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しおりを挟むだが、そこに天音の幼なじみの野々瀬梨乃が風邪を拗らせていたのが治ったらしく、久しぶりに公園にやって来て、傍若無人なことが再開したのだ。
彼女のことをよく知る子供たちは、眉を顰めて嫌そうにしていた。
「新入りが、何でいるの? ここは、私のお気に入りの場所よ。遊びたいのなら、私に一言あるべきだわ」
「梨乃。何、言ってるのよ。ここは、みんなで遊ぶ場所よ。あなたが好き勝手したいなら、自分のお家の庭でやればいいわ」
天音の言葉にみんなが、そうだと言うのが気に入らなかった梨乃は、妖力を暴走させて、天音を庇おうとした妹の方を突き飛ばしたのだ。
「っ、!?」
それを見ていた兄は、それに激怒して大変なことになった。
阿鼻叫喚となる中で、庇おうとした妹が兄のことを必死に呼んでいるのが、天音の耳に残っていた。
そこまでしか、天音は夢を見てはいなかった。
それこそ、起きるとすっかり忘れていて、夢を見ていたことすら忘れていた。それは、天音だけではなかった。あの出来事を間近で見ていた者たちの誰も覚えてはいなかった。
大人たちは顔を青ざめていたが、子供たちは何かとてつもないことが起きたことは覚えていても、何があったかまでは覚えてはいなくて、何があったかを子供に聞かれても答える親は一人もいなかった。
天音は、高熱を出して寝込むことになり、その兄妹を見たのも、それっきりとなった。
ただ、天音のしているネックレスは、その時に貰ったものらしい。
身分の高い者から下げ渡しされたもののようだが、それが誰からの物なのかを天音は思い出せなかったが、それを詳しく知りたいと思うこともなかった。
それから、数年の月日が過ぎた。大人たちも、大きな事故があったことを子供に話さないまま、それを引き起こし梨乃とは、あまり親しくするなと言い聞かせられているようで、彼女に友達はいないままだった。
もとより、あの嫌な性格を直す気のな梨乃と仲良くしたがる者など居なかったが。
あちらは、天音のことを友達と思っているようだが、天音が同じようには思っていなかった。
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