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しおりを挟む(えっと、私、お茶会に来たのよね……? 何で、こんなことになったんだっけ??)
ファティマは、豪華すぎる一室で、ふかふかのソファーに座って、その膝に王女のアイシャを抱っこしながら、ジュースを慣れたように片手であろうとも飲ませていた。
ファティマの頬には大きめのガーゼがあてられ、片手は固定されていた。酷い捻挫をしていると言われた。
養母に叩かれたところが腫れてしまっていたようだが、それよりも手首の方が酷かったようだ。
「しばらくは、動かさないでください」
「……なら、固定してください。そしたら、支えるくらいはできますから」
「使わないにこしたことはないのですが」
「治りが悪くなる程度ですか? 一生、困るほどですか?」
「……わかりました。固定をしましょう。あまりご無理はなさいませんように。それと痛みと腫れに効く薬湯をお持ちします」
「……」
「手を休めずにどうしてもお使いになりたいなら、朝昼晩とお飲みください」
「……」
「必ずです。診察も受けていただきます」
侍医は、ファティマに負けていない人だった。
「いたぁーたい?」
「大丈夫ですよ」
王女は、心配そうにしていた。
「あの、王女様は、大丈夫ですか?」
「擦り傷と打撲ですが、あなたほどではありませんよ。全く、ご令嬢の頬を物で叩くとは、信じられぬことをなさる」
「……」
腫れたのを見ただけでわかったようだ。
その後、苦い薬湯を飲むことになり、これを何回飲んだら終わるのかと思ってしまったが、王女の世話をやめる気はなかった。
(まぁ、かなり痛かったから頬が腫れたのは仕方がないけど。あの人、子供が子供を抱っこしているのに扇子で殴るなんて信じられないことをするわ。この子を下敷きに倒れていたらと思うとゾッとするわ。手首だけで済んでよかった)
養母がしたことに腸を煮えくり返されていた。それでも、王女の世話を無意識にしていた。
あまりにも手慣れた姿に乳母や使用人もポカンとしていたが、ファティマは全く深く考えていなかったので、周りには気づいていなかった。
凄い泥まみれになっているのもあり、風呂に入ることになったのはわかる。ファティマは、王女が離れたくないとくっついたままなこともあり、王女と一緒にお風呂に入ったのだ。
終始、アイシャはご機嫌だった。
「あわあわ」
「あわあわですね。でも、目に入ると大変なので、気をつけましょうね」
「ん」
乳母や使用人たちは、王女が何を言われても素直に聞いていることにまず驚いていた。
(何を驚いてるんだろ?)
ファティマは、何かをさせるなんてことが、そもそも大変だったことを知らず不思議でならなかった。
そこから、着替えさせるのも、髪を拭くのも、嫌がることなく、ファティマに言われるままにアイシャはいい子にしていた。
侍医は、手を使うのはと言っていたが、王女の姿を見て仕方がないかと諦めたようだ。その後、診察して、あんなやり取りをしたのだ。
抱っこされずとも、ファティマが世話をしているのならそれでいいようだ。
それを見る限り少し落ち着いたように見えた。
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