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遥か昔に神が、2つの世界を姉妹のように寄り添わせて神が創った世界があった。
片方のバランスが崩れれば、もう一方がそれを補うように立て直す。1つの世界で、徐々に崩れていくよりも、その都度立て直す世界の方が、より良い世界になっていくと思ってのことだ。
そうやって支えあって、均等を保ち続けるようにしたことで確かに良さそうには見えた。
その2つの世界を輪廻転生させていたが、縁起の理法によって、必ず巡り合う者たちが現れ始めた。前世で出会うと縁ができる。その縁によって、次の人生でも出会うことになるのだが、自分の想いと相手の想いによって影響が違っていた。
何度転生しても、再び会いたいという思いと二度と会いたくはないと思いながらも、それを邪魔立てしようとする者が、その魂を追いかけ回して、それでも均等を保った。
2つの世界を姉妹のように寄り添わせていなければ、とっくに均等を失っていたはずが、危ういながらも保ち続けることを繰り返し続けたせいで、酷いものになり始めていた。
生まれ変わるたび、妬ましく憎悪に満ちた魂の持ち主は、ついに追いかけ回していた相手の人生に取って代わろうとまでしたのだ。
その術は、殺して相手に成り代わろうとするものだった。でも、殺すことは叶わなかった。
殺されようとしている者に会いたがっている者たちの想いが、終わらせまいと守ったのだ。だが、無傷というわけにはいかなかった。
そのせいで、傷を負うことになった魂の持ち主は、これから数奇な運命を辿ることになった。
片方の世界で、均等が崩れたのだ。もう一方の方に支障をきたさないわけがない。だが、崩すきっかけとなった者は、相変わらず妬ましく身勝手な人生を送ることに躍起になっていた。
たった1人が望みのものを全て手にしようとしたことで、他の者たちが危うくなったのだが、彼女はそれを知ったところで、知らぬ存ぜぬを辛く抜いて自分のせいではないと言うような女性だった。
それか。片割れのせいだと押し付ける。そうして生きて来た女性だった。そんな彼女は、望みが叶ったことを喜んでいた。
「やっと死んだ。これで、もう誰も邪魔して来ない」
殺そうとしたのに死ななかったが、それで運良く相手の人生を乗っ取ることになったというのに彼女は、まだ満足することができなかった。まだまだ足りないとばかりに思っていた。
いつも満たされないものが彼女の中にあったが、今度こそ全てが手に入ったとばかりに喜んだ。片割れが、此世から消えたことほど喜ばしいことがないかのように。
でも、それをいつまで神が許していると思うのか。そんな存在なんて目に見えないのだから、いるはずがないと思っていたのかはわからないが、好き勝手しすぎた代償を支払う時が来るとは思いもしなかったようだ。
やっと誰にも邪魔されずに欲しいものを全部手に入れたと思っていたのに完璧な理想そのものの夫に色々と言われるようになったのだ。
「何でよ。何で今更になって面倒くさいことばかり言うのよ!」
手にしたものを手放したくないが、色々と言われるのは嫌だとばかりに苛立った。もう、片割れのせいだと言ったところで、いなくなった存在のせいになるわけもないのに。それを口にしただけで、手にした夫は見たことないほど激怒した。
その怒りに震え上がって、言い合っても勝てないと思って、他のせいを見つけようと飛び出して彼女は事故にあった。
物凄く痛い思いをしたが、彼女はこれで同情を誘えると思った。事故で怪我した妻をどうこうできないと。でも、そんなことはなかった。
その身体の本来の持ち主ではないとして肉体に戻ることなく、これまでの悪行を悔い改めるまで地獄に投獄されることになったのだ。
「何でよ! 今まではここまでしなかったのにあんまりよ! 入れ替わっても、何もしなかったくせに。あの身体は、もう私のものよ! 戻らなきゃ死んでしまうじゃない」
地獄で働く鬼たちが、それにいちいち答えてやるわけがない。何度生まれ変わっても、彼女は同じようなことしかしないのだ。誰かの人生を邪魔することしかしなかったり、どんなことをしても自分だけが幸せになろうとしたり……。
そんな中でも、この魂の持ち主は、姉妹の世界の均等を崩すことばかりを繰り返した。今回が一番大変なことをしでかしていた。全てを戻すために迷惑を被った魂の持ち主を元の身体に戻さなければならないが未だに戻れるのは、自分しかいないと思っているのだ。
それを戻すために新たな犠牲者が生まれることになってしまったが、それは無垢なる願いからだった。自分のせいで死んだと思っている母と慕う者を自分の持っているものと交換してでも、生きている世界にしてほしいと言うもので、それによって2つの世界は均等を立て直すことになった。
だが、立て直すために振り回されることになった魂の持ち主と何が何でも巡り合いたいと思う者たちが多くいて、その魂の持ち主がとても愛されていることが伺えた。
「許さないわよ! あの女が、幸せになるなんて、この私が許さない」
地獄に堕ちても、呪いの言葉を口にし続けた。それによって、許さないと言われた片割れの周りにはこの女性のようなのが、毎回現れた。
誰よりも妬ましく思われ、そして誰よりも愛されているからこそ、数奇な人生を送ることになった1人の女性の人生を見てみよう。
だが、この女性、妬ましく思われていて殺されそうになっても、他の人として人生を生きることになっても、それで愛してやまない子供に会えなくなって死ぬことになっても、自分が不幸だと思って死ぬことはなかった。
更には、それで他の人たちが同じように狂い出す人生から免れる代償を1人支払わされていることも知らないまま、自分が幸せになることが許されるのかと自問自答をしながらでも、彼女のそんな心境など知らず、ただ全力で幸せになってほしいと願う者たちと幸せにさせたいと思う者によって、普通ではない人生を送っていく。
それも、生まれ変わった記憶があって、そこまで酷くなる前に思い出せていたら、ここまでにはならなかったのにと思う部分の記憶が思い出せなかったがためにこれほどまでに酷くなったとは思うまい。
何はともあれ、そんな数奇な人生を送ることになった者の名前はーー。
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