[完結]かぼちゃ頭と夜のハロウィン

くみたろう

文字の大きさ
19 / 24

閑話 ※あれから 3

しおりを挟む

「っ、……まっ、」

 弱々しいカナトの声がホロウシェイドの動きを制止させようとするが、それはなんの枷にもならない。
 ゆっくりとパジャマの裾から入ってくる温められた手が腰を優しく撫でた。
 これは、普段ならカナトがする側だろう。
 女性の柔らかな肢体を抱きしめ、優しく脱がしていく。

 なのに、今女性のように体を愛撫されているのはカナトの方だ。

 困惑、不安。 だが、やはり不快感はない。
 何故だろうか、外見も変わったのに恐怖心は相変わらず沸いてこない。
 それどころか、安堵感が強く、触れられる大きな手のひらに気持ち良さすら感じる。

 白い手袋で覆われていた手は、柔らかく暖かな素肌を出して、腰周りを撫でている。

「……嫌な気持ちにはならないか?」

「っ、き、もち、いい……から、やめて、くれ……」

「気持ち良いか、そうか」

 少し緊張していたのだろうホロウシェイドの硬質な声が、ふっ……と柔らかく響く。
 その瞬間、またカナトの腹部がズクン! と疼いた。

「……っ、ホロウ、しぇ……っ、ン……」

 カナトの小さく漏れる声には艶やかさがあり、名を呼ばれた事もあって、ホロウシェイドの体がカッ! と熱くなる。
 自らの姿が無いとはいっても、体は存在している。
 周りの人と同じく寒さや暑さ、痛み等の五感はちゃんとある。 性欲や、快感も。

「っ……気持ちいいな、カナトの肌は」

 やめ、……と力無く答えているカナトは抱き込まれたまま身を捩った。
 少し浮いた隙間から手が腹部に回ってくる。

「カナト、男と経験はあるか?」

「あるっ、わけ……」

「……そうか。では、優しく触れよう」

「ちょっ……」

 腹部を優しく撫でるホロウシェイドの手は暖かいのに、それ以上に熱いカナトの体。
 触れるだけの手は、余計にカナトの体の熱を上げるのだが、それをわかっていてホロウシェイドは様子を見ながら指先を滑らす。

「なん、で……」

「ん?」

「なんで、こんなに体が……おかしいんだっ」

 眉を寄せて熱い息を吐き出すと、あぁ……と低く響く声が耳元で聞こえた。
 後ろから抱きしめられているカナトは、自分よりも大きな体に包まれ、その温かさに息を吐く。
 甘く練られたかぼちゃのような香りがして、瞑っていた目をうっすらと開いた。

「これだな」

「あっ! さわ、……あん! あっ、あぁ……」

 耳を優しく撫でるホロウシェイドの手にピクッと体がはねて、耳がペタリと垂れる。
 それを優しく撫でながら、垂れている耳の隙間に入り込み、人差し指で優しく撫でた。
 内側から皮膚の薄い場所を指の腹で撫でたかと思えば、かるく爪を立てられシーツを握る。

「この世界は、人間が住むように出来ていないんだ。だから、あの狭間で体を慣らしていた。食事に飲み物、あの仮装衣装に耳と尻尾。だが、まだ体が慣れていないから、この世界で反動がきてるんだろう」

「あっ!! あぅ!……なんでこんな、反動…… 」

「そうだな、困ったなぁ」

「やめっ……耳元で、」

 ふぅ……と、声を漏らすカナトに、力を抜けと甘い声が追い討ちをかける。
 そんなの無理だと首を横に振ったが、腹部を撫でる手がゆっくりと上がっていく事に目を見開いた。

「強情だなぁ」

「やめっ!……あぁ!」

 優しく肌に手を滑らせるだけで、カナトはビリビリと強すぎる快楽が駆け巡る。
 今にもはち切れそうな自分自身にそっと手を当てると、これ以上ないくらいに上を向いて腹部にビッタリと寄り添わせていた。
  
 ホロウシェイドはまだ、そちらは触らない。

 だが、服の中に侵入した手は優しく胸の飾りを捉えた。

「あっあっ!! んぅ! やめっ、あぁ!」 

 生理的な涙を流して声を一段高くしたカナトに、ゴクリと喉を鳴らしたホロウシェイド。
 今すぐ触れたかった訳ではなかった。
 カナトの気持ちがホロウシェイドに向いて、寄り添うまで待つつもりだったのに、現実は気持ちよりも体が求める。

 カナトの様子を見ながら、まるで導かれるように手を動かすと、甘い声が上がった。

 カナトのパジャマのボタンを外し、肌を出す。
 薄っすらと赤く染った肌はしっとりしていて、そのまま首筋にゆっくりと唇を当てた。

 「っ……」

「……カナト」

「ぁ……ン……」

 カナトの体が、愛を受け入れるように甘やかに変わっていく。
 穏やかに、緩やかに、ホロウシェイドを受け入れ始め、カナトの震える手が助けを求めるように伸ばされた。

「こっちを向け」

 顎を捉えて顔の向きを変えたホロウシェイドに、蕩ける表情を見せるカナト。
 そっと唇を重ねると、あれ程抵抗していたカナトが静かに瞳を閉じた。 
 それを見てから、啄むように唇を食む。
 まだ唇に力が入っているカナトの胸の飾りを指先で転がすと、直ぐに力が抜けて口が開いた。

「っん! んぅ……んっんん……」

 カナトの口の中に舌を差し込み、頭をぐっと引き寄せるホロウシェイドの服を握りしめる。
 人と同じ姿だからか、口付けに違和感がない。
 優しい肉厚の舌は、まるで慰めるように上顎を撫でた。
 ピクっ! と体が揺れてカナトの中心がふるりと揺れた。
 ギュゥゥゥ……と、シーツを握りしめるが、体の力は次第に抜けていった。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました

ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。 落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。 “番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、 やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。 喋れぬΩと、血を信じない宰相。 ただの契約だったはずの絆が、 互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。 だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、 彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。 沈黙が祈りに変わるとき、 血の支配が終わりを告げ、 “番”の意味が書き換えられる。 冷血宰相×沈黙のΩ、 偽りの契約から始まる救済と革命の物語。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 最終回まで予約投稿済みです。 毎日8時・20時に更新予定です。

転生?憑依? 中身おっさんの俺は異世界で無双しない。ただし予想の斜め上は行く!

くすのき
BL
最初に謝っておきます! 漬物業界の方、マジすまぬ。 &本編完結、番外編も! この話は――三十路の男が、ある日突然、ラシェル・フォン・セウグとして異世界におりたち、ひょんな事から助けた8歳の双子と婚約して、ゴ◯チュウもどきから授かった力で回復薬(漬物味)を作って、なんか頑張るコメディーBLです!

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

処理中です...