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第2章
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しおりを挟む自分が居なくなった世界が、どうなったかも知らず、ウィスタリアの想い人だった人のことを思い出し、王太子となったのは第2王子だったことで、婚約者になっていたら、もっと早く勘違いというか。すれ違っていたことを知っていただろうが、勘違いを受け入れたくなかったのは、ウィスタリアが悪いのだ。
あのまま、想い人ではなかったと婚約してから気づいていたら、好きでもない王太子のために必死になり続けるしかなかったのだ。
(第2王子とは、幼い頃から反りが合わなかった気がするし。あちらに合わせていたら、私はかなり抑えなきゃならなかった気がする。……でも、授業を免除されるくらいの学力があったなら、昔より勉強が嫌いでも、できるようにはなっていたってことよね。……人は変わるものね。まぁ、王太子になるしかなくなったから、頑張ったのかもしれないけど。確か、頑張らなくていいなら、やりたくないって言っていた気がするけど)
第1王子は、そんな人ではなかった。王太子といずれなるからではなくて、とにかくありとあらゆることを知りたいと思う方だった。
だから、会うたび、色んな話をしてくれた。それが、ウィスタリアは楽しくて仕方がなかった。楽しいけれど、たまに悔しくなって、ウィスタリアは……。
「凍りが溶けたら何になると思う?」
「ん?」
「なんだよ。そんなの誰でも知ってる。水になるに決まってる」
「……つまんない答えね」
「は? 事実だろ!」
第2王子は、ウィスタリアに馬鹿にされたと思って憤慨して、ボール遊びをしに行ってしまった。いつもそうだ。
最初に王宮から抜け出して、ウィスタリアと遊んでいたのは、フロリアンだった。それをエルウッドが知って着いてくるようになったのだ。遊びながら、ウィスタリアたちは色んな話をしていたが、エルウッドは遊びたがってばかりいた。
「フロリアン様は? 何になると思う?」
「ウィスタリア。それは、謎々なのか?」
「ふふっ、私、とっても素敵な答えを見つけたのよ」
この答えより素敵な答えなどないと思っていた。いつもそうだ。ウィスタリアは、そうやって素敵な答えを探していた。
「素敵な答えか。そうだな。エルウッドの言うように解けただけなら水になるが、外で季節が巡る時に溶ける凍りなら、春になる」
「っ、!?」
「どうだ? ウィスタリアの答えと同じか?」
「っ、何で、同じだと思うの?」
「これでも、ウィスタリアのことは、誰よりもよく見て知っているからな。お前の素敵な答えは、それだろ? 私なら……」
「フロリアン様なら?」
「川になる」
「……川?」
「ウィスタリアは花が好きだが、私は釣りが好きだ。春になったら、花摘みに付き合うから、川の側に行って釣りに付き合ってくれ」
うんと返事しようとしたら、ボールがウィスタリアの頭にぶつかったのだ。
「っ、」
「エルウッド! 危ないだろ」
フロリアンは、倒れかけたウィスタリアを支えて弟を怒鳴った。
「わざとじゃない!」
絶対にわざとなのに彼は謝ったことなどなかった。それにフロリアンは、毎回本気で怒っていた。いつも、そうだった。それでも、エルウッドが一緒に来たがったのだ。連れて行かないと秘密の遊び場をバラすと言ったせいだ。
(そうだ。あの王子は、ううん。今の王太子は、そういう人だ。……そうよ。そんなのの婚約者に選ばれなくてよかったのは、確かね)
何で、それすら忘れていたのかとウィスタリアは苦笑していた。そして、思い出した記憶の中に叶えられなかった約束を思い出してしまった。
(あの約束は、叶わなかった。幾度も春が来たけど……。春は好きだったのに。物悲しくなっていたのは、そのせいだったのね)
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