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舞台裏。
もうすぐ始まる本番に備え、クラスメイトは衣装やらなにやら準備にいそしむ。
(○・ワールド! 時間よ止まれ!)
二ノ宮は心で叫んだ。だが時間は当然止まらない。
なぜなら、二ノ宮は生命エネルギーが作り出すパワーあるヴィジョンを持っていないからだ。
(ですよねー)
時止めはあきらめ、二ノ宮は現実的な問題について考えることにした。
もうすぐ本番が始まる。
これは仕方ない。仮に5秒ぐらい時間が止められたところで本番から逃げることはできないだろう。
(乗りきることができるか……俺に)
まったく練習してない恐怖。
脚本は猿でもわかるストーリーになったらしいが、肝心なセリフはほとんど覚えていない。
(俺は……俺は……)
なんていうかもう帰りたい。切実な願いだった。
だが、リアルから逃げるすべはあるのかどうか。
「二ノ宮くん」
「!」
焦る二ノ宮の手を誰かが握った。
クラスのマドンナ、男子生徒のオアシスである椿姫だった。
「大丈夫だよ、二ノ宮くん。キミならきっとできる。やることを決意したキミに不可能はない。だってキミはキミだから。どんな困難にも負けないキミだから心さえ強く持てばきっとなんだってできるよ」
特に具体性がないけどできる勇気だけを植え付ける洗脳が始まった。
「やるよ椿姫。俺に不可能はない。キミの笑顔を絶やさないために俺は自分に負けないと誓うよ」
洗脳完了。
クラスのマドンナに手を握られてドキドキマックスな二ノ宮は、思春期全開の単純な男の子だった。
椿姫はにっこりと微笑むと、二ノ宮の頭を軽く撫でてから去っていった。
ポイントは離れる間際に触れることを忘れないこと。ボディタッチは異性の心を掴む大事な要素。忘れてはならない大事な行動だ。
「ご苦労様、椿姫」
「あら、小雪。ふふん、彼は単純だからちょろいもんだね」
現実は非情なり。
もうすぐ始まる本番に備え、クラスメイトは衣装やらなにやら準備にいそしむ。
(○・ワールド! 時間よ止まれ!)
二ノ宮は心で叫んだ。だが時間は当然止まらない。
なぜなら、二ノ宮は生命エネルギーが作り出すパワーあるヴィジョンを持っていないからだ。
(ですよねー)
時止めはあきらめ、二ノ宮は現実的な問題について考えることにした。
もうすぐ本番が始まる。
これは仕方ない。仮に5秒ぐらい時間が止められたところで本番から逃げることはできないだろう。
(乗りきることができるか……俺に)
まったく練習してない恐怖。
脚本は猿でもわかるストーリーになったらしいが、肝心なセリフはほとんど覚えていない。
(俺は……俺は……)
なんていうかもう帰りたい。切実な願いだった。
だが、リアルから逃げるすべはあるのかどうか。
「二ノ宮くん」
「!」
焦る二ノ宮の手を誰かが握った。
クラスのマドンナ、男子生徒のオアシスである椿姫だった。
「大丈夫だよ、二ノ宮くん。キミならきっとできる。やることを決意したキミに不可能はない。だってキミはキミだから。どんな困難にも負けないキミだから心さえ強く持てばきっとなんだってできるよ」
特に具体性がないけどできる勇気だけを植え付ける洗脳が始まった。
「やるよ椿姫。俺に不可能はない。キミの笑顔を絶やさないために俺は自分に負けないと誓うよ」
洗脳完了。
クラスのマドンナに手を握られてドキドキマックスな二ノ宮は、思春期全開の単純な男の子だった。
椿姫はにっこりと微笑むと、二ノ宮の頭を軽く撫でてから去っていった。
ポイントは離れる間際に触れることを忘れないこと。ボディタッチは異性の心を掴む大事な要素。忘れてはならない大事な行動だ。
「ご苦労様、椿姫」
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現実は非情なり。
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