RAGING

CYABASIRA

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現代神話の始まり

救出作戦

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夏目「.......は??なんだこれ!?」

杏奈の抱きつきから逃れて屋上から下の廊下へ降りて来たのは良いものの、何やら周りの雰囲気が異常だった。まだ昼休みにも関わらず、人が1人もいないし、生活音も一切聞こえない。1番不気味だったのは、全体の背景が灰色になっていることだ。

夏目「おーい!誰がいないのかー!?いたら返事してくれぇー!!!!」

必死に声を張り、助けを求めても、ただ自分の声がやまびこのようにエコーで響くだけ、教室や部室などの扉を開けても誰もいなかった。

夏目「......ここ...学校だよな...?だって俺...普通に中へ入っただけだし...。」

俄然、弱気になってそう言っていると、一瞬ではあるが何かが視界の右上辺りに入り、曲がり角に潜り込んだ。それに気づいた夏目は少し安心してため息を吐く。落ち着いた後、その"何か"を追うべく曲がり角を曲がった。

夏目「.....いないな..くそ!もうちょい早く動けてりゃ...!」

それでも諦めずに夏目は探し続けた。そこから2時間が経ち、流石の夏目も体力の限界に達し、とりあえず、階段の踊り場に座って休憩をすることにした。

夏目「なんだよこれ...どうなってんだよ...気持ちわりぃ...」

そう言って顔が真っ青になりながら壁に背中を付けて体育座りで両手で頭を抱えながら震え出す。


夏目「うう......」

ーその頃ー

少女「お兄ちゃん~!何処~!!」

杏奈「ん?」

翌朝、杏奈が通学の最中に、見知らぬ少女が誰かを探しているのか、大声で"お兄ちゃん"と叫んで辺りを見渡していた。

杏奈「ねえ!君、誰か探してるの?」

少女「....あっ!」

杏奈が話しかけると、少女は杏奈の着ている制服を見て驚きつつも杏奈に言った。

少女「あの!もしかしてみなさか高校の人ですか!?」

杏奈「え、うん、そうだけど...」

少女「私、夏目朱里なつめ あかりって言います!高校に上がったばかりの夏目衛という名前の兄が昨日からいなくて...」

杏奈「!...確かに私昨日知り合ったよ!衛くん...まだ帰ってないの!?」

朱里「はい...お兄ちゃんは、素行が悪いけど、夜にはちゃんと帰ってきてくれるんです...」

杏奈「私も一緒に探してあげるね!」

朱里「あ、ありがとうございます!」

放課後、卓郎に今朝の事を説明し、夏目衛を捜索する事にした。

卓郎「心当たりのある場所は学校しかないよね...」

杏奈「じゃあ、私は1階を探すね!」

卓郎「僕は2階、朱里ちゃんは3階を頼めるかな?」

朱里「わかりました!」

ーしばらく後ー

杏奈「見つかった!?」

卓郎「駄目だ...2年の教室や実習棟、図書館も探してみたけど...」

杏奈「あれ...朱里ちゃんは?」

卓郎「!そういえば中々戻って来ないな...」

杏奈「朱里ちゃぁぁぁん!!」

杏奈の学校中に響き渡る声量で名前を呼んでも朱里からの返事は全くない。というか、先程から朱里の気配すら感じていないことに2人は気づいた。

卓郎「くそ....まるで神隠しじゃないか!」

杏奈「神隠し...ね...あ!」

卓郎「どうした?」

杏奈「ちょっと、レイジングの紋章を見て見ない?これだけ探してもいないって事は...まさか異界の門に入っちゃったんじゃ...」

卓郎「学校に異界なんてあるのか?」

杏奈「美琴さん言ってたよね、異界の門は世界のあらゆる場所にあるって...もし異界の門が近くにあるならレイジングと反応してる筈なんじゃないかな?」

卓郎「なるほど...」

2人が服の利き腕の袖を捲ると、杏奈の言った通り、レイジングの紋章が強く発光していた。

卓郎「ビンゴだよ..杏奈!」

杏奈「これをダウジングにして門を探すよ!」

レイジングの光を頼りに、様々な方向へと足を運んだ。間違った方向に進めば光は弱くなり、正しい方向へ進めば光が強くなっていく。そして遂に光の強さが最高潮になる場所へとたどり着いた。

ー屋上の階段ー

卓郎「なるほど...昼休み以降、誰も彼を見ていないわけだ。」

杏奈「やっぱりここにあったよ!異界の門が!」

杏奈が指さしたのは、紫色や水色が混ざった黒い渦のようなものだった。

卓郎「この先に夏目くんと朱里ちゃんがいるに違いない!!」

杏奈「入るよ!」

ー異界の門 内部ー

杏奈「...なるほど、やっぱり景色が灰色になるだけで周りの物とかは何も変わらないんだね...」

卓郎「まるで裏世界に来たみたいだ...」

朱里の声「いやぁぁぁぁ!!」

2人「!?」

上の階から朱里の悲鳴が聞こえ、途中で出くわす怪物達を蹴散らしつつ、そこに足を運ぶと、屋上にたどり着いた。遠くにある建物は灰色に、空は紫色に染まっており、黒い雲に覆われていた。

卓郎「今までで1番不気味な光景だ...」

杏奈「....あっ!」

2人で辺りを見渡していると、杏奈が地面に倒れ伏せている夏目衛を発見した。しかし、彼は頭から血を流し、全身が傷だらけになっていて瀕死の状態だった。

杏奈「衛くん!」

卓郎「待て!杏奈!」

夏目に駆け寄る杏奈を卓郎が静止する。何故なら、真上から邪な気配がするからだ。見てみると、全身が真っ黒なシアン色の瞳を輝かせる四足歩行のドラゴンのような姿の怪物が見下ろしていた。

杏奈「.....何、この恐ろしい気は...」

卓郎「これまでの敵とは桁違い過ぎる...」

???『グォォォ!!』

ドラゴンは2人を威嚇しているのか、大きな咆哮を上げた。それに反応して、夏目は意識を取り戻し、2人を見て驚いた。

夏目「お、お前ら...!何でここに!?てかなんだそのナリは!?」

杏奈「いいからまずはこっち来て!」

卓郎「僕達に任せてここは逃げるんだ!」

夏目「駄目だっ!朱里がっ...!あのデカいバケモンに!」

夏目が指を指すと黒いドラゴンの頭上には薄い紫色の結界の中に閉じ込められて意識を失っている朱里の姿があった。

???『ここは我が根城である...直ちに控えよ!!』

夏目「ふざけんなっ!朱里を返しやがれ!この黒トカゲ!!」

杏奈「だからっ!ダメだって!!君は能力を持ってないんだから!!お願いだから後ろに居て!!」

卓郎「朱里ちゃんは僕達が必ず助ける!約束しよう!」

夏目「......。」

???『ゴチャゴチャと喚くなぁっ!』

杏奈「っ!」

ドラゴンが3人の会話に痺れを切らして、口から真っ黒なブレスを吐き出すが、卓郎がいち早く反応し、夏目を抱えて回避し、杏奈が電撃の球体を蹴り飛ばして反撃した。ドラゴンは少し怯むが、大したダメージにはなっていない。

夏目「っ!おい!」

卓郎「いいから!言うことを聞いてくれ!」

杏奈「卓郎!行くよ!」

卓郎「ああ!朱里ちゃんは返して貰う!」

???『グヌゥッ...小娘の血肉を味わう前に、この"ルシファー"が直々に葬ってくれるわ!』

ルシファーと名乗るドラゴンは朱里を閉じ込めた結界を上空へ飛ばし、ゆっくり降下して地面に四速を着いた。

卓郎「来い!"アイシクルランス"!」

杏奈「キックオフ...!」

卓郎は氷の槍を生成、杏奈は右脚にアーマーを纏わせ、電気を帯びさせる。衛は朱里の事を心配しつつ屋上の扉の中へ避難した。

ルシファー『纏めて焼き払ってくれるわ!!』

ルシファーは口から巨大な炎を吐き出す。2人はそれを避けてそれぞれルシファーの体の左右に立つ。

卓郎「くらえ!」

杏奈「シュートッ!!」

双方の横から、卓郎の氷の槍、杏奈の電撃の球体がルシファーの横腹にぶつかる。

ルシファー『グルァァ!!』

杏奈「くっ!」

卓郎「タフだなっ!」

2人の攻撃をまともに受けたのにも関わらず、ルシファーは自分の翼を使って2人を引き離す。

ルシファー『喰らうが良い!』

吹き飛ばされて横転した2人に向けて、口から青白いエネルギー弾を連発で放つ。今度は2人は避けられずに命中してしまい、あっという間に窮地に立たれた。

杏奈「うっ....」

卓郎「こんな所で...負けてたまるか!」

ルシファー『諦めよ、人間!』

杏奈「ぐはぁぁっ!!」

卓郎「かはっ!....クソッ!!」

ゆっくりと立ち上がろうとした2人に対し、ルシファーは容赦なく黒いブレスをもろに浴びせた。卓郎はフェンスに、杏奈は扉のすぐ側に激突し、重傷を負った。すると、扉が開き、中から夏目が飛び出して来て杏奈に駆け寄る。

夏目「お、おい!しっかりしろよ!!」

杏奈「ごめん....ね....朱里ちゃんを助けるって約束...したの...に...でも、大丈夫...!あんな奴...直ぐにやっつけ...ゲホッ!!」

夏目「っ!」

致命傷の中で無理して喋った為に、限界が来て血を吐いた杏奈。その彼女の姿を見て夏目は心配そうに焦り出す。

夏目「大体なんでだよ!これは俺と朱里の問題なのに...なんで無関係のお前らが...」

杏奈「...無関係...?そんなわけないよ」

夏目「っ!」

杏奈「だって...大事な友達だもん...!」

夏目「はぁ!?こんな時な何言っ...」

杏奈「だってわかるよっ...君は絶対に悪い人何かじゃない...その妹さん想いが証拠だよ...」

夏目「.......。」

杏奈「待って...て...?絶対助けて...見せる...から....!」

ルシファー『茶番は終わりか?』

杏奈「うぁぁぁっ!!」

卓郎「杏奈!!!」

夏目「っ...!」

夏目とのやり取りをしている杏奈に対し、ルシファーは待ち切れずに彼女を巨大な鋭い爪で引っ掻いた。その瞬間、背中に大きな傷が入り、床や壁に鮮血が迸った。

杏奈「.........ぜっ....た....い....に.....たす...け...る...から....」

夏目「もう喋んなよ!本当に死んじまうだろうが!!」

卓郎「くそ...ダメージが無ければすぐに助けに行けるのに!」

ルシファー『終わりだな...そこの小僧諸共、小娘を消し飛ばしてくれる...!』

ルシファーは口から青白いエネルギーを貯め始める。卓郎は慌てて槍で攻撃し、妨害しようとするも、あっさりと尻尾で殴り飛ばされてしまう。

夏目「.....」

夏目の脳内に、過去の記憶がフラッシュバックしていた。こんな出来損ないの不良である自分に、杏奈が優しく受け入れてくれた事を...友達と言ってくれた事を。そんな彼女が今、突然の脅威によって命を奪われようとしている、そしてその脅威であるルシファーに対して、俄然と強い怒りが湧いてきた。

夏目「.......させねえよ」

杏奈「.....?」

卓郎「な、夏目くん!?」

ルシファー『小僧1匹で何が出来る!くらぇぇっ!!』

ルシファーがそう叫ぶと、口から極太の青白いレーザーが放たれる。卓郎は顔を青ざめ、もう駄目だと悟ったその時、何故かルシファーの顔は苦虫を噛んだように歪んでいたのだった。

ルシファー『なんだ...これは』

卓郎「え!?」

卓郎がレーザーが放たれた位置を見てみると、煙が晴れて、中から巨大な緑色の葉っぱが生い茂った木々が地面から生え、2人を守っている光景だった。更に夏目を見ると、なんと彼の右腕から緑色のレイジングの紋章の光が浮かび上がっている。

卓郎「まさか!君も!?」

夏目「...てめぇはもう許さねぇ...」

杏奈「レイ.....ジング...?」

夏目「レイジング能力発動..."プラントメディカル"」

杏奈「え...?」

夏目がそう唱えると、地面からツルの触手が伸びて、杏奈の身体にまとわりつく。すると、傷がみるみる塞がっていき、痛みも完全になくなった。

杏奈「凄い...傷が...!?」

卓郎「回復能力か!?」

ルシファー『それがどうした...今度こそ消し去ってやろう!』

ルシファーが再び青白いレーザービームを放とうとするが...

卓郎「アイシクルランス!」

ルシファー『ガァァァァ!!?』

卓郎がルシファーの前に現れると、口の中のエネルギーごと、槍で喉を突き刺した。お陰でエネルギー充電は妨害され、必殺技を不発させる事に成功した。

卓郎「今だ!2人とも!」

杏奈「OK!一気に決めるよ!!」

夏目「俺もやる!絶対に朱里を助けてみせる!」

ルシファー『がっ....はっ...オノレ...』

ルシファーは技の不発の反動によるダメージが大きく、全く動けない。それを悟った3人は、攻めるなら今だ!と、確信していた。

夏目「レイジング!!発動!!」

夏目が叫ぶと、自身の右手から白薔薇が刻まれた片手剣が生成される。杏奈も続いて右脚に電撃を纏わせ、卓郎も氷の槍に冷気を纏わせた。

ルシファー『や....やめよ...』

夏目「うるせえ!この黒トカゲ!!くらいやがれ!レイジング!バロンスラッシュ!!」

ルシファー『ガァァァ!』

夏目が片手剣でルシファーを切り付けると、白い薔薇の花弁が飛び散るエフェクトと共に一筋の光の斬撃が連続でルシファーを襲った。

卓郎「素晴らしい...といか美しい...」

夏目「どうだ!」

ルシファー『が....がが...』

卓郎「よし、トドメだ!レイジング!ブリザードショット!!」

杏奈「ライトニングストライカー!」

ルシファー『馬鹿なっ!この我がぁぁ!!』

卓郎の氷の槍の連続突き、杏奈の電撃のサッカーボールにより、ルシファーは力尽きて消滅した。すると、そこからどす黒いオーラを纏った紫色の水晶玉が出てきた。更に、上からゆっくりと朱里が閉じ込められている結界が降りてきて、結界は解除され、気を失った朱里が出てきた。

夏目「朱里!」

朱里「...んん...お兄ちゃん...?」

夏目「良かった!本当に...良かった!」

杏奈「一件落着だね...」

卓郎「だね...しかし、これは一体...」

卓郎はルシファーから出てきた、謎の水晶玉を見つめて言った。そっと触ってみても特に何も起きないので、そのまま手に取ると杏奈に見せる。

杏奈「う~ん...とりあえず、持ち帰って美琴さんに聞いてみようよ?」

卓郎「だね。」

ー現実世界ー

夏目「...その...ありがとうな、先輩たち...朱里を救ってくれてさ...」

朱里「ありがとうございました!」

夏目は照れくさそうに鼻を指で擦りながら目を逸らし、朱里はお辞儀をして2人に感謝の言葉を述べた。

杏奈「どういたしまして!」

卓郎「無事で良かった♪」

夏目「後さ...苗字じゃなくて、下の名前で呼んで欲しい...と、友達だから...」

杏奈「!!うん!もちろんだよ!よろしくね♪衛くん!」

卓郎「よろしく、衛」

衛「あ、ああ...」

朱里「やったねお兄ちゃん!2人も友達が出来て♪」

衛「たまに、朱里とも遊んでやってくれないか?」

2人「もちろん!」

こうして、レイジング使いの仲間がまた1人増え、戦力が大幅に上がった。そしていつでも連絡が出来るように、衛と朱里のメアドも交換してもらった。


次回へ続く
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