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第1章 リアルドとジーヴス
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「カーマイン、 今日は楽しかったわ」
「それはよかったよ」
「また、 来てもいいのよ……ね?」
「いいよ」
「嬉しい!ではまた次まで元気でいてね、 カーマイン!」
アイリスはカーマインに軽いハグをしてから手を振り帰って行った。
オルセンは名残惜しそうにベルライナを見ていたが、 アイリスの急かす声に急かされ家を後にする。
「………はぁ」
アイリスが見えなくなるまで笑顔でいたカーマインはため息を吐く。
そして部屋へと戻るカーマインの後ろに付き従いベルライナも着いて行った。
ゆったりと広い椅子に座るカーマインは背もたれに体を預けて天を仰ぐ。
「………疲れた」
「お疲れ様です、 ご主人様」
お花の香りがするお茶をクーフェンに差し出す。
お茶に浮かぶ蕾がゆっくりと花開くのをカーマインは黙って見ていた。
「……花茶かぁ」
「たまには良いかなと思いまして」
「うん、 ありがとう」
暖かいお茶が喉を通り腹から体を温めてくれる。
「……ベル、 体調は?」
「私は大丈夫です」
「本当に?……おいで、 ベルライナ」
「………………はい」
差し出されたカーマインの手に己の手を重ねると、 カーマインは軽く引っ張り足の間にベルライナに誘導する。
手を伸ばしたことで軽く屈んだベルライナの額にクーフェンの冷たい手が触れ、 ベルライナは目を細めた。
「………少し熱が上がってきたかな…叔父の頼みだからアイリスの訪問を断れなくてごめん、 体辛かっただろ?」
「そんな…私は平気です」
屈んだことにより近付いた二人の距離。
カーマインは屈んだベルライナの膝裏に腕を伸ばして抱き上げ自身の膝の上に座らせた。
「あ……ご主人様、 いけません」
「ベルライナ」
「は…い?」
「嫌な気持ちにさせてごめんね」
「え?」
「アイリスが子を成す話をしただろ?」
「あ…」
「ごめんね」
リアルドは任意ではあるがジーヴスに子を成す
働きかけが出来る。
アイリスが言っていた通り、 ジーヴスは短命種族だ。
寿命は30年から35年、 1番長く生きたジーヴスは37歳だった。
その為、 ジーヴスが亡くなった後リアルドは新たなジーヴスを手に入れる。
これを生涯で少なくとも3回はしなくてはいけない。
その為、 ジーヴスは遅くても20代前半で子を成す必要がある。
そうしないとジーヴスの数が減るからだ。
ジーヴスの数を増やす、 それもリアルドが力を入れなくてはならない事の1つである。
リアルドはリアルドと結婚して子を成すのだが、ジーヴスは生涯リアルドに付き従う為、 結婚という概念がない。
ジーヴスとは、 リアルドに付き従い適齢期に子を産み次の時代に繋ぐ。
子を産んだ後は今まで通り主人に尽くし一生を終えるのだ。
「…………こんなの、 間違ってる…」
カーマインはこの仕組みに疑問を持っていた。
同じ命ある存在なのに、 どうしてこんなに優劣が着くのか。
それは誰にもわからない。
「………この世界は、 そういう風に出来ているのです。」
「………でもさベル。君たちジーヴスだって幸せになれる権利はあると思うんだ」
「……私は、 ご主人様がそのように考えて下さるだけで幸せです。この世界も全てが暗闇なのではないのだと、 そう思うのです」
幸せそうに笑うベルライナにカーマインは泣きそうになった。
あまりにもベルライナが儚いから。
「……君の人生を俺が貰う代わりに、 俺は君を守ってみせるよ」
月明かりが反射してカーマインの髪を煌めかせた。
そして、 ベルライナの漆黒の翼が灰色に変わる。
「………そうか、 今日は満月か」
「はい」
満月、 それはベルライナにとって特別な日だった。
彼女がジーヴスでは無いと証明されてしまう唯一の夜。
そして、 カーマインがベルライナに子を成す事を進めない理由でもある。
白はリアルド
黒はジーヴス
そして、 灰色はリアルドとジーヴスのハーフである。
ハーフとして生まれる子供は、 見た目はどちらかの容姿を受け継いで生まれる。
リアルド寄りの子もいるし、 ジーヴス寄りの子もいる。
ベルライナはジーヴス寄りの子だった。
その為、 短命のジーヴスと同じく10歳でセリに出されジーヴスとしてカーマインに従うのだ。
ベルライナはジーヴスの血を濃く受け継いだ為短命だ。
だからこそ、 限られた命が尽きるまでクーフェンに寄り添い生きると決めた。
そんなハーフの翼が唯一灰色に変わるのは満月の夜。
何故そうなるのかは解明されていないが、 これによりハーフであることが分かる。
しかし、 必ず15歳になってから変わる。
親が教えない限り、 15歳になり初めて自分がハーフである事を知るのだ。
そして、 リアルドもジーヴスも子を成せるのは15歳が過ぎてから。
この15歳が成人の区切りにもなるし、 ハーフと知らない子が、15歳未満で子を出すとある事が起きる。
その防止のためだった。
「…………子を為したら、 君は寿命よりも早く逝ってしまう。だから、 俺は君の希望が無いのなら子を産む事を反対し続けるよ」
「はい、 わかっております。」
「それはよかったよ」
「また、 来てもいいのよ……ね?」
「いいよ」
「嬉しい!ではまた次まで元気でいてね、 カーマイン!」
アイリスはカーマインに軽いハグをしてから手を振り帰って行った。
オルセンは名残惜しそうにベルライナを見ていたが、 アイリスの急かす声に急かされ家を後にする。
「………はぁ」
アイリスが見えなくなるまで笑顔でいたカーマインはため息を吐く。
そして部屋へと戻るカーマインの後ろに付き従いベルライナも着いて行った。
ゆったりと広い椅子に座るカーマインは背もたれに体を預けて天を仰ぐ。
「………疲れた」
「お疲れ様です、 ご主人様」
お花の香りがするお茶をクーフェンに差し出す。
お茶に浮かぶ蕾がゆっくりと花開くのをカーマインは黙って見ていた。
「……花茶かぁ」
「たまには良いかなと思いまして」
「うん、 ありがとう」
暖かいお茶が喉を通り腹から体を温めてくれる。
「……ベル、 体調は?」
「私は大丈夫です」
「本当に?……おいで、 ベルライナ」
「………………はい」
差し出されたカーマインの手に己の手を重ねると、 カーマインは軽く引っ張り足の間にベルライナに誘導する。
手を伸ばしたことで軽く屈んだベルライナの額にクーフェンの冷たい手が触れ、 ベルライナは目を細めた。
「………少し熱が上がってきたかな…叔父の頼みだからアイリスの訪問を断れなくてごめん、 体辛かっただろ?」
「そんな…私は平気です」
屈んだことにより近付いた二人の距離。
カーマインは屈んだベルライナの膝裏に腕を伸ばして抱き上げ自身の膝の上に座らせた。
「あ……ご主人様、 いけません」
「ベルライナ」
「は…い?」
「嫌な気持ちにさせてごめんね」
「え?」
「アイリスが子を成す話をしただろ?」
「あ…」
「ごめんね」
リアルドは任意ではあるがジーヴスに子を成す
働きかけが出来る。
アイリスが言っていた通り、 ジーヴスは短命種族だ。
寿命は30年から35年、 1番長く生きたジーヴスは37歳だった。
その為、 ジーヴスが亡くなった後リアルドは新たなジーヴスを手に入れる。
これを生涯で少なくとも3回はしなくてはいけない。
その為、 ジーヴスは遅くても20代前半で子を成す必要がある。
そうしないとジーヴスの数が減るからだ。
ジーヴスの数を増やす、 それもリアルドが力を入れなくてはならない事の1つである。
リアルドはリアルドと結婚して子を成すのだが、ジーヴスは生涯リアルドに付き従う為、 結婚という概念がない。
ジーヴスとは、 リアルドに付き従い適齢期に子を産み次の時代に繋ぐ。
子を産んだ後は今まで通り主人に尽くし一生を終えるのだ。
「…………こんなの、 間違ってる…」
カーマインはこの仕組みに疑問を持っていた。
同じ命ある存在なのに、 どうしてこんなに優劣が着くのか。
それは誰にもわからない。
「………この世界は、 そういう風に出来ているのです。」
「………でもさベル。君たちジーヴスだって幸せになれる権利はあると思うんだ」
「……私は、 ご主人様がそのように考えて下さるだけで幸せです。この世界も全てが暗闇なのではないのだと、 そう思うのです」
幸せそうに笑うベルライナにカーマインは泣きそうになった。
あまりにもベルライナが儚いから。
「……君の人生を俺が貰う代わりに、 俺は君を守ってみせるよ」
月明かりが反射してカーマインの髪を煌めかせた。
そして、 ベルライナの漆黒の翼が灰色に変わる。
「………そうか、 今日は満月か」
「はい」
満月、 それはベルライナにとって特別な日だった。
彼女がジーヴスでは無いと証明されてしまう唯一の夜。
そして、 カーマインがベルライナに子を成す事を進めない理由でもある。
白はリアルド
黒はジーヴス
そして、 灰色はリアルドとジーヴスのハーフである。
ハーフとして生まれる子供は、 見た目はどちらかの容姿を受け継いで生まれる。
リアルド寄りの子もいるし、 ジーヴス寄りの子もいる。
ベルライナはジーヴス寄りの子だった。
その為、 短命のジーヴスと同じく10歳でセリに出されジーヴスとしてカーマインに従うのだ。
ベルライナはジーヴスの血を濃く受け継いだ為短命だ。
だからこそ、 限られた命が尽きるまでクーフェンに寄り添い生きると決めた。
そんなハーフの翼が唯一灰色に変わるのは満月の夜。
何故そうなるのかは解明されていないが、 これによりハーフであることが分かる。
しかし、 必ず15歳になってから変わる。
親が教えない限り、 15歳になり初めて自分がハーフである事を知るのだ。
そして、 リアルドもジーヴスも子を成せるのは15歳が過ぎてから。
この15歳が成人の区切りにもなるし、 ハーフと知らない子が、15歳未満で子を出すとある事が起きる。
その防止のためだった。
「…………子を為したら、 君は寿命よりも早く逝ってしまう。だから、 俺は君の希望が無いのなら子を産む事を反対し続けるよ」
「はい、 わかっております。」
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