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天音は、混乱していた。それもこれも、突然とある学園に編入することに決まったと呼び出しをされて校長室で、校長と担任の先生から言われたのだ。
編入することに決まった理由が、あやかしの王子の婚約者に選ばれたからだというのだ。もう、わけがわからない。
その王子は、同年代のあやかしと群れることを嫌って滅多に姿を見せない変わり者とすら言われていた。そんな王子の婚約者に天音が選ばれるなんて、何かの間違いにしか思えなかった。
それでも、校長と担任は、あちらの学園から手伝いに来ているからと天音にすぐに帰って、その学園に行く支度をするように言うのだ。二人の大人の顔色が色々と大変なことになっていて、詳しいことを聞ける雰囲気ではなかったため、天音は帰ることにした。
「天音? あなた、朝から校長室に呼び出されるなんて、何したの?」
梨乃に馬鹿にされたが、天音はそれどころではなかった。
それこそ、新しい学園から天音のところに急なことだからと手伝いに来ていたのだ。その人たちを待たせるわけにも行かず、車で帰宅した。
その間も、天音の頭の中は混乱していた。
(あやかしのエリートばっかの学園に落ちこぼれどころか。みそっかす扱い万年されてる私が、今更、王子の婚約者ですって? 何かと間違いに決まってるわ)
だが、両親はその話を天音から聞かされたが……。
「お前、寝ぼけてんのか?」
「そんな夢見てる暇があるなら、成績を上げるなりして頑張んなさい」
「いや、夢であってほしいんだけど……」
「失礼。天音様が、殿下の婚約者になられることになったのは本当のことです。つきましては、完全寮制ですので、荷物をすぐに運び出したいのですが、天音様。すぐに準備していただけますか?」
「あ、はい」
「は? え? 本当なのか?」
「た、大変だわ!」
天音は、それまで馬鹿にしていた両親にお待たせするな。さっさと準備をしろと急かされるのを聞きながら、天音よりも慌て始めた両親にため息をつきたくなっていた。
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