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第2章 種族の優劣 命の重み
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「やあ、 久しぶりだね」
「随分会わなかったからね」
片手を上げて爽やかに笑うリアルドの男性と、 眼鏡を掛けて本を片手に立つ神経質そうな男性。
そんなふたりにカーマインは手を振った。
「まさかお前が出場を認めるとはな、 以外だった」
眼鏡を押し上げて言うリアルドの青年、 レオンはベルライナをチラリと見て、 戦えるのか?と聞いた。
カーマインは近くのカフェへと誘導しながら、 顔だけを振り向き笑う。
「うちの子は優秀だよ」
「…………ふーん」
細い肢体にゴボウのような手足のベルライナ。
そんな彼女をどこが強いって…?と鼻で笑って言ったレオンに、 もう1人のリアルド、 ドミニクが笑って背中を叩いた。
「まぁまぁ、 いいじゃないか!弱かろうが何だろうが人数はそろったんだ。出場しちゃえばこっちのもんだろ?」
そうフォローにもなっていない言葉を口にするドミニク。
好青年なイメージで爽やかな青年だが、 言葉の端々にジーヴスを馬鹿にしたような雰囲気が見え隠れする。
ベルライナを見て戦力外と感じたドミニクが言った言葉の意味は、 出場さえすれば3人のジーヴスで勝ち上がれるし最悪死んでも大丈夫だろ?
という意味。
それにカーマインが眉をはねあげる。
「今回クーフェンは来れないみたいだから3人での打ち合わせな」
「………わかったよ」
クーフェンとは、 残り1人の参加者の事だ。
ローテーションに出場していたうちの一人で、 慣れている為この集まりに来なくても支障はない。
ほぼカーマインの為だけに集まったのだ。
リアルドとジーヴス合わせて6人が揃い、 カフェで大会の話を始める。
「とりあえずは…」
テーブルを指で叩きながらカーマインが話し出す。
この指を叩く動作はあまりいい感情を抱いていない時に無意識にしている動作だ。
ベルライナはカーマインの後ろに立っているため、 いち早くその様子に気付く。
さすがに外でベルライナを座らせれない。
この暑い中ベルライナを立たせたままにするのはカーマインにとってあまり嬉しい状況ではない。
「まあ、 知っての通り大会は最低4人参加の勝ち抜き戦だ。相手チームによってはフルの7人参加なんてのもあるのは知ってるだろ?」
「ああ」
「なるべく連戦はこっちでやる。そんなゴボウみたいな奴に勝てるわけないからな」
そう言うレオンに、 カーマインは眉を寄せて「…言ってくれるじゃなか」と呟いた。
「ジーヴスはお前のとこ以外はなんどもたたかってるし、 3人のうち2人は男だ。まあ何とかなるだろ」
歯を見せて笑うドミニクにカーマインは頷くと、 そのタイミングで店員のジーヴスが飲み物を持ち現れる。
これにレオンは嫌そうな顔をする。
「………ジーヴスか」
「ハズレだなー」
この店員のうち1人は店長のジーヴスがウェイトレスをしている。
店のお仕着せを着て頭を下げ頼まれた飲み物を4つ置いた。
「………数まちがってるぞ」
「3つしか頼んでないだろ?」
「いえ、 あのご注文は4つに…」
「見たらわかるだろ?リアルドは3人しかいないのに」
ドミニクが小さく笑いながら言う。
テーブルに置かれた4つのコップを見て店員のジーヴスが困りきった時、 カーマインは手を伸ばして2つのコップを掴んだ。
「俺が2つ頼んだんだ。悪いね」
「はぁ?カーマイン?」
「………何言ってるんだ?」
注文はアイスミルクティを3つ。
そうドミニクが頼んでいたのをカーマインも知っていた。
確かに注文数は3つだが、 このジーヴスの責められている姿にいたたまれなくなったのだ。
たぶん彼女はこの後店側からも叱責を受けるだろう。
それなら、 頼んだことにすればいいじゃないか。
「後から1つ追加したんだよ。言わなくて悪かったね」
「…………ふぅーん」
「お前ふたつ飲むのか?」
ドミニクが笑いながら言うと、 カーマインは振り返りベル…と名前を呼んだ。
「ほら、 暑いから少し飲んで。倒れたら困るから」
「はい」
「…………ジーヴスにかよ」
ドミニクもレオンも呆れる中、 カーマインは良い笑顔で笑う。
「自分のジーヴスの体調管理は主人の務めだろ?おかしいことはしてないけど?」
2、3口のんだベルライナはストローから口を離すのを見てコップを受け取るカーマイン。
また時間を見て飲ませるつもりだ。
変なやつだな……と言うドミニクに、 そうかい?と返事を返したカーマイン。
そんな会話をしているあいだ、 隣に立つ店員のジーヴスは羨ましそうにベルライナを見ていた。
「……………こんなところか」
カフェに来て1時間半、 やっと話がまとまった3人は息を着いた、
既に飲み物は無く氷が溶け水分が溜まっている。
「あー、 疲れた」
「ああ、 だが良い話が出来た」
「確かになぁー」
大会についての話はなかなか有意義なもので、 カーマイン達は満足そうにしている。
ベルライナ以外のジーヴスは慣れているのか、 1時間半立ち続けている様には見えない。
「よし、 じゃあ後は大会で……」
ゴゴゴゴゴゴゴ………………
「またか!」
椅子を立ち上がったその時、 急に大きな地震。
あちこちで悲鳴が響く中、 カーマインは咄嗟にベルライナを引き寄せ己の胸に包み庇う。
しゃがみ込みベルライナを覆うように守った。
「……………収まった…か?」
「………………」
「ベル、 怪我は?」
「ないです、 ご主人様」
ベルライナを離し顔を覗き込むカーマインに小さく微笑む。
そんなベルライナに安心して頷いた。
「………それにしても、 最近多いな」
そんなレオンの声にカーマインとドミニクが揃って頷いた。
「随分会わなかったからね」
片手を上げて爽やかに笑うリアルドの男性と、 眼鏡を掛けて本を片手に立つ神経質そうな男性。
そんなふたりにカーマインは手を振った。
「まさかお前が出場を認めるとはな、 以外だった」
眼鏡を押し上げて言うリアルドの青年、 レオンはベルライナをチラリと見て、 戦えるのか?と聞いた。
カーマインは近くのカフェへと誘導しながら、 顔だけを振り向き笑う。
「うちの子は優秀だよ」
「…………ふーん」
細い肢体にゴボウのような手足のベルライナ。
そんな彼女をどこが強いって…?と鼻で笑って言ったレオンに、 もう1人のリアルド、 ドミニクが笑って背中を叩いた。
「まぁまぁ、 いいじゃないか!弱かろうが何だろうが人数はそろったんだ。出場しちゃえばこっちのもんだろ?」
そうフォローにもなっていない言葉を口にするドミニク。
好青年なイメージで爽やかな青年だが、 言葉の端々にジーヴスを馬鹿にしたような雰囲気が見え隠れする。
ベルライナを見て戦力外と感じたドミニクが言った言葉の意味は、 出場さえすれば3人のジーヴスで勝ち上がれるし最悪死んでも大丈夫だろ?
という意味。
それにカーマインが眉をはねあげる。
「今回クーフェンは来れないみたいだから3人での打ち合わせな」
「………わかったよ」
クーフェンとは、 残り1人の参加者の事だ。
ローテーションに出場していたうちの一人で、 慣れている為この集まりに来なくても支障はない。
ほぼカーマインの為だけに集まったのだ。
リアルドとジーヴス合わせて6人が揃い、 カフェで大会の話を始める。
「とりあえずは…」
テーブルを指で叩きながらカーマインが話し出す。
この指を叩く動作はあまりいい感情を抱いていない時に無意識にしている動作だ。
ベルライナはカーマインの後ろに立っているため、 いち早くその様子に気付く。
さすがに外でベルライナを座らせれない。
この暑い中ベルライナを立たせたままにするのはカーマインにとってあまり嬉しい状況ではない。
「まあ、 知っての通り大会は最低4人参加の勝ち抜き戦だ。相手チームによってはフルの7人参加なんてのもあるのは知ってるだろ?」
「ああ」
「なるべく連戦はこっちでやる。そんなゴボウみたいな奴に勝てるわけないからな」
そう言うレオンに、 カーマインは眉を寄せて「…言ってくれるじゃなか」と呟いた。
「ジーヴスはお前のとこ以外はなんどもたたかってるし、 3人のうち2人は男だ。まあ何とかなるだろ」
歯を見せて笑うドミニクにカーマインは頷くと、 そのタイミングで店員のジーヴスが飲み物を持ち現れる。
これにレオンは嫌そうな顔をする。
「………ジーヴスか」
「ハズレだなー」
この店員のうち1人は店長のジーヴスがウェイトレスをしている。
店のお仕着せを着て頭を下げ頼まれた飲み物を4つ置いた。
「………数まちがってるぞ」
「3つしか頼んでないだろ?」
「いえ、 あのご注文は4つに…」
「見たらわかるだろ?リアルドは3人しかいないのに」
ドミニクが小さく笑いながら言う。
テーブルに置かれた4つのコップを見て店員のジーヴスが困りきった時、 カーマインは手を伸ばして2つのコップを掴んだ。
「俺が2つ頼んだんだ。悪いね」
「はぁ?カーマイン?」
「………何言ってるんだ?」
注文はアイスミルクティを3つ。
そうドミニクが頼んでいたのをカーマインも知っていた。
確かに注文数は3つだが、 このジーヴスの責められている姿にいたたまれなくなったのだ。
たぶん彼女はこの後店側からも叱責を受けるだろう。
それなら、 頼んだことにすればいいじゃないか。
「後から1つ追加したんだよ。言わなくて悪かったね」
「…………ふぅーん」
「お前ふたつ飲むのか?」
ドミニクが笑いながら言うと、 カーマインは振り返りベル…と名前を呼んだ。
「ほら、 暑いから少し飲んで。倒れたら困るから」
「はい」
「…………ジーヴスにかよ」
ドミニクもレオンも呆れる中、 カーマインは良い笑顔で笑う。
「自分のジーヴスの体調管理は主人の務めだろ?おかしいことはしてないけど?」
2、3口のんだベルライナはストローから口を離すのを見てコップを受け取るカーマイン。
また時間を見て飲ませるつもりだ。
変なやつだな……と言うドミニクに、 そうかい?と返事を返したカーマイン。
そんな会話をしているあいだ、 隣に立つ店員のジーヴスは羨ましそうにベルライナを見ていた。
「……………こんなところか」
カフェに来て1時間半、 やっと話がまとまった3人は息を着いた、
既に飲み物は無く氷が溶け水分が溜まっている。
「あー、 疲れた」
「ああ、 だが良い話が出来た」
「確かになぁー」
大会についての話はなかなか有意義なもので、 カーマイン達は満足そうにしている。
ベルライナ以外のジーヴスは慣れているのか、 1時間半立ち続けている様には見えない。
「よし、 じゃあ後は大会で……」
ゴゴゴゴゴゴゴ………………
「またか!」
椅子を立ち上がったその時、 急に大きな地震。
あちこちで悲鳴が響く中、 カーマインは咄嗟にベルライナを引き寄せ己の胸に包み庇う。
しゃがみ込みベルライナを覆うように守った。
「……………収まった…か?」
「………………」
「ベル、 怪我は?」
「ないです、 ご主人様」
ベルライナを離し顔を覗き込むカーマインに小さく微笑む。
そんなベルライナに安心して頷いた。
「………それにしても、 最近多いな」
そんなレオンの声にカーマインとドミニクが揃って頷いた。
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