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エピローグ
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しおりを挟む あの頃、いつも不安だった。
笑うこと、嬉しいこと、感動、幸せ──何もなかった。
汚れて真っ黒だった俺を会長が救ってくれて、ワガママで世間知らずだった俺に頼寿が秘密の世界を教えてくれた。
体を動かすこと、汗をかくこと、拍手を貰うこと。
優しい友達、尊敬する先輩、大好きな人達。
汚れてガサガサだった俺の心は気付けば綺麗な水で満たされ、暖かな光をも宿すようになった。
その光の中で頼寿と踊る。触れられて、抱かれて、キスをする。
俺にしては、なんて上出来な人生──
「おい、何を見てる」
「えっ? い、いや別に!」
頼寿の眠そうな顔を見つめていたら、不機嫌そうに言われてしまった。恥ずかしくて思わず枕に顔を埋めながら、それでも嬉しくて含み笑いをしてしまう。
「まだ寝ないのかお前は」
「ちょっと寝たんだけど目が覚めちゃって」
午前三時、夜明けはもうすぐ。少しずつ薄くなっていく闇の中、頼寿と並んでベッドに寝ている現実にこの上なく幸福を感じる。
何をするでもなく裸でゴロゴロしている俺達の、まさにシエスタのような時間だ。
「頼寿、会長の誕生日にシエスタでイベントやるって、俺の希望聞いてくれてありがとう」
「俺の希望でもあったからな。ロッソ達もウチでステージやることになるとは思わなかったが」
「そ、それは俺がお願いしたから」
「まあサルベージとは一部客層も被ってるし、いいんじゃねえの」
素っ気なく言いながらも、本当は嬉しい頼寿。ロッソ君になんやかやと注文を付けながらも、コラボステージはかなり気合いを入れて細部まで作り込む予定なのだ。
意外と照れ屋で義理堅く友達想い──それがリアルの頼寿。
「へへ、やっぱカッコいい」
「誰のこと言ってんだ」
うつ伏せになっていた体を横に向け、頼寿の肩に頬をくっつける。
「決まってるだろ」
目を閉じれば頼寿が体を動かす感覚があって、俺はますます嬉しくなった。近くに感じる体温……それだけでもう、抱きしめてくれるって分かる。
「……ん」
抱き寄せられて密着して、重ねた唇の隙間でゆっくりと舌を絡ませる。誰にも見せない俺達だけのキス──心地好くて痺れそうで、身体中に幸せが循環していく。
「頼寿、……セックスする?」
「してえのか?」
「したい」
二ヒヒと笑って強く頼寿に抱きつけば、すぐにその腕が俺を包み込んでくれた。ゆっくりと体重をかけられてベッドに寝かされ、上から何度もキスを受ける。
「ん、……」
肌に唇を押し付けられると、嬉しくて自然と笑顔になってしまう。どこにキスされても気持ち良い……嬉しくて泣きそうだ。
「ゆ、ゆっくりしてる……スローなの気持ちい、……」
「ステージだと多少荒っぽくなるからな」
頼寿の手が俺の内股に触れ、ゆっくり、だけど力強く撫でられる。ステージでの刺激的な愛撫とは全然違う、優しくて穏やかな時間。……どっちも好きだと思ってしまうのは贅沢なんだろうなぁ。
「あ、ぁ……」
まだ柔らかいペニスを頼寿の手で優しく揉まれ、恥ずかしさに頬が熱くなる。恥ずかしいのと同時にエッチで嬉しい気持ちにもなるから不思議だ。頼寿に愛撫されると、何だか自分でもよく知らない自分になってしまう。
「ひ、やっ……頼寿、だめ……」
「何がだ?」
「お、おしっこの穴のとこ……指でぬるぬる、するの……!」
「色気がねえ言い方だな」
気持ち良すぎて腰が動いてしまう。俺の先端に押し付けられた頼寿の指が動く度にはしたなく開いた内股が痙攣し、背中を反らせて乳首への愛撫をねだってしまう。
「んあっ……!」
分かりやすいおねだりを受けて、俺の体を熟知している頼寿がすぐに乳首を含んでくれた。熱く濡れた柔らかい舌で激しく乳首を転がされ、喉から更に声が弾け飛んだ。
「や、あぁっ……、気持ちいっ、両方……!」
「玉雪、ケツ浮かせろ」
「んゃ、あぁっ……だめ、今お尻されたら俺っ……!」
「指じゃねえよ、今更物足りねえだろ」
「あっ……!」
上になった頼寿が俺の両脚を持ち上げて広げさせ、愛ある繋がりを待ち望む俺のそこを露出させる。
欲しい。欲しい。頼寿──。
笑うこと、嬉しいこと、感動、幸せ──何もなかった。
汚れて真っ黒だった俺を会長が救ってくれて、ワガママで世間知らずだった俺に頼寿が秘密の世界を教えてくれた。
体を動かすこと、汗をかくこと、拍手を貰うこと。
優しい友達、尊敬する先輩、大好きな人達。
汚れてガサガサだった俺の心は気付けば綺麗な水で満たされ、暖かな光をも宿すようになった。
その光の中で頼寿と踊る。触れられて、抱かれて、キスをする。
俺にしては、なんて上出来な人生──
「おい、何を見てる」
「えっ? い、いや別に!」
頼寿の眠そうな顔を見つめていたら、不機嫌そうに言われてしまった。恥ずかしくて思わず枕に顔を埋めながら、それでも嬉しくて含み笑いをしてしまう。
「まだ寝ないのかお前は」
「ちょっと寝たんだけど目が覚めちゃって」
午前三時、夜明けはもうすぐ。少しずつ薄くなっていく闇の中、頼寿と並んでベッドに寝ている現実にこの上なく幸福を感じる。
何をするでもなく裸でゴロゴロしている俺達の、まさにシエスタのような時間だ。
「頼寿、会長の誕生日にシエスタでイベントやるって、俺の希望聞いてくれてありがとう」
「俺の希望でもあったからな。ロッソ達もウチでステージやることになるとは思わなかったが」
「そ、それは俺がお願いしたから」
「まあサルベージとは一部客層も被ってるし、いいんじゃねえの」
素っ気なく言いながらも、本当は嬉しい頼寿。ロッソ君になんやかやと注文を付けながらも、コラボステージはかなり気合いを入れて細部まで作り込む予定なのだ。
意外と照れ屋で義理堅く友達想い──それがリアルの頼寿。
「へへ、やっぱカッコいい」
「誰のこと言ってんだ」
うつ伏せになっていた体を横に向け、頼寿の肩に頬をくっつける。
「決まってるだろ」
目を閉じれば頼寿が体を動かす感覚があって、俺はますます嬉しくなった。近くに感じる体温……それだけでもう、抱きしめてくれるって分かる。
「……ん」
抱き寄せられて密着して、重ねた唇の隙間でゆっくりと舌を絡ませる。誰にも見せない俺達だけのキス──心地好くて痺れそうで、身体中に幸せが循環していく。
「頼寿、……セックスする?」
「してえのか?」
「したい」
二ヒヒと笑って強く頼寿に抱きつけば、すぐにその腕が俺を包み込んでくれた。ゆっくりと体重をかけられてベッドに寝かされ、上から何度もキスを受ける。
「ん、……」
肌に唇を押し付けられると、嬉しくて自然と笑顔になってしまう。どこにキスされても気持ち良い……嬉しくて泣きそうだ。
「ゆ、ゆっくりしてる……スローなの気持ちい、……」
「ステージだと多少荒っぽくなるからな」
頼寿の手が俺の内股に触れ、ゆっくり、だけど力強く撫でられる。ステージでの刺激的な愛撫とは全然違う、優しくて穏やかな時間。……どっちも好きだと思ってしまうのは贅沢なんだろうなぁ。
「あ、ぁ……」
まだ柔らかいペニスを頼寿の手で優しく揉まれ、恥ずかしさに頬が熱くなる。恥ずかしいのと同時にエッチで嬉しい気持ちにもなるから不思議だ。頼寿に愛撫されると、何だか自分でもよく知らない自分になってしまう。
「ひ、やっ……頼寿、だめ……」
「何がだ?」
「お、おしっこの穴のとこ……指でぬるぬる、するの……!」
「色気がねえ言い方だな」
気持ち良すぎて腰が動いてしまう。俺の先端に押し付けられた頼寿の指が動く度にはしたなく開いた内股が痙攣し、背中を反らせて乳首への愛撫をねだってしまう。
「んあっ……!」
分かりやすいおねだりを受けて、俺の体を熟知している頼寿がすぐに乳首を含んでくれた。熱く濡れた柔らかい舌で激しく乳首を転がされ、喉から更に声が弾け飛んだ。
「や、あぁっ……、気持ちいっ、両方……!」
「玉雪、ケツ浮かせろ」
「んゃ、あぁっ……だめ、今お尻されたら俺っ……!」
「指じゃねえよ、今更物足りねえだろ」
「あっ……!」
上になった頼寿が俺の両脚を持ち上げて広げさせ、愛ある繋がりを待ち望む俺のそこを露出させる。
欲しい。欲しい。頼寿──。
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