探検サークル存続のためにダンジョン配信をはじめたら、人気のJKインフルエンサーを助けてバズってしまった件

橘まさと

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第一章 大岳ダンジョン編

第26話 母なるヒュドラ

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■奥多摩 大岳ダンジョン 89階層

 80階層で休憩もとらずに俺は走っていた。
 全力で駆けてダンジョンを一気に下る。
 目の前に立ちふさがるものをスコップで倒していったが、途中で折れてしまった。
 〈強酸液〉〈粘液糸〉〈炎の吐息〉をはじめ、もてる限りのスキルを使って、ついに89階層までたどり着く。
 開いていない扉の奥から重苦しい気配が漂ってきた。
 
「早く決着をつけなければな……トーコ先生の状況がわからない」

 扉をあけたとき、ヘルメットがコロンと落ちる。
 よく見ればボロボロになっていて、無茶な行軍をした結果だということを物語っていた。
 〈危険感知〉が部屋の奥にいる存在がヤバイのかアラートを流し続けている。

「ドローンは……とっくになくなっていたか」

 周囲を見回しても存在は確認できず、イヤホンも勢いよく動いたおかげかどっかに行っていた。
 俺が2年ほど前から洞窟探検の一環としてダンジョンに潜っていた時期と同じ状況である。
 だが、今一人になったことで不安を感じている俺がいた。

「この短い間にずいぶん心で支えられていたんだな……」

 自嘲するように笑って、部屋の中に進むと扉がしまる。
 真っ暗な中に、ズルズルと何かが這う音がした。
 蝙蝠系モンスターから獲得した〈暗視〉により、俺の目が動く存在を捉えた。
 巨大な二足歩行をする体に竜のような蛇の様な9本の首が生えている。

「ヤマタノオロチにしては首が多いな……鑑定もないから、スキルも不明。名前も不明、わからないことばかりでこの恐怖感か……ハハハ」

 おもわず乾いた笑いをしてしまう。
 人間は恐怖を感じるとおかしくなるって誰かがいっていたが、本当のようだ。
 武器もないが、あるのは多くのスキルである。

『◎△$♪×¥●&%#?!』
「〈異界言語Lv1〉じゃ、聞き取れないか……いや、聞き取れる方がヤバイ気もするからこれでいいか」

 向かい合った俺達は互いに見つめあっていた。

「戦う時は敵をよく見て観察する方がいいと、織香が行っていたな」
 
 短い期間ではあるもののダンジョン内で共に行動した仲間の言葉がしっかりと根付いていた。
 織香やトーコ先生、イカルに配信を見てくれたチャンネル登録者達……。
 そのすべてがバケモノを相対した俺に力を与えてくれた。

「こんなバケモノを地上に出すわけにはいかないな」
『◎△$♪×¥●&%#?!』

 お互いに互いの存在を許さないとばかりににらみ合う。
 大きく息を吸って吐いた。
 織香がよくやっている息吹というやつだ。
 偶然助けた存在ではあるものの、織香の存在が俺にとって大きなものになっていことを感じる。
 生きて帰るという約束を果たさなければならなかった。

「行くぞ! お前をここで倒す!」
『◎△$♪×¥●&%#?!』

 9つの首が大きく波をうったかと思うと、口から紫色の煙を吐き出す。
 毒々しい色からして、毒の息だろうが……。

「悪いな、〈毒耐性〉は既に他のモンスターでMAXまで成長済みだ」

 煙の中に突っ込んでいき、胴体のところまでたどりつく。
〈筋力強化〉もMAXまで成長している俺の脚力は全力を出せばかなりのものだ。

「おらぁぁぁっ!」

 格闘家のようなきれいなフォームではなく、ヤンキーが喧嘩で使うような力任せだけのパンチを俺は放つ。
 ドゴォォォォンと強烈な拳が怪物の胴体に叩き込まれて、怪物が倒れた。
 すさまじい衝撃が起こり、地面に亀裂が入る。
 
『◎△$♪×¥●&%#?!』

 倒れた怪物は9つの首を手のように使って起き上がる。
 そして首が伸び、俺に食らいつこうと牙を向いた。

「ちっ、織香に今度いなしとか教わっておきたいな」

 格闘技ができるわけではないので、俺は避けたり、蹴ったりするのが精いっぱいだ。
 近づいてパンチができるわけではないので攻めきれない。
 一度、後ろに下がって距離を開けた。

『◎△$♪×¥●&%#?!』

 9つの首のうち8つが時間差で火炎弾を放ってくる。
 毒は効かないと理解しての攻撃なので、知能はいいようだ。

「頭が回る敵というのは厄介だな……」

 火炎弾を今後放たれないようにトーコ先生にならって、火炎弾をよけながら〈粘液糸〉を飛ばして開いた口を塞いでいく。
 怪物の残った1つの首が再び毒息をはいた。
 毒は効かないものの、目の前が紫色の煙で染まる。

「さて、どうしたものか……」

 お互いに決定打のない戦いが始まった。
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