25 / 51
第一章 大岳ダンジョン編
第25話 怪獣大決戦
しおりを挟む
■奥多摩 大岳ダンジョン 79階層
暴風が起こり、部屋の中を包み込んだ。
余りの風の強さで吹き飛ばされそうになるのを〈粘着糸〉で固定する。
回転する亀が近づくたびに、びゅうびゅうと風を切る音が大きくなった。
「ここは私に任せてください! 使ってみたいものがあるんです」
「何か手があるならば、頼んだ!」
俺は飛ばされそうになっているトーコ先生を〈粘着糸〉で固定した。
俺の方がスキルレベルは高いのでより強い力で固定してくれる。
後ではがすのが面倒ではあるが、吹き飛ばされては元も子もなかった。
その間にも織香が回転する竜巻へと走っていく。
「〈竜の尾〉で……ドラゴンテイルアッパーッ!」
織香の尻から鱗に覆われた尾が生えてきた。
見るからに堅そうな尾を体を捻って勢いよく振う。
ブオンと大きく空気を裂く音が鳴って竜巻の回転の下側から亀の甲羅を突き上げた。
織香とは5倍以上の体格差があったものの、竜の力が加わっているのか軽々と亀は吹き飛び、天井にぶつかる。
『ナン……ダト!?』
亀を使役していた魚人が呆然とした顔でその様子を眺めている。
口をあんぐりと開けているのは驚いている証拠だ。
:魚人くんの顎が外れそう
:これはビビるわ
:手か、技を決めた織姫ちゃんも唖然としてね?
:それなw
ガラガラと天井から砕けた破片が落ちる中、織香は深呼吸を一つして亀の真下に移動する。
しっかりとしゃがみ込み、力をためた。
ガラッと大きな音がしたかと思うと、巨大な亀が重力に引かれて落下してきた。
しゃがみこんでいた織香は落ちてくる亀を見上げると某格闘ゲームの主人公ばりの対空技を放つ。
「天織流 奥義・天龍掌!」
〈潜在能力:超振動〉をも込めた拳が巨大亀の甲羅の尖った部分にあたり、巨大亀の自重の勢いと織香の拳が合わさって巨大亀の体をバラバラにした。
:ゲージ技みたいなの来たw
:これ格ゲーなら織姫ちゃんがシャドゥになってるなw
:きゃー、織香ちゃん素敵ー!
亀からドロップしたデカイ魔石と、亀の甲羅の破片をトーコ先生が拾っている。
俺はスコップを取り出して、大型魚人に向かって構えた。
「さぁ、いろいろ喋って貰おうか? 脅しなんかはあまりしたくないんだが……」
『オマエ、ワカルノカ!』
「ああ、何の因果かな? 邪神の復活を阻止する方法を教えてもらおう」
『フッカツ、イケニエイル! イケニエ! オマエラ! イケニエ!』
〈異界言語〉もレベル1だと片言に近い感じにしか聞こえないが俺達を生贄に捧げて邪神を復活しようとさせていたようだった。
「こっちは片付いたよ~魚人との会話はどうだ~い?」
トーコ先生がとっとことと可愛いステップを踏んで近づいてくる。
ダンジョンでの活動が慣れたのか、気が張っている様子はなかった。
『オンナ! チ! イケニエ!』
大型魚人が俺を押しのけてトーコ先生に迫った、鋭い歯がトーコ先生の肩口に食らいつく。
油断していたと気づくのが遅かったが、そんなことを考えている場合じゃない。
「くそっ! 離れろっ!」
俺はスコップを振って、大型魚人の首をはねた。
トーコ先生の肩口から無理やりはがされた大型魚人の首は勢いよく空中で回転し、祭壇の中央に置いてあった盃の中へと落ちる。
すると、神殿自体が大きく揺れた。
邪神の復活が近いのかもしれない。
「トーコ先生! 大丈夫か!?」
「あはは……ちょっと、油断……しちゃった、ねぇ~」
肩口の傷が深く、血が流れて白衣をじわじわと染めていった。
俺は〈粘着糸〉で傷口を無理やり塞ぐ。
(だが、この後どうする? このままではトーコ先生の命が危ない)
顔の青さからして、出血がひどいことを物語っていた。
俺は立ち上がり、静かに織香に伝える。
「トーコ先生を背負って、出口まで急げ。ここから先は俺だけで行く」
「でも、そんな!?」
「このままじゃ邪神の復活するかもしれない……ならば、二手に分かれるのが一番だ」
「わかってます……けどっ!」
「配信は流れているから、助けが来るかもしれないし他の方法だって出来上がるかもしれない……でも、それらは可能性だ」
『オリちゃん、ここはサグルに任せて早く地上に来るんだ。こっちも今ギルド職員さん経由で救助隊の手はずをと整えてるから途中で合流だってできるかもしれない』
俺とイカルの説得を受けた織香は目に涙を大量に浮かべながら頷く。
青白い顔のトーコ先生をおんぶすると、俺に近づき、背を伸ばして唇にそっとキスをしてきた。
「かならず、戻ってきてください……サグルさんと一緒にダンジョンをもっと潜りたいですから……」
「ああ、わかっている。だから早くいけ。戦闘は極力避けて最短距離で走れ」
「はい、さっきのアダマントタートルを倒した時に入ったステータスポイントは全部AGLに振りました。全速力で走っていきます! 早めに戻ってきますから、サグルさんも気を付けてください!」
織香は涙を腕で拭ってから、神殿の入ってきた方へと走っていく。
その後ろ姿を見送った後、俺は反対のダンジョンの奥へと向かった。
「世界平和とか、本当に探検家の領分を超えているよ……まったく」
でも、織香やトーコ先生に感化されたのかダンジョン攻略のために全力を尽くしたいという気持ちにもなっている。
「平和に洞窟探検できる世界を取り戻すために、人肌脱ぐとするか……」
俺の心に迷いはなく、ダンジョンを潜っていく足取りも軽かった。
暴風が起こり、部屋の中を包み込んだ。
余りの風の強さで吹き飛ばされそうになるのを〈粘着糸〉で固定する。
回転する亀が近づくたびに、びゅうびゅうと風を切る音が大きくなった。
「ここは私に任せてください! 使ってみたいものがあるんです」
「何か手があるならば、頼んだ!」
俺は飛ばされそうになっているトーコ先生を〈粘着糸〉で固定した。
俺の方がスキルレベルは高いのでより強い力で固定してくれる。
後ではがすのが面倒ではあるが、吹き飛ばされては元も子もなかった。
その間にも織香が回転する竜巻へと走っていく。
「〈竜の尾〉で……ドラゴンテイルアッパーッ!」
織香の尻から鱗に覆われた尾が生えてきた。
見るからに堅そうな尾を体を捻って勢いよく振う。
ブオンと大きく空気を裂く音が鳴って竜巻の回転の下側から亀の甲羅を突き上げた。
織香とは5倍以上の体格差があったものの、竜の力が加わっているのか軽々と亀は吹き飛び、天井にぶつかる。
『ナン……ダト!?』
亀を使役していた魚人が呆然とした顔でその様子を眺めている。
口をあんぐりと開けているのは驚いている証拠だ。
:魚人くんの顎が外れそう
:これはビビるわ
:手か、技を決めた織姫ちゃんも唖然としてね?
:それなw
ガラガラと天井から砕けた破片が落ちる中、織香は深呼吸を一つして亀の真下に移動する。
しっかりとしゃがみ込み、力をためた。
ガラッと大きな音がしたかと思うと、巨大な亀が重力に引かれて落下してきた。
しゃがみこんでいた織香は落ちてくる亀を見上げると某格闘ゲームの主人公ばりの対空技を放つ。
「天織流 奥義・天龍掌!」
〈潜在能力:超振動〉をも込めた拳が巨大亀の甲羅の尖った部分にあたり、巨大亀の自重の勢いと織香の拳が合わさって巨大亀の体をバラバラにした。
:ゲージ技みたいなの来たw
:これ格ゲーなら織姫ちゃんがシャドゥになってるなw
:きゃー、織香ちゃん素敵ー!
亀からドロップしたデカイ魔石と、亀の甲羅の破片をトーコ先生が拾っている。
俺はスコップを取り出して、大型魚人に向かって構えた。
「さぁ、いろいろ喋って貰おうか? 脅しなんかはあまりしたくないんだが……」
『オマエ、ワカルノカ!』
「ああ、何の因果かな? 邪神の復活を阻止する方法を教えてもらおう」
『フッカツ、イケニエイル! イケニエ! オマエラ! イケニエ!』
〈異界言語〉もレベル1だと片言に近い感じにしか聞こえないが俺達を生贄に捧げて邪神を復活しようとさせていたようだった。
「こっちは片付いたよ~魚人との会話はどうだ~い?」
トーコ先生がとっとことと可愛いステップを踏んで近づいてくる。
ダンジョンでの活動が慣れたのか、気が張っている様子はなかった。
『オンナ! チ! イケニエ!』
大型魚人が俺を押しのけてトーコ先生に迫った、鋭い歯がトーコ先生の肩口に食らいつく。
油断していたと気づくのが遅かったが、そんなことを考えている場合じゃない。
「くそっ! 離れろっ!」
俺はスコップを振って、大型魚人の首をはねた。
トーコ先生の肩口から無理やりはがされた大型魚人の首は勢いよく空中で回転し、祭壇の中央に置いてあった盃の中へと落ちる。
すると、神殿自体が大きく揺れた。
邪神の復活が近いのかもしれない。
「トーコ先生! 大丈夫か!?」
「あはは……ちょっと、油断……しちゃった、ねぇ~」
肩口の傷が深く、血が流れて白衣をじわじわと染めていった。
俺は〈粘着糸〉で傷口を無理やり塞ぐ。
(だが、この後どうする? このままではトーコ先生の命が危ない)
顔の青さからして、出血がひどいことを物語っていた。
俺は立ち上がり、静かに織香に伝える。
「トーコ先生を背負って、出口まで急げ。ここから先は俺だけで行く」
「でも、そんな!?」
「このままじゃ邪神の復活するかもしれない……ならば、二手に分かれるのが一番だ」
「わかってます……けどっ!」
「配信は流れているから、助けが来るかもしれないし他の方法だって出来上がるかもしれない……でも、それらは可能性だ」
『オリちゃん、ここはサグルに任せて早く地上に来るんだ。こっちも今ギルド職員さん経由で救助隊の手はずをと整えてるから途中で合流だってできるかもしれない』
俺とイカルの説得を受けた織香は目に涙を大量に浮かべながら頷く。
青白い顔のトーコ先生をおんぶすると、俺に近づき、背を伸ばして唇にそっとキスをしてきた。
「かならず、戻ってきてください……サグルさんと一緒にダンジョンをもっと潜りたいですから……」
「ああ、わかっている。だから早くいけ。戦闘は極力避けて最短距離で走れ」
「はい、さっきのアダマントタートルを倒した時に入ったステータスポイントは全部AGLに振りました。全速力で走っていきます! 早めに戻ってきますから、サグルさんも気を付けてください!」
織香は涙を腕で拭ってから、神殿の入ってきた方へと走っていく。
その後ろ姿を見送った後、俺は反対のダンジョンの奥へと向かった。
「世界平和とか、本当に探検家の領分を超えているよ……まったく」
でも、織香やトーコ先生に感化されたのかダンジョン攻略のために全力を尽くしたいという気持ちにもなっている。
「平和に洞窟探検できる世界を取り戻すために、人肌脱ぐとするか……」
俺の心に迷いはなく、ダンジョンを潜っていく足取りも軽かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる