父母たちは、王宮に呼ばれたのは、ついに結婚を認められたと思って意気揚々と来たが、この叔母たちも古代語の試験が王妃からされて受からなければ結婚を認められないことを知らなかったのだ。

貴族で、知らないことに問題があるのだが、それを上手いことやり過ごそうとしていた。


「ジュニパー! なんてことを言うの!?」
「そうだぞ。国王陛下にそんな口を聞くとは、そんな娘をこのまま家に置いてはおけない。勘当する!」
「な、何いうのよ!! もとはと言えは、叔母様たちが、贅沢三昧できるって言ったんじゃない!」
「っ、な、何を言うのよ!」
「そうだ。私たちは、婚約者にどうしたとなりたいと言うから、世話をしてあげていたのよ」


だが、ジュニパーの暴露や他のところでも、お金でどうにかしようとしていたことがバレることになり、ジュニパーだけでなくて、叔母夫妻も数々の不正が発覚して、爵位を返上するまでになるのも、すぐだった。

その時にジュニパーと叔母夫妻は、ジュニパーの実の両親のとこりに助けを求めたが、門前払いをされた。

ジュニパーは、血の繋がった弟が生まれていることも知らず、叔母夫妻に騙されたと思っていたが、叔母夫妻も同じようなことを思っていた。


「何でよ。あの女は、居なくなったのに。なんで王太子と幸せになれないのよ!!」


そんなことをジュニパーは、何度となく怒鳴っていたようだが、その意味を知る者はいなかった。


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