続・美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する

くみたろう

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21話 起床の衝撃と暴かれた真実(挿絵あり)

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 鳥インフリャー蔓延の話を聞いてから2日後。
 昨日はシュミットの部屋での就寝だった。
 芽依はまだ仕事があるから先に寝てろと言われた為、何故か部屋にある白いクマのぬいぐるみを抱き枕に眠った。
 室内ではシュミットが夜遅くまで仕事をしてたようだが、朝から晩まで庭作業を楽しむ芽依は疲れていて眠りこけ、シュミットがベッドに入るのに全く気付かない程である。

 そして、起床。
 ここ最近で1番の驚きに出会う。
 それこそ焦り恥ずかしさ、衝撃があった甘やかな夜よりもある意味刺激が強い。
 理由はこの部屋の主であるシュミットなのだが、何時もは先に起きているシュミットがまだ眠っていた。それはいいのだ。
 彼の眠っている姿は少し幼く、ふわもこ部屋着も相まって可愛く見えるのだが、それどころでは無い。

「………………な、なに……なになになになに」

 小声で呟く。
 疲れているのか全く目を覚まさないシュミットは、胸の上に本を置いた状態で眠っていた。
 少し読書をしてから眠ろうとしたのだろうが、これは寝落ちだろう。 
 だが、それもいいのだ。

「ふ……ふわ……ふわ……あああぁぁぁあ、なにこれ可愛い……似合ってる……え、すき。え、どうすればいいのこの衝撃……」

 指先でそのフワフワを触る。
 それは髪だった。肩より少し長いくらいだったシュミットのフワフワした髪が今では背中ほどまである。
 本を持ち長い髪の眠るシュミットは可愛い以外の言葉がない。 
 しかも、何故かフェンネルの浴衣にカーディガンを羽織っている。 


(挿絵はイメージです)

「え、1ヶ月の夏休みサービスタイムにこんなスペシャル隠されてたの? え、なに? 頭バグるんだけど」

「………………ん?」

 ゆっくりと目を上げたシュミットがボーッとしている。
 一点を焦点の合ってない目で見つめてから、ゆっくりと芽依を見た。

「………………メイ?」

「シュミットさん……どうしたんですかこの髪……」

「…………お前が……言ったんだろ……長い方がいいって……」

「……………………っ!」

 以前、湖で遊んでいる時に唐突に聞かれた事だ。
 シュミットは髪の長い3人を見て聞いてきたのだが、別に以前の長さのシュミットに不満はない。
 だが、今のシュミットの破壊力が凄い。
 可愛さと影のある感じ、背徳感が凄いのだ。
 まだ眠いのだろう、ポヤポヤしているシュミットが持っている本をそっと避けて横に滑り込んだ。
 ギュッと抱きつくと、仰向けで寝ていたシュミットが横を向いて芽依を抱きしめこめかみに口付けを落とす。
 はだけたシュミットの胸元に頬がつき、芽依はドキドキと胸を高鳴らせる。

「………………うぅ……だめだ……最近痴女っぷりが増している」

 ちょっと触りたいとか、チラリとお胸が見えてますね? とか邪な感情が湧き上がったのは全て蟻のせいだと責任転嫁する。
 そんな煩悩に塗れた芽依はウトウトしているシュミットを見上げた。

「………………かっわ」

 たまらない……と思っている時だった。
 バタン! と扉が開く。

「おはよー! 朝……だ……よ……」

 起きてこない2人を起こしに来たフェンネルはニコニコ顔から直ぐに首を傾げて困惑する。

「………………え、なんで一緒に寝て……? え、昨日はメイちゃんシてない……よね?」

 困惑気味に言うフェンネルに芽依は、はっ! とする。
 そうだ、皆はシュミットさんと一緒に寝ていると言ってなかった! と。

 芽依は慌てて体を起こすが、2人が狼狽えている意味がわからないシュミットは眠気に目を擦りながら首を傾げた。
 その姿にきゅん! としたが、今は違うとフェンネルを見る。

「フェンネルさん、あの……あのね?」

「……まさか……ずっと? ずっと一緒に……?」

「……………………おわった」

 起き上がり怪訝そうに見るシュミットと、泣きそうなフェンネルを見てから、力無く呟いた。



「…………………………ボーナスタイムゥゥゥ……いたたたたたたたた!!」

 現在芽依は頭をギリギリと捕まれお仕置タイムである。
 身の安全を守る為に同室で寝るが、芽依の体の安全を考えてだれも同衾はしなかった。
 全員ベッドなり布団なりを芽依の為に用意したのだが、それを知らないシュミットは来た時からずっと一緒のベッドで眠っていた。
 承諾を得た時、わざと同室だが同衾ではないと言わなかった芽依。
 聞いていた家族達もまさか一緒に寝ているとは思っていなかった。
 1週間に1度のハストゥーレが芽依を喰う時以外は独り寝だと誰も疑わなかったからだ。
 そして、当然全員と寝ていると思っていたシュミットは頭を抱えていた。

「………………お前ね、なんで言わない」

「だって言ったらシュミットさん一緒に寝てくれないじゃないですかぁぁぁ」

 芽依はシュミットの部屋の雰囲気や調度品に香りを気に入っていた。
 元々住んでいたシュミットの家も好きだし、今のシュミットの部屋も大好きなのだ。
 暖かく柔らかい良い香りのベッドに包まれ、ふわもこの部屋着やパジャマ姿のシュミットに抱きつき眠る時間は至福の時間だ。

 取り上げられたくない一心で黙っていた芽依に非があるのだが悲しみ、しゅんとするフェンネルと、それを慰めるハストゥーレを見ていたら申し訳なくなる。
 ちなみに、今も頭をギリギリさせてくるメディトークにはお許しくださいと土下座済みだ。

「お願いしますっ! 私からベッドとシュミットさんを奪わないで下さいっ!! お願いしますぅ」

 椅子に座るメディトークが、土下座する芽依を見下している。
 頬杖をつき見ている姿は王様かな? と言葉が零れそうだが、言ったら芽依のお叱りが長引くだろう。
 チラチラと見ていると片方の眉をピクリと上げたから、また頭を静かに下げた。

 
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