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白い世界。
世界に暖かさはない。
冷たい風が吹き、震えるほどに寒かった。
薄暗い路地に、4匹の野良猫がいた。
3匹は白色の体だが、1匹は黒色をしている。
路地は寒かった。だから一緒に震えていた。
暖かいところに行きたいが、そんなところはどこにもない。
寒くて寒くて寒くて、凍えてしまいそうだった。
4匹は体を寄せて、少しでも寒さから逃げようとする。
冷たい風は容赦なく吹いた。
路地の正面にある暖かそうな建物の中に、1匹の猫が震えながら入っていくのが見えた。
4匹は羨ましいと思った。
だが、すぐに考えを変えた。
あれは、人間に飼われた猫だ。
冷たい世界から逃げた臆病な猫だ。
そう思わなければ、この寒さに負けてしまいそうだった。
自分たちはこの寒さから逃げられないのだから。
4匹の猫は体を寄せあった。
冷たい風が体を撫でる。
4匹は震え、ただ体を寄せあうだけ。
すると、空からたくさんの白い妖精が降りてきた。
綺麗な白い妖精。
世界を白に染める妖精。
今は悪魔にしか見えない妖精。
降りてこないでくれ。
そう叫ぶように、4匹は空に向かって鳴き声をあげた。
冷たい風と共に妖精が踊りだす。
4匹の叫びは、妖精には届かなかった。
白。
白。
白。
世界が真っ白になった。
路地に落ちていた新聞紙に隠れ、4匹の猫は白い妖精に触れないようにする。
妖精は踊っていた。
冷たい風と共に。
世界を白に染めるために。
白。
白。
黒。
4匹の猫の前に、1人の人間が現われた。
黒いコートを着て、大きな鎌を背負っている男だった。
4匹は震えた。
男は人間ではなく、死神なのだから。
白い妖精が支配する世界で、黒い死神は手招きをした。
死神に呼ばれた4匹は震えた。
だが、新聞紙の布団から1匹の白猫が出ていく。
行くな。
黒猫は白猫を止めようとした。
止められなかった。
白猫が弱々しい足取りでやってくると、死神は優しい手の平で包み込む。
4匹の猫は、3匹の猫になった。
世界に暖かさはない。
冷たい風が吹き、震えるほどに寒かった。
薄暗い路地に、4匹の野良猫がいた。
3匹は白色の体だが、1匹は黒色をしている。
路地は寒かった。だから一緒に震えていた。
暖かいところに行きたいが、そんなところはどこにもない。
寒くて寒くて寒くて、凍えてしまいそうだった。
4匹は体を寄せて、少しでも寒さから逃げようとする。
冷たい風は容赦なく吹いた。
路地の正面にある暖かそうな建物の中に、1匹の猫が震えながら入っていくのが見えた。
4匹は羨ましいと思った。
だが、すぐに考えを変えた。
あれは、人間に飼われた猫だ。
冷たい世界から逃げた臆病な猫だ。
そう思わなければ、この寒さに負けてしまいそうだった。
自分たちはこの寒さから逃げられないのだから。
4匹の猫は体を寄せあった。
冷たい風が体を撫でる。
4匹は震え、ただ体を寄せあうだけ。
すると、空からたくさんの白い妖精が降りてきた。
綺麗な白い妖精。
世界を白に染める妖精。
今は悪魔にしか見えない妖精。
降りてこないでくれ。
そう叫ぶように、4匹は空に向かって鳴き声をあげた。
冷たい風と共に妖精が踊りだす。
4匹の叫びは、妖精には届かなかった。
白。
白。
白。
世界が真っ白になった。
路地に落ちていた新聞紙に隠れ、4匹の猫は白い妖精に触れないようにする。
妖精は踊っていた。
冷たい風と共に。
世界を白に染めるために。
白。
白。
黒。
4匹の猫の前に、1人の人間が現われた。
黒いコートを着て、大きな鎌を背負っている男だった。
4匹は震えた。
男は人間ではなく、死神なのだから。
白い妖精が支配する世界で、黒い死神は手招きをした。
死神に呼ばれた4匹は震えた。
だが、新聞紙の布団から1匹の白猫が出ていく。
行くな。
黒猫は白猫を止めようとした。
止められなかった。
白猫が弱々しい足取りでやってくると、死神は優しい手の平で包み込む。
4匹の猫は、3匹の猫になった。
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