4 / 163
第1章 果ての世界のマイナスナイフ
第3話 マイナスナイフ
しおりを挟む
「違うよオルファさんっ。天恵試験紙をもらいにきただけ、魔物なんて出てないよ!」
「——へ? ああ、なんだ……そうなんですか。あたしてっきり、村が襲われたのかと」
「相変わらず天然ですね、オルファさん……魔物なんてずっと見てないじゃないですか。こんな大陸の端っこにある村に来る物好きな魔物もいませんよ」
「む、それはあたしの魔物避けの聖水の効果もあるはずなのですがっ」
「ふふ。それにイドラ君、そうは言ってるけれど、三日前ワタシが村に来た時は当初、魔物かと思って慌てふためいてたじゃないか」
「う……それは……」
気付かれていたらしい。オルファのいつもの天然を笑おうとしたイドラだったが、思わぬウラシマの指摘に赤面する。
「あはは、お二人はもう仲良しさんなんですね。それでは少しだけ待っててください、すぐに部屋から試験紙を一枚持ってきます」
「……お願いします」
「どうもありがとう、シスター・オルファ」
「いえいえー、これがアサインドシスターズの役目ですから!」
花壇を囲う赤褐色のレンガの上に水差しを置くと、オルファはぱたぱたと家の中へと駆けていった。
「愉快なひとだね。少し抜けてるところもあるみたいだけれど」
「……そうですね」
「それともやっぱり、男の子としてはああいう、かわいらしい女性の方が子のみなのかな? ねえ、イドラ君としてはどうなの?」
「知りません、これ以上からかわないでください」
「あらら。嫌われちゃった」
「…………まあ、先生とはちょっとタイプの違う人だとは思う」
花壇で綺麗に咲くオレンジ色の花を眺めながら、二人で待つことしばし。入っていった時と同じように、ぱたぱたとオルファがドアから出てきた。
「お待たせしましたっ! 天恵試験紙と、血を出すためのナイフです。気を付けてくださいね」
「うん。でも大丈夫だよ、三年前もやったんですし」
「そういえば……あたしがこの村に着任してすぐでしたね、イドラくんが十歳を迎えて空からギフトを授かったのは。まだ三年、いえ、もう三年……あれ? じゃあなんでまた試験紙を使うんですかー? ギフトは持ち主といっしょに成長することはありますけど、パラメータは変わりませんよ?」
「知ってるよ。ウラシマ先生が僕のギフトのことを知りたいって言うんだ」
「先生? むむ、なんだかお二人の関係が気になってきましたね……」
緑の瞳にじとっと見つめられるのを意図的に無視しながら、イドラはごわごわとした紙と小さな銀色のナイフを受け取る。天恵試験紙は一見なにも書かれていない、ただのメモ用紙サイズのパピルスでしかないが、これにも教会特製の聖水が染み込まされている。
血を付着させることで、その人間が持つギフトの詳細を暴き出すのだ。神に名付けられたとされる絶対の名称と、二度とは変動しない数値を出力して。
なお、ギフトを手にしていない十歳未満の人間の場合はなにも起こらない。
「じゃ、見ててね先生」
「わかった。切りすぎないようにね」
「先生まで心配性だなあ。……そりゃあ、僕のギフトのナイフよりは、こっちの方が危ないんだけどさ」
イドラは今年で既に十三歳の誕生日を迎えている。その身に授かったギフトは、マイナスナイフ。
それは今は腰のケースに仕舞ったまま、普通のナイフで指先を浅く刺す。チクっとした痛みの後に、傷口から赤い血が玉のようにぷくっと現れた。ナイフをオルファに返し、指先の血をぐっと天恵試験紙のごわっとした表面に押し付け——
「……!」
——パピルスの表面に、その天恵の名と数値が記される。聖水は正しく作用した。
そこには、三年前とまったく同じように、こう書かれていた。
・マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
ギフトのパラメータ。天恵試験紙は、固有の能力まではわからないものの、その人間のギフトが持つポテンシャルを数値化させることができた。
しかし、この数値は——
ウラシマは息を呑み、数秒なにも言わなかった。
言えなかったのだ。イドラのマイナスナイフは端的に言って、異常なギフトだ。数値の上でもそれがはっきりと表れている。
「相変わらず、レアリティだけは高いんだけどなぁ。ATKも、数字自体はおっきいのに……なんでなんにも切れないんだろう。おかしいなあ」
その形状の特性などから、DEFやINT、特にRESが0なのはよくあることだ。ATKが0のギフトも数多く存在する。
だがレアリティは低ければ低いほど珍しい。1は、最低値だった。
大陸中、いや、世界中を探してももう一人いるかどうか。百年に一人生まれ落ちるかどうか、そんなレベルだ。普通に考えればイドラ以外に存在しない。
だが、それよりもありえないのは。
「マイナス……マイナスだ、これは」
「え?」
「ATKの隣にある横棒。まさかとは思ったけれど……マイナス記号だ。こんなものが、パラメータに付くことがあるのか……? 信じられない——しかし、天恵試験紙は決して嘘をつかない」
「その、マイナス記号ってなんなんですか? 先生。マイナスナイフっていう名前もよくわからなくて」
「マイナスは、ゼロよりも小さいってことだ。キミのナイフがなにも切れない理由がわかった。イドラ君のギフトは、負の数を帯びている」
「ゼロよりも……小さい? ゼロって、なんにもないってことですよね? それより小さい…………??」
イドラの頭は瞬時にして綿あめのごとくこんがらがった。
金持ちの貴族でもなし、学校に通ったことのない十三歳の少年にその概念は難解すぎた。
なにも置かれていないテーブルに、果物を置くことはできる。しかし、なにも置かれていないテーブルから、果物をどけることはできない。
なにもないゼロの状態から、なにかを増やすことはできても、なにかを減らすことなどできるはずがない……。
「? なんだかよくわかりませんけど、レアリティが1なのはすごいですよねー」
オルファもさっぱりわかっていなかった。そもそも深く考えていなかった。ぶっちゃけ興味もなかった。
「イドラ君。キミはマイナスナイフで自分を切ったことはある?」
「自分を? いや……たぶん切れないとは思うけど、一応刃物だから怖くて」
「気持ちはわかる。けど、今傷つけた指先、ちょっとだけ切ってみてくれないかな。キミのマイナスナイフで」
「うぇ、傷口を? ……せ、先生がそう言うなら」
ケースから今度はギフトのナイフを引き抜く。先のそれと刃渡りこそそう変わらないが、刀身はまるで水晶のような透き通る青の色を湛えている。
その水晶の刃先を、まだじわりと血を漏らす指先へあてがう。
傷口の上から、さらに傷を重ねる形になる。
しかしそうはならないことをイドラは既に知っている。三年間付き合った、自分のギフトのことだ。
マイナスナイフとはなにも切れない短剣の名。紙も石も傷つけられない、魔物退治や旅の役には決して立たぬ、無能の刃。
さっきだって、木の幹を斬りつけてもまったくその跡は残らなかった。
少なくとも見た目上は刃物だし、切っ先は尖ってもいるので、わざわざ自分を切ろうとしたことはないが。仮に、思いっきり力を込めて手のひらに突き刺そうとも、そこから血の一滴も出ることはないだろう。
——そう思っていたのに。
「痛っ」
そこには、さっきと同様、かすかに走る痛みがあった。
マイナスナイフはなにも切れない、なにも傷つけられないはず。疑問に思いイドラは自身の手に目を落とすと、その指先にはやはり傷ひとつなかった。
(傷ひとつ……あれ? 天恵試験紙を使うための傷口も消えてる?)
奇怪な現象だった。
マイナスナイフは新たに傷口を作らなかった。が、それだけではない。先に出来た、通常のナイフで切った傷がきれいさっぱり消失している。
「傷が消えた……!」
顔を近づけてまじまじと見ても、皮膚には傷のあった痕跡さえない。
傷があったという証拠は、傷口にあてがった際に付着したらしい、切っ先に残ったごくわずかな血液のみ。
「わー、こんなことできたんですね、イドラくんのギフト。傷を治す能力ですか? 便利そうです、いいなぁ」
「いや、これはきっと……ともすればこのギフトなら……マイナスの力でなら、ワタシの旅は——」
「すごい、僕のギフトは役立たずなんかじゃなかったんだ……! ありがとう先生っ、こんなのまるで思いつかなかった! やっぱり先生はすごいや!」
「——ん、あぁ……ううん、すごいのはイドラ君のギフトだよ」
イドラはウラシマの手を取り、無意味にぴょんぴょんとジャンプする。
そのくらい、はしゃぎたくなる出来事だった。なにせまったく無意味で役に立たないと思っていたギフトには、明確な使い道があった。
傷を治す。
自分のことにしか使えないのか。他人の傷も治せるのか。物に対してはどうか。動物は。治せる程度は。
わからないことの方がまだまだ多い。こればかりは天恵試験紙でもわからない。自分で、色々と試してみなければならない。
その課題が、イドラにはたまらなく嬉しかった。
三年間、なんの役にも立たない代物だと思い込んでいたのだ。実際のところ、自分の簡単な傷しか治せないとなれば、使い道はそうないのかもしれないが……それでもなにひとつ用途がないのとでは大きな違いだ。可能性を模索できる、試せることがあるというだけで胸が弾むような想いだった。
可能性を示してくれた、先生と慕う彼女を見上げる。強い信頼を込めた視線に、ウラシマは普段通りの温和な表情で頷く。
「キミのナイフは決してハズレなんかじゃない。人の……世の役に立つものだよ、それは。本当に。ザコギフトだなんて、そんなことは絶対にない」
言い切るウラシマの瞳の奥には、イドラの彼女に対する信頼よりもなお強く輝くような、真っ赤な意志の炎が燃えていた。
「——へ? ああ、なんだ……そうなんですか。あたしてっきり、村が襲われたのかと」
「相変わらず天然ですね、オルファさん……魔物なんてずっと見てないじゃないですか。こんな大陸の端っこにある村に来る物好きな魔物もいませんよ」
「む、それはあたしの魔物避けの聖水の効果もあるはずなのですがっ」
「ふふ。それにイドラ君、そうは言ってるけれど、三日前ワタシが村に来た時は当初、魔物かと思って慌てふためいてたじゃないか」
「う……それは……」
気付かれていたらしい。オルファのいつもの天然を笑おうとしたイドラだったが、思わぬウラシマの指摘に赤面する。
「あはは、お二人はもう仲良しさんなんですね。それでは少しだけ待っててください、すぐに部屋から試験紙を一枚持ってきます」
「……お願いします」
「どうもありがとう、シスター・オルファ」
「いえいえー、これがアサインドシスターズの役目ですから!」
花壇を囲う赤褐色のレンガの上に水差しを置くと、オルファはぱたぱたと家の中へと駆けていった。
「愉快なひとだね。少し抜けてるところもあるみたいだけれど」
「……そうですね」
「それともやっぱり、男の子としてはああいう、かわいらしい女性の方が子のみなのかな? ねえ、イドラ君としてはどうなの?」
「知りません、これ以上からかわないでください」
「あらら。嫌われちゃった」
「…………まあ、先生とはちょっとタイプの違う人だとは思う」
花壇で綺麗に咲くオレンジ色の花を眺めながら、二人で待つことしばし。入っていった時と同じように、ぱたぱたとオルファがドアから出てきた。
「お待たせしましたっ! 天恵試験紙と、血を出すためのナイフです。気を付けてくださいね」
「うん。でも大丈夫だよ、三年前もやったんですし」
「そういえば……あたしがこの村に着任してすぐでしたね、イドラくんが十歳を迎えて空からギフトを授かったのは。まだ三年、いえ、もう三年……あれ? じゃあなんでまた試験紙を使うんですかー? ギフトは持ち主といっしょに成長することはありますけど、パラメータは変わりませんよ?」
「知ってるよ。ウラシマ先生が僕のギフトのことを知りたいって言うんだ」
「先生? むむ、なんだかお二人の関係が気になってきましたね……」
緑の瞳にじとっと見つめられるのを意図的に無視しながら、イドラはごわごわとした紙と小さな銀色のナイフを受け取る。天恵試験紙は一見なにも書かれていない、ただのメモ用紙サイズのパピルスでしかないが、これにも教会特製の聖水が染み込まされている。
血を付着させることで、その人間が持つギフトの詳細を暴き出すのだ。神に名付けられたとされる絶対の名称と、二度とは変動しない数値を出力して。
なお、ギフトを手にしていない十歳未満の人間の場合はなにも起こらない。
「じゃ、見ててね先生」
「わかった。切りすぎないようにね」
「先生まで心配性だなあ。……そりゃあ、僕のギフトのナイフよりは、こっちの方が危ないんだけどさ」
イドラは今年で既に十三歳の誕生日を迎えている。その身に授かったギフトは、マイナスナイフ。
それは今は腰のケースに仕舞ったまま、普通のナイフで指先を浅く刺す。チクっとした痛みの後に、傷口から赤い血が玉のようにぷくっと現れた。ナイフをオルファに返し、指先の血をぐっと天恵試験紙のごわっとした表面に押し付け——
「……!」
——パピルスの表面に、その天恵の名と数値が記される。聖水は正しく作用した。
そこには、三年前とまったく同じように、こう書かれていた。
・マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
ギフトのパラメータ。天恵試験紙は、固有の能力まではわからないものの、その人間のギフトが持つポテンシャルを数値化させることができた。
しかし、この数値は——
ウラシマは息を呑み、数秒なにも言わなかった。
言えなかったのだ。イドラのマイナスナイフは端的に言って、異常なギフトだ。数値の上でもそれがはっきりと表れている。
「相変わらず、レアリティだけは高いんだけどなぁ。ATKも、数字自体はおっきいのに……なんでなんにも切れないんだろう。おかしいなあ」
その形状の特性などから、DEFやINT、特にRESが0なのはよくあることだ。ATKが0のギフトも数多く存在する。
だがレアリティは低ければ低いほど珍しい。1は、最低値だった。
大陸中、いや、世界中を探してももう一人いるかどうか。百年に一人生まれ落ちるかどうか、そんなレベルだ。普通に考えればイドラ以外に存在しない。
だが、それよりもありえないのは。
「マイナス……マイナスだ、これは」
「え?」
「ATKの隣にある横棒。まさかとは思ったけれど……マイナス記号だ。こんなものが、パラメータに付くことがあるのか……? 信じられない——しかし、天恵試験紙は決して嘘をつかない」
「その、マイナス記号ってなんなんですか? 先生。マイナスナイフっていう名前もよくわからなくて」
「マイナスは、ゼロよりも小さいってことだ。キミのナイフがなにも切れない理由がわかった。イドラ君のギフトは、負の数を帯びている」
「ゼロよりも……小さい? ゼロって、なんにもないってことですよね? それより小さい…………??」
イドラの頭は瞬時にして綿あめのごとくこんがらがった。
金持ちの貴族でもなし、学校に通ったことのない十三歳の少年にその概念は難解すぎた。
なにも置かれていないテーブルに、果物を置くことはできる。しかし、なにも置かれていないテーブルから、果物をどけることはできない。
なにもないゼロの状態から、なにかを増やすことはできても、なにかを減らすことなどできるはずがない……。
「? なんだかよくわかりませんけど、レアリティが1なのはすごいですよねー」
オルファもさっぱりわかっていなかった。そもそも深く考えていなかった。ぶっちゃけ興味もなかった。
「イドラ君。キミはマイナスナイフで自分を切ったことはある?」
「自分を? いや……たぶん切れないとは思うけど、一応刃物だから怖くて」
「気持ちはわかる。けど、今傷つけた指先、ちょっとだけ切ってみてくれないかな。キミのマイナスナイフで」
「うぇ、傷口を? ……せ、先生がそう言うなら」
ケースから今度はギフトのナイフを引き抜く。先のそれと刃渡りこそそう変わらないが、刀身はまるで水晶のような透き通る青の色を湛えている。
その水晶の刃先を、まだじわりと血を漏らす指先へあてがう。
傷口の上から、さらに傷を重ねる形になる。
しかしそうはならないことをイドラは既に知っている。三年間付き合った、自分のギフトのことだ。
マイナスナイフとはなにも切れない短剣の名。紙も石も傷つけられない、魔物退治や旅の役には決して立たぬ、無能の刃。
さっきだって、木の幹を斬りつけてもまったくその跡は残らなかった。
少なくとも見た目上は刃物だし、切っ先は尖ってもいるので、わざわざ自分を切ろうとしたことはないが。仮に、思いっきり力を込めて手のひらに突き刺そうとも、そこから血の一滴も出ることはないだろう。
——そう思っていたのに。
「痛っ」
そこには、さっきと同様、かすかに走る痛みがあった。
マイナスナイフはなにも切れない、なにも傷つけられないはず。疑問に思いイドラは自身の手に目を落とすと、その指先にはやはり傷ひとつなかった。
(傷ひとつ……あれ? 天恵試験紙を使うための傷口も消えてる?)
奇怪な現象だった。
マイナスナイフは新たに傷口を作らなかった。が、それだけではない。先に出来た、通常のナイフで切った傷がきれいさっぱり消失している。
「傷が消えた……!」
顔を近づけてまじまじと見ても、皮膚には傷のあった痕跡さえない。
傷があったという証拠は、傷口にあてがった際に付着したらしい、切っ先に残ったごくわずかな血液のみ。
「わー、こんなことできたんですね、イドラくんのギフト。傷を治す能力ですか? 便利そうです、いいなぁ」
「いや、これはきっと……ともすればこのギフトなら……マイナスの力でなら、ワタシの旅は——」
「すごい、僕のギフトは役立たずなんかじゃなかったんだ……! ありがとう先生っ、こんなのまるで思いつかなかった! やっぱり先生はすごいや!」
「——ん、あぁ……ううん、すごいのはイドラ君のギフトだよ」
イドラはウラシマの手を取り、無意味にぴょんぴょんとジャンプする。
そのくらい、はしゃぎたくなる出来事だった。なにせまったく無意味で役に立たないと思っていたギフトには、明確な使い道があった。
傷を治す。
自分のことにしか使えないのか。他人の傷も治せるのか。物に対してはどうか。動物は。治せる程度は。
わからないことの方がまだまだ多い。こればかりは天恵試験紙でもわからない。自分で、色々と試してみなければならない。
その課題が、イドラにはたまらなく嬉しかった。
三年間、なんの役にも立たない代物だと思い込んでいたのだ。実際のところ、自分の簡単な傷しか治せないとなれば、使い道はそうないのかもしれないが……それでもなにひとつ用途がないのとでは大きな違いだ。可能性を模索できる、試せることがあるというだけで胸が弾むような想いだった。
可能性を示してくれた、先生と慕う彼女を見上げる。強い信頼を込めた視線に、ウラシマは普段通りの温和な表情で頷く。
「キミのナイフは決してハズレなんかじゃない。人の……世の役に立つものだよ、それは。本当に。ザコギフトだなんて、そんなことは絶対にない」
言い切るウラシマの瞳の奥には、イドラの彼女に対する信頼よりもなお強く輝くような、真っ赤な意志の炎が燃えていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる