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(……何があったんだっけ?)


天音が目を覚ますと何か大事なことを忘れている感覚が強かった。


「天音様、お目覚めになられましたか?」
「鈴」


鈴は、ほっとした顔をしていた。

彼女いわく、天音が大事にしていた王子から貰った髪飾りをうっかり壊してしまい、ショックで熱を出して寝込んでいたと言うのだ。


「そう、だった?」


天音は、鈴の説明に首を傾げていた。


「えぇ、殿下がそんなに悲しむとは思っていなかったとおっしゃって、職人に直しを頼んでおられましたが、難しそうです」
「……そう」


(確かに身体が怠いし、熱を出して寝込んでいたのは間違いなさそうね。……きっと、そのせいね)


天音は、そんなことを思っていた。

目を覚ましたという知らせを聞いて、王子や王女が駆けつけて来て、王女に抱きつかれて大変だった。

学園に再び通うようになるとみんなが天音のことを心配してくれていたことが伝わって来て、天音は嬉しくなってしまった。


(……あれ? そういえば、ネックレスがないわ)


「ねぇ、鈴。ネックレスを知らない?」
「ネックレスでしたら金具が壊れて、落ちてしまったのを天音様が踏んでしまわれました」
「嘘?!」
「それにあわせて髪飾りも壊れたので、ショックが大きかったようです」
「それは、ショックすぎるわ。……でも、踏んで壊したなんて、私らしいわ」


(それを忘れてしまっているなんて、間抜けもいいところだわ)


天音は、自分のしでかしたことに苦笑してしまった。

それを見て鈴は、天音が疑問を持たずにいることにホっとしていることに気づくことはなかった。


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