[完結]かぼちゃ頭と夜のハロウィン

くみたろう

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閑話 あれから 2

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 予想外の反応に、思わずじっと見てしまう。
 その視線に気付いているのか、顔を上げたかぼちゃ頭は、表情を顔に乗せる術は無いのに苦笑しているのが分かった。

「半日ほど一緒にいたのに悪かったな。おれはホロウシェイドだ」

 この個としての外見を持たないホロウシェイドは、皮肉にも抜け殻の影と呼ばれる事もある怪異なのだとか。
 顔や肉体に至るまで、生まれた時から他人の姿を写どらなくては姿を保てない。
 そんな空っぽの怪異だった。
 姿に合わせているかのようにその心もからっぽで空白だったホロウシェイドにとって、カナトを見た時の衝撃は凄まじかった。

 どうしても欲しい。絶対に手に入れる。

 カナトは知らない。 強い執着を向けられていることを。

「……もう1時になる。寝るか」

「そうだな」

 ホロウシェイドに促されて素直に頷いたカナトはそのまま布団に潜り込んだ。
 そっと布団を掛けられて、頭を撫でられるカナトは、驚き目を丸くしている。

「どうした」

「……なんでなでた?」

「撫でたかったから」

「……そう、か?」

 不思議そうにしながらも頷いたカナトは安心と温かさに一気に眠気が襲いかかってきて意識が途切れた。
 フカフカの布団に体を沈め穏やかに眠るカナトを見つめるホロウシェイドは、シュルリと衣類を着替えるように姿が変わった。

 オレンジのサラサラの髪はセンター分けで、同色の瞳は少しつり上がっている。
 青白い肌で薄く微笑む姿はこの闇夜では怖く感じるかもしれないホロウシェイドは、ずっと昔に移したこの外見を好んで使用していた。

 とはいえ、言いようによってはカナトの好きな外見に変えられると言うことでもある。
 少しでもカナトが気に入る姿でありたいと小さく微笑んだホロウシェイドは、カナトの隣に滑り込んだ。

 そう、カナトは恐怖を回避するために頷いたのであって、ホロウシェイドがカナトに向ける感情に頷いたわけではないのだ。

 はやく、自分の所に落ちておいで、と思いながら同じく目を瞑った。





 穏やかな眠りが突如邪魔されたのは、午前三時の事だった。
 眠ってから二時間しか経っていないというのに、カナトに襲いかかってきたのは強烈な快感。
 まだ慣れない耳や尻尾がシーツに擦れて痺れる。
 どうしようも無い感覚に身を捩ればその分倍になって返ってくるのだ。
 カナトは、感じたことのない疼きに困惑していた。
 今すぐ触りたい。この感覚に促されるままに、何も考えずに快楽にふけりたい。

 そう思うのだが、背中合わせで感じるホロウシェイドの温もりに意識が戻された。
 既に中心は立ち上がり痛いくらいなのに、処理が出来ないもどかしさに掻きむしりたくなる。

 かといって、トイレや浴室に立ち上がりそっと行けるほど力は残っておらず、我慢ができずに崩れ落ちそうなのだ。

 人がいるところで自慰など出来ない。 だが。

 そんな葛藤に身を震わせている時、ゆっくりと腰に手が回ってきた。
 するりと腰を撫でていく感覚に、ビクッと体が跳ねて大袈裟に声が上がった。

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 普段人の気配がない場所で眠るホロウシェイドは、人の気配と好きな相手が背中越しにいる事で眠りが浅かった。
 幸福の中で微睡む気持ちよさに、もう眠れると全身が重く感じた頃、ホロウシェイドは、カナトの声に反応して飛び起きた。
 一気に覚醒したホロウシェイドは、顔を歪ませて身悶えるカナトを見て目を見開く。

「大丈夫か?」

「う……たの、む……一人に、して、く……れ」

 苦しそうに小さく縮こまり、自身を抱きしめるカナトを心配そうに見つめるホロウシェイドは、優しく頭を撫でると、触れる耳にブルっと震えた。

「ふっ……んぁぁっ!」

「……カナト、少し触ってもいいか? その方が体が楽になるぞ」

「ぃ……嫌だっ!」

 強く首を横に振って拒否するが、もう体は限界でフニャリと溶けてしまいそうに力は入らない。

 必死に抵抗し、体を起こすが簡単にホロウシェイドに捕まってしまった。
 優しく抱き寄せられ、体を離そうと手を突き出した時だった。

「…………は、だれ」

「ホロウシェイドだが……あぁ、寝やすいように姿を変えていたんだ……好みの姿になれるが、これは嫌か?」

 伏せ目がちにカナトを見て聞くホロウシェイドに、目を極限まで見開いた。
 姿が変えられると言っても、いきなりこんなかっこいい人に抱き締められたらビックリしないわけがない。

 カナトは所謂ノーマルだ。
 今まで付き合ってきた相手は女性で、間違っても男性とそういった雰囲気になることなどなかった。
 
 だが、わかる。
 わかってしまった。

 その眼差しが熱を帯びてカナトを見ている。
 優しく蕩けるような眼差しなのに、その表情は心配を前面に出していて、なんとも居心地が悪い。

 ふっ、と視線を逸らすと抱きしめているホロウシェイドの手が優しく背中を撫でた。

「んぅ!」

「見ているのが忍びない。悪いが触るぞ」

 しんどいだろう? と声を掛けられるだけでゾクゾクと痺れを感じるカナトは目を見開いた。

  
 
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