RAGING

CYABASIRA

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現代神話の始まり

神に抗う者

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 ー天照町あまてらすちょう

 ここは、日本東京の平和な街、天照町。一軒家は勿論、ショッピングモールや屋台、コンビニエンスストア、電気屋など、建物が豊富で活気的故、毎日人混みが絶えない。ここより、少し離れた場所には、南坂岡学園高等学校みなみさかおかがくえんこうとうがっこう、通称みなさか学園という学校で平和な学園生活を過ごしている高校三年生、白石杏奈しらいしあんなという少女がいた。

 杏奈「うーん...やっと授業終わったよ~...数学の先生の話分かりにくいんだもん~...。」

 午前中の授業が終わり、席から立って両手を上げ、背筋を伸ばし、リラックスをしながら、教室を出て階段を上り、屋上に向かった。

 杏奈「さあて...ラッキー!卵焼きちゃんだぁー!」

 隅に座り、片手に持っていた弁当箱を開けると、左半分に白米、もう方半分に唐揚げと、その下に敷かれているレタス、プチトマト、さつまいも、ウインナー、そして彼女の大興奮、卵焼きも入っており、杏奈はとてつもなくテンションが上がった。

 杏奈「さっすがお母さん!わかってるぅ!!それじゃあ、いっただきまーs」

 しかし、その幸せも一瞬で崩れ去る出来事が起こった。何やら下の階の方から生徒達の騒ぎ声が教員達がそれを宥めようとしている声が混じって同時に杏奈の耳に響いた。

 杏奈「ひゃぁぁ!?!?」

 驚いた杏奈はその拍子に弁当箱を落としてひっくり返してしまい、台無しになってしまった。

 杏奈「わわわわわ私のお弁当がぁぁぁぁぁっっっ!(泣)」

 悲鳴を上げてガックリと四つん這いになって落ち込んでいると、ガラス素材の割れる音や、物が落ちる音、金属の音が声の中に混ざって聞こえてきた。さすがに杏奈も落ち込むのは後にしてその場所まで行ってみると、なんと学校の生徒が泣き叫びながら逃げ回り、教員達が避難指示を出している様子が伺えた。

 杏奈「え、な、何?皆どうしたの?」

 教員の1人「おぉ!白石!お前も早く体育館に避難しろ!!なんか見たこともない見た目をした怪しいヤツが学校内に来て暴れてる!!」

 杏奈「え?あ!はい!わかりました!」

 言う通りに走って体育館へ向かう杏奈。館内に着いた頃には、ほぼ全校の生徒が怯えながら立ち尽くしていた。

 泣いている女子「うう...私の友達があの怪物みたいな奴に...!」

 杏奈「怪物.....?」

 青ざめた男子「なんか...肌が真っ黒で腕が4本生えた化け物が現れて...持っていた剣とかを振り回して暴れたんだ...。」

 長髪の男子「どうやらその子の親友がそいつに襲われて病院に搬送されたらしい。」

 杏奈「嘘......」

 信じがたかった...こんな平和な街にそのような凶悪な者が存在しているなど...そう考えているうちにしっかりと施錠されていた扉が切り裂かれ、そこから男子生徒の言っていた通りの異形の者が現れた。4本の腕にはそれぞれ剣を持っており、頭にはターバンが巻かれていた。

 杏奈「っ!?あ.....あれが......!?」

 青ざめた男子「あ....ああ....来ちまった...」

 怯える女子「いやぁぁ...皆殺されるの...?」

 杏奈「.....っ。(そんな.....なんで...なんで...いつもの変わらない毎日だったのになんでいきなり......誰か.....っ...助けて..)」

 ついに杏奈も顔を青くし、絶望のあまり涙を浮かべた。異形の怪物はニヤニヤと悪意のある笑みを浮かべて刃を杏奈含む生徒達に向けて口を開いた。

 怪物「よく聞け!愚かな人間共よ!もうじきこの世界はこの私が支配する!命が惜しくば我々に従え!従わぬのなら、この剣で貴様達を引き裂く!!」

 杏奈「........い...いや....ごめんなさい...ごめんなさい、ごめんなさい...殺さないで...なんでもするから...」

 怪物「......む....そこの小娘...中々愛らしいではないか...ちょっと来い。」

 杏奈「ひっ!」

 最悪な事に、よりによって杏奈が怪物に目を付けられ、一瞬で彼女の目の前まで移動し、右下の腕を伸ばし、杏奈の顎をクイッと指で上げた。恋愛にありがちなシチュエーションであるが、今の杏奈にとっては恐怖そのものでしか無かった。

 怪物「申し遅れた、私はマルコスという者だ。そちはなんと申す?」

 杏奈「.......。」

 怪物「名はなんと申す?」

 杏奈「っ....白石杏奈...です。」

 マルコスと名乗る怪物の威圧に勝てず、思わず名前を言ってしまう杏奈。するとマルコスは彼女の身体を舐め回すように見つめた後、制服のシャツの丈に手をかけ、腹部を露出させた。

 マルコス「シライシ・アンナ...美しい娘だな...よし、我が伴侶にしよう。」

 杏奈「ひっ!!」

 突然の発言といやらしい顔に恐怖心が極限状態に陥る杏奈。しかし、マルコスは気に停めずに、露出した腹を撫でる。その手の感触はとても気持ち悪く、吐き気すらした。ましてや誰も恐怖で動けず、誰も助けてくれない状況に絶望した。

 マルコス「さて、まずはその忌々しい布切れを引き裂いて......」

 次の瞬間、意外は展開が生じた。それは一瞬の出来事だったが、杏奈含むそこにいる者全員が目を疑った。なぜなら、マルコスの杏奈の服を脱がそうとする腕がスパッと切り飛ばされ、ボトッと床に転がった。滴る血と切れた腕の根元を見てようやく彼は痛みで悲鳴を上げた。

 マルコス「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

杏奈「....え....何が...起きたの?」

「なんで急に腕がっ!?」

「きゃあ!こっちに腕転がってきたんだけど!!」

「あ、あれは誰だ!」

杏奈「え?」

生徒の1人が指を指すと、そこには見覚えのない赤いラインの入った黒い制服、スカートの下には黒いストッキングと、ショートブーツ、真っ赤な長いサラサラした髪と燃えるような赤い瞳の少女がいた。その手には日本刀らしきモノを持っている。

杏奈「...だ....れ....?」

少女「......下がっていて...」

杏奈「は、はい...」

マルコス「.....おのれ...誰だ...貴様...ぐぎゃ!?」

マルコスが言い終わる直前に、目にも留まらぬ速さで少女は刀を抜き、マルコスの身体をバラバラに斬り裂き、鞘に刃を収めた。グチャツとグロテスクな音を立てながら、マルコスは崩れ落ちて絶命した。

「す....すげ....」

「強い.....」

「女の子....だよね?でもあの子うちの学校にいなかった気が...。」

杏奈「あ、ありがとうございます...」

少女「ご無事で何よりだわ。」

御礼を言う杏奈に優しい笑顔を向けると、彼女は先程の恐怖が嘘のように消え去り、笑顔が戻った。それは彼女以外も同じ事になっていた。

杏奈「なんとお礼をいったら...」

少女「そんなのは良いのよ。」

杏奈「貴方は一体......」

少女「私...?私は...氷室美琴ひむろみこと、氷室財閥の者です。」


次回へ続く
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