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第一章 大岳ダンジョン編
第17話 二人の今後
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■奥多摩 大岳ダンジョン 30階層 隠れ温泉
生まれてこの方21年。
女性に体を洗われるのなんて、子供の時以来だ。
大学生でもあり、バイトで稼いだ金は洞窟探検と学費に注いできたので、その手の店に行ったこともない。
イカルからは「奢ってやるからいこうぜ!」と何度か誘われたが時間が合わなかったりして断っていた。
そんな俺が……今……チャンネル登録100万人の人気JK冒険者に背中を洗われている。
「背中だけでいいからな?」
「ひゃっ!? はい! わかってますよ!」
恥ずかしくて、振り向いて顔の見れない俺は前を向きながら話を続ける。
姫野にとってもそれがいいだろう。
「50階層からはサグルさんも行ったことないんですよね?」
「ああ、単位の都合もあって長く潜れることが少なかったからな……姫野とあわなくても、100階層をこの夏に目指そうとは思っていたな」
「そうなんですね……。あの、今更なんですけど……正式にサグルさんのパーティに私を入れてくれませんか?」
「ソロで動いていたのも何か理由があったんじゃないのか?」
俺が訪ねると、姫野は背中を洗う手を止めてポツポツと語りだした。
「はじめはお金を稼ぐことが目的だったんですよ。私の祖父がやっている古武道の道場の運営がうまくいってなくて」
「ダンジョンが発生してからなら、盛り上がりそうなんだがな……」
「モンスターを殴る蹴るよりかは、剣や斧などの武器術の方にみんな興味もっちゃって、【日本アーマードバトル協会】が主導で作った騎士団に行ったんです」
「なるほどな……そうなると確かに厳しいよな」
「だから、お金を稼ぎつつ古武道のことも広めることも兼ねて私が冒険者になって配信しているんです。けど、私のファンは増えても道場の門下生はあまり増えませんでした」
姫野の苦笑が漏れて、俺もつられて笑う。
仕方がないと言えば仕方がないことだ。
真似たいと思うようになることと見て楽しむことは別なのだから……。
命の危険があるダンジョンアタックをやっていくならば、なおさらだ。
「それで俺のパーティに入ることは何がかわるんだ?」
「私はもっと強くなって、おじいちゃんの技がダンジョンで使えることを伝えたいんです。そのためにはサグルさんと一緒にダンジョン攻略をして……【スキルカード】も貰えたらというのもありますが、一緒に行動するのが一番だと思っています」
「ダンジョンならではのことや、ダンジョン配信のアイデアについては姫野が必要ではあるからな……姫野がよければ構わない」
「ありがとうございます! それともう一つ、お願いがあるんです」
「なんだ?」
もじもじしているのか着ズレの音が少し聞こえて、心臓に悪い。
早く泡を流して湯舟につかりたい気分だ。
「織香って、名前で呼んでください。これからは一緒に命を懸けていくパーティになるんですから」
「……わかった、織香。これからもよろしくな」
「ありがとうございます! サグルさん! 泡を流しますね」
ザパーとお湯で俺の背中を流した織香は温泉から離れていった。
足音が消えるまで俺は振り返らずにいて、その後湯舟にしっかり使る。
少し冷えた体に温かいお湯が心地よかった。
「ダンジョン攻略にはいろんな思いがあるんだな……ただの洞窟探検の延長と思っていたが、考えを改めなきゃいけないな」
織香の想いを受け止め、俺はこれからのことをイカルともしっかり相談しなくてはいけないなと思う。
とりあえずは風呂の後はしっかり寝て、明日からの探検に備えるとしよう。
「誰もが行ったことのない先へ……か」
不安も少しあるが、それよりも興味の方が断然上だった。
生まれてこの方21年。
女性に体を洗われるのなんて、子供の時以来だ。
大学生でもあり、バイトで稼いだ金は洞窟探検と学費に注いできたので、その手の店に行ったこともない。
イカルからは「奢ってやるからいこうぜ!」と何度か誘われたが時間が合わなかったりして断っていた。
そんな俺が……今……チャンネル登録100万人の人気JK冒険者に背中を洗われている。
「背中だけでいいからな?」
「ひゃっ!? はい! わかってますよ!」
恥ずかしくて、振り向いて顔の見れない俺は前を向きながら話を続ける。
姫野にとってもそれがいいだろう。
「50階層からはサグルさんも行ったことないんですよね?」
「ああ、単位の都合もあって長く潜れることが少なかったからな……姫野とあわなくても、100階層をこの夏に目指そうとは思っていたな」
「そうなんですね……。あの、今更なんですけど……正式にサグルさんのパーティに私を入れてくれませんか?」
「ソロで動いていたのも何か理由があったんじゃないのか?」
俺が訪ねると、姫野は背中を洗う手を止めてポツポツと語りだした。
「はじめはお金を稼ぐことが目的だったんですよ。私の祖父がやっている古武道の道場の運営がうまくいってなくて」
「ダンジョンが発生してからなら、盛り上がりそうなんだがな……」
「モンスターを殴る蹴るよりかは、剣や斧などの武器術の方にみんな興味もっちゃって、【日本アーマードバトル協会】が主導で作った騎士団に行ったんです」
「なるほどな……そうなると確かに厳しいよな」
「だから、お金を稼ぎつつ古武道のことも広めることも兼ねて私が冒険者になって配信しているんです。けど、私のファンは増えても道場の門下生はあまり増えませんでした」
姫野の苦笑が漏れて、俺もつられて笑う。
仕方がないと言えば仕方がないことだ。
真似たいと思うようになることと見て楽しむことは別なのだから……。
命の危険があるダンジョンアタックをやっていくならば、なおさらだ。
「それで俺のパーティに入ることは何がかわるんだ?」
「私はもっと強くなって、おじいちゃんの技がダンジョンで使えることを伝えたいんです。そのためにはサグルさんと一緒にダンジョン攻略をして……【スキルカード】も貰えたらというのもありますが、一緒に行動するのが一番だと思っています」
「ダンジョンならではのことや、ダンジョン配信のアイデアについては姫野が必要ではあるからな……姫野がよければ構わない」
「ありがとうございます! それともう一つ、お願いがあるんです」
「なんだ?」
もじもじしているのか着ズレの音が少し聞こえて、心臓に悪い。
早く泡を流して湯舟につかりたい気分だ。
「織香って、名前で呼んでください。これからは一緒に命を懸けていくパーティになるんですから」
「……わかった、織香。これからもよろしくな」
「ありがとうございます! サグルさん! 泡を流しますね」
ザパーとお湯で俺の背中を流した織香は温泉から離れていった。
足音が消えるまで俺は振り返らずにいて、その後湯舟にしっかり使る。
少し冷えた体に温かいお湯が心地よかった。
「ダンジョン攻略にはいろんな思いがあるんだな……ただの洞窟探検の延長と思っていたが、考えを改めなきゃいけないな」
織香の想いを受け止め、俺はこれからのことをイカルともしっかり相談しなくてはいけないなと思う。
とりあえずは風呂の後はしっかり寝て、明日からの探検に備えるとしよう。
「誰もが行ったことのない先へ……か」
不安も少しあるが、それよりも興味の方が断然上だった。
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