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第2章 種族の優劣 命の重み
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しおりを挟む月に2度行われる武道大会。
それは、 リアルド主催のリアルドの為に催される大会だ。
お互いのジーヴスを見せつけるように戦わせて優勝を決める、 ただの娯楽である。
出ないと、 自分のジーヴスは弱いからと言っているようなもので、 侮られる。
武器の携帯は許されておらず、 純粋な体術での戦闘なのだが打ちどころが悪く亡くなるジーヴスもしばしば見かける。
もちろん、 カーマインはベルライナを大会に出場させた事はないし、 させるつもりもなかった。
しかし、 この武道大会の面倒な所は地区により分けられたチーム戦なのだ。
基本的に7人を1グループとして、 出場は4人以上となっている。
4人いたら問題なく出場できるのだ。
そんなカーマインの地区の7人のジーヴスは皆適齢期で妊娠する人が増えた。
たまたまだが、このチームの半数以上が女性なのだ。
妊婦は未来に繋ぐジーヴスの為に出場は出来ない。
その為に、 今まで出場しなかったクーフェンに話が来たのだ。
代わりに出てくれ、 と。
クーフェンは最初チームのメンバーにベルライナを戦わせるつもりは無いとハッキリ断っていた。
人数はいるし、 ベルライナはまだ幼い少女だった。戦力にならないだろうと考えたリアルド達は、 緊急時以外の戦闘の免除を認めたのだ。
しかし、 今回は緊急事態。
ベルライナが出ないと人数が足りず失格になる。
クーフェンは渋々頷いたのだった。
クーフェンは朝早くからベルライナを連れて街に繰り出していた。
レンガで出来た道にブーツがあたりコツコツと音を鳴らす。
「暑いね、 ベルは大丈夫かい?」
「はい、 ご心配ありがとうございます」
ライナスが訪問してからひと月がたち、 夏本番になってきた。
ベルライナはノースリーブのシャツにアシンメトリーのロングスカートを風で揺らしながらあるく。
全体的に茶色で纏められたコーディネートに、 真っ赤なバレッタが良く映える。
このバレッタはベルライナが雨の中買い出しに出た日、 カーマインが受け取った荷物である。
ひと目見て似合うなと思ったカーマインは即決して購入を決めた。
裏にカーマインとベルライナの名前を掘った為郵送となったのだ。
「………これを私に……?」
「似合うと思ってね。付けてあげる」
「…………………」
「?嬉しくなかったかい?」
パチリと音を鳴らして止めたバレッタ。
鏡越しでサイドの髪を上げたベルライナが写る。
次第に涙が浮かび両手で顔を覆った。
「ご主人様……どうしましょう」
「なに?」
「嬉しすぎて、 私、 私、 どうすればいいのですか?」
「ほら」
両手を広げているカーマインに気付き、 ベルライナは恐る恐る近付くと、 すぐに優しく抱きしめられた。
いつの間にか追い越された身長に、 少し筋肉が着いた体。
ベルライナは少しずつ逞しくなるカーマインの肩に額を押し付けた。
「ベル、 君はただ俺の隣で笑っているだけでいいんだよ。俺はそれだけで満足なんだから」
わかるでしょ?
そう耳元で囁かれたベルライナは顔どころか首まで真っ赤に染め必死に頷いた。
「ただ、 ありがとうって言ってよ」
「…………ありがとう、ございます」
そんなカーマインから貰ったバレッタを、 ベルライナは大切にしていた。
大切にしすぎて使わずしまっているくらいに。
だから、 今回の外出でカーマインが付けて?とお願いしたのだ。
恐る恐る付けてカーマインを見ると頷くので、 ベルライナは嬉しそうに笑った。
「っっっ!!」
「え?ご主人様!?」
「もう……………可愛い顔はさ、 俺以外の男に見せないでよ?」
「な!何を言われますか!」
抱き締めながら言うカーマインにただただ照れるベルライナだった。
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