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一杯目 出会いのニンニク醤油ラーメン
第10話 ラーメン屋、ラーメンの効果を知る
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■ヴァルディール・教会前
「こんなに笑顔な子供たちを見るのは久しぶりだよ」
リンダはカウンターに片腕をのせながら子供たちを優しい瞳で見つつ呟いた。
その瞳にはやさしさの他に寂しさもあるようだが、突っ込むのははばかれる。
「ごちそうさまでした。このお店は絶対流行ると思います! 私もこれから事務作業の残りがあるんですが、すごくやる気に満ち溢れてるんですよ!」
替え玉を頼んで食べていたイリナが器とフォークをゴミ袋に捨てて、拳を握って空へと突き上げた。
空は夕日の茜色が広がりだしている。
この時間から仕事があるとは、異世界の役所関係も大変そうだ。
「やる気があるのはいいことだな」
そういった俺はふと、夜鴉の面々がラーメンを食べたことで強化された見たいなことを言っていたのを思い出した。
イリナのステータスをちょっと覗いてみる。
【 名 前 】 イリナ・べリエール
【 年 齢 】 22歳
【 職 業 】 商業ギルド職員
【 レベル 】 10
【 体 力 】 35+7
【 魔 力 】 25+5
【 攻撃力 】 8+1
【 防御力 】 7+1
【 俊敏性 】 6+1
( スキル ) 高速計算、交渉術
(バフ)ニンニクラーメン【全能力+20%、効果時間:3時間まで】
「体力+7 !?」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもない」
俺のつぶやきにイリナが怪訝そうな顔で覗いてきた。
ゲームでいうところの強化が入っているのは明らかである。
さらに、効果が能力値の増加が3時間も続くというのはすごいのではないだろうか?
このまま伝えていいのかは正直悩んだ。
相談するのであれば、セシリアがいいだろう。
「さて、今日はここでは店じまいとするか……明日からもここで開店していいよな?」
「はい、大丈夫です。私の方でも商業ギルドでもオススメしておきますね。何かあれば商業ギルドまでおこしください」
「それは嬉しいな、頼むよ……あ、これから働くというなら持って行ってくれ。餃子だ」
「この『ぎょーざ』も美味しいのよ」
イリナは一礼して立ち去ろうとするが、その手にルーミラが餃子を持たせる。
ホカホカしている餃子の温かさにイリナは嬉しそうに笑い喜んだ。
「この後の仕事も頑張ります! それでは失礼します!」
スキップしながら立ち去るイリナを見送ると、俺はキッチンカーとテーブルを片付け始める。
「リンダもあとでな」
「ああ、あたしも子供たちを送ったら戻るさ」
リンダと別れて、俺はキッチンカーを収納すると屋敷へと足を向けた。
■『夜鴉』ホーム・セシリアの部屋
「あら、タケシさんがわたくしを訪ねるなんて珍しいですわね」
「ちょっとな……こういう話はセシリアさんにしかできそうもなくて」
セシリアの部屋を訪ねるとちょうどいてくれて助かった。
部屋の中は本棚と机とベッドといった整理された部屋である。
女性らしさはないが、セシリアっぽいというのが俺の感想だ。
「それでどうされたのですか?」
「ラーメンのバフ効果についてです……さっき、教会の前で商業ギルドの担当者の方に食べてもらったのですが、ステータスを鑑定したらバフという項目があって、全能力+20%とあったんですよ」
「全能力+20%!? それはとんでもないですね……」
「それが3時間続くらしいです」
「そうであれば、ゴルドヒルシュを私たちが『らぁめん』を食べた後に倒せたのがわかりました」
セシリアはコクコクと頷いて、先日の状況に納得したようだった。
だけどと、ひとこと間をおいてからセシリアは俺を真剣なまなざしで見つめてくる。
「ですけれど、この情報は他に話をしない方がいいですわね。タケシさんの力を悪用する人がでないとは限りませんわ。わたくし達が常にタケシさんを護衛できるわけではないので……」
「俺としては厄介事を避けてラーメンだけ作っていきたいだけなんですけどね……」
「食べればバフのかかる料理なんて、広まれば厄介事になるのは避けれないですわ」
俺はため息をつくが、場所代を稼いだり孤児院の子供たちに向けて料理を提供しないなんてもってのほかだ。
「厄介事はこの際諦めて、やりたいことをします。喜んでくれる人のために料理を作るのが俺の抱いていた夢なんで」
覚悟を決めた俺はセシリアさんに答える。
「そうでしたら、従業員として奴隷を買ったりなども検討するといいですわね。護衛もできるものも多いので役に立ちますわ」
「そのあたりは稼いでから考えます」
トラブルに対する覚悟を決めると俺は明日の営業のために早めに寝ることにした。
「こんなに笑顔な子供たちを見るのは久しぶりだよ」
リンダはカウンターに片腕をのせながら子供たちを優しい瞳で見つつ呟いた。
その瞳にはやさしさの他に寂しさもあるようだが、突っ込むのははばかれる。
「ごちそうさまでした。このお店は絶対流行ると思います! 私もこれから事務作業の残りがあるんですが、すごくやる気に満ち溢れてるんですよ!」
替え玉を頼んで食べていたイリナが器とフォークをゴミ袋に捨てて、拳を握って空へと突き上げた。
空は夕日の茜色が広がりだしている。
この時間から仕事があるとは、異世界の役所関係も大変そうだ。
「やる気があるのはいいことだな」
そういった俺はふと、夜鴉の面々がラーメンを食べたことで強化された見たいなことを言っていたのを思い出した。
イリナのステータスをちょっと覗いてみる。
【 名 前 】 イリナ・べリエール
【 年 齢 】 22歳
【 職 業 】 商業ギルド職員
【 レベル 】 10
【 体 力 】 35+7
【 魔 力 】 25+5
【 攻撃力 】 8+1
【 防御力 】 7+1
【 俊敏性 】 6+1
( スキル ) 高速計算、交渉術
(バフ)ニンニクラーメン【全能力+20%、効果時間:3時間まで】
「体力+7 !?」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもない」
俺のつぶやきにイリナが怪訝そうな顔で覗いてきた。
ゲームでいうところの強化が入っているのは明らかである。
さらに、効果が能力値の増加が3時間も続くというのはすごいのではないだろうか?
このまま伝えていいのかは正直悩んだ。
相談するのであれば、セシリアがいいだろう。
「さて、今日はここでは店じまいとするか……明日からもここで開店していいよな?」
「はい、大丈夫です。私の方でも商業ギルドでもオススメしておきますね。何かあれば商業ギルドまでおこしください」
「それは嬉しいな、頼むよ……あ、これから働くというなら持って行ってくれ。餃子だ」
「この『ぎょーざ』も美味しいのよ」
イリナは一礼して立ち去ろうとするが、その手にルーミラが餃子を持たせる。
ホカホカしている餃子の温かさにイリナは嬉しそうに笑い喜んだ。
「この後の仕事も頑張ります! それでは失礼します!」
スキップしながら立ち去るイリナを見送ると、俺はキッチンカーとテーブルを片付け始める。
「リンダもあとでな」
「ああ、あたしも子供たちを送ったら戻るさ」
リンダと別れて、俺はキッチンカーを収納すると屋敷へと足を向けた。
■『夜鴉』ホーム・セシリアの部屋
「あら、タケシさんがわたくしを訪ねるなんて珍しいですわね」
「ちょっとな……こういう話はセシリアさんにしかできそうもなくて」
セシリアの部屋を訪ねるとちょうどいてくれて助かった。
部屋の中は本棚と机とベッドといった整理された部屋である。
女性らしさはないが、セシリアっぽいというのが俺の感想だ。
「それでどうされたのですか?」
「ラーメンのバフ効果についてです……さっき、教会の前で商業ギルドの担当者の方に食べてもらったのですが、ステータスを鑑定したらバフという項目があって、全能力+20%とあったんですよ」
「全能力+20%!? それはとんでもないですね……」
「それが3時間続くらしいです」
「そうであれば、ゴルドヒルシュを私たちが『らぁめん』を食べた後に倒せたのがわかりました」
セシリアはコクコクと頷いて、先日の状況に納得したようだった。
だけどと、ひとこと間をおいてからセシリアは俺を真剣なまなざしで見つめてくる。
「ですけれど、この情報は他に話をしない方がいいですわね。タケシさんの力を悪用する人がでないとは限りませんわ。わたくし達が常にタケシさんを護衛できるわけではないので……」
「俺としては厄介事を避けてラーメンだけ作っていきたいだけなんですけどね……」
「食べればバフのかかる料理なんて、広まれば厄介事になるのは避けれないですわ」
俺はため息をつくが、場所代を稼いだり孤児院の子供たちに向けて料理を提供しないなんてもってのほかだ。
「厄介事はこの際諦めて、やりたいことをします。喜んでくれる人のために料理を作るのが俺の抱いていた夢なんで」
覚悟を決めた俺はセシリアさんに答える。
「そうでしたら、従業員として奴隷を買ったりなども検討するといいですわね。護衛もできるものも多いので役に立ちますわ」
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