59 / 69
第四章: 新人教育
4-6
しおりを挟むニコが少し手を上げて聞くと、ジュディは頷いた。
「エクソシストになる方法は、基本的に私たち祓い師と変わらないわ。一度祓い師となって退職、独学で知識をつけて個人でエクソシストになった人もいるわね。祓霊庁で外部向けにも修正請願はやっているから、そこで神の力を授かるのが一般的よ。始まりは様々で、その後を選ぶのも自由だわ。悪魔の階級や、種類もデータベースに乗っている物は基本的に見ることも可能だから、かならずしも祓霊庁でなくてはいけないわけではないわ」
「祓霊庁は大きな組織だ。その分抱えている祓い師の人数も多いから、ある程度予想できる悪魔の階級に応じて祓い師の選別が出来るし、信頼を得ている。だがな。個人ではそれが難しい。ホットラインはまた別だが、予め来た依頼を悪魔が強いからと断る場合がある。逆に、対応可能だと危険手当として依頼料をはね上げる場所もあるな」
アルベルトが腕を組みながらジュディの言葉を補助するように続けた。
「……金額を上げる」
「そうよ。祓霊庁では、予め決められている料金表があって、それ以上の追加料金は無いけど、個人は全て自分で決めれるから。その分料金も割増傾向よ。個人の方が初動が早いから、一刻を争う時にはエクソシストに頼む人も多いのだわ」
こういった場合があるから、以前の工場で対応したマシューのように「金にものを言わせる祓い師」のイメージを持つ人が居るのは事実だ。
彼らには祓い師もエクソシストも関係ない。一般市民からしたら、結局は同じ悪魔祓いをする人と一括りにされてしまう。
全員がなるほど……と納得して板書を書いていく。
思ったよりもちゃんと聞いてくれていると、安心していると、また別の質問が飛んできた。
「悪魔の強さによって、対応できる祓い師が変わるって聞いたけど、どう違うんだ」
ティモフェイが首を傾げながら聞く。
大きな体を無理やり椅子に詰め込んでいるような窮屈そうな様子にジュディが咳払いをしてから、またホワイトボードを確認する。
もう凌雅が消して書く準備をしていた。
「祓い師、エクソシストどちらもそれぞれ力の強さは違うわ。見習いは知識量は勿論、実践経験が少なく実力も足りない。だから、祓霊庁では明確な位置付けをしているの。それが階級制度よ」
ジュディが後ろを見ると、既に階級について凌雅が丁寧に書き始めていた。
それぞれの階級と、その中に含まれる三つの段階。
「今。あなた達はApprenticのApprenticという階級になるの。見習いよ」
「見習い」
「そう、知識を学び、現場を知って少しずつ階級を上げるんだ。無駄に死んで欲しくないからな」
新が書類を見終わり机に置きながら言った。
三人の視線が新に向かう。 その後すぐに、ニコはセラフィエルを見た。
「……あの、セラ……さんの階級はなんなんですか?」
唐突に聞かれたセラフィエルは、ニコに顔を向けて穏やかに笑顔を向けた。
「InitiateのExorcistです」
「あなた達の階級Apprenticの中には更に三つの階級があるの」
Novice、Trainee、Apprenticeの三種類がある。
最初はApprenticeから開始して、Noviceまで行き、国家資格でもあるInitiateを受けて合格したら、一人前となる。
このInitiateの中でも、一番上の位置にセラフィエルが居ることを教えると、全員が驚いていた。
やはり盲目の祓い師は、それだけで弱く見られるのだろう。
この階級によって扱える悪魔の等級がある事を伝えると、三人はそれぞれ顔を見あわせていた。
四つに別れている階級のうち上位階級のSentinelと、Vanguardがバディを務めると聞いて、ニコの眼差しがジェイクに固定する。
この場には、四人のSentinelが居る。
その一人のジュディとニコはバディを組むのだが、やはりニコはジェイクと組みたいのだ。
あの時助けてくれた姿が今も目に焼き付いている。
同じSentinelなら、良いじゃないかと思っているのだ。
だが、同じSentinelでも、その戦闘スタイルは違うし、相性もある。
新人が特に怖い先輩でチェンジしたいだったり、優しい先輩で良かった、など、それぞれ意見はあるが、相性や性格なども加味されている為、個人での変更は認められていない。
勿論、Sentinelからでもだ。
「こうやって、少しずつ祓い師として強くなっていって、それに合う悪魔祓いの現場に行くの。無理をして強い悪魔と引き合せる事はしないから安心して。もし何かあったら、退避、又はこちらから支援員として派遣もするわ。この階級を示すブローチは、緊急信号にもなっているから、強く押すとここに知らせが来るの。忘れないでね。SentinelとInitiateの組み合わせだと、ある程度どの位の悪魔にも対応可能になるわ。それでも難しい時は緊急として上位のSentinelやVanguard同士で組んで現場に向かう。ここら辺は、まだ早いからおいおいでいいわ」
そう言って、ずらりと等級が書かれた紙が全員に渡された。
祓い師の等級は勿論、悪魔の等級や種類、性質や階級コードも書いてある。
「等級は勿論だけど、悪魔の種類や性質は必ず頭に入れること。階級コードは悪魔祓いが終わったあとの書類作成に使うから、確認しながらでもいいわ。後々覚えた方が楽よ」
ここまで話をして、1度休憩を挟むことになった。
勉強を受ける三人は、新の監視の目が鋭く気を抜く事が出来なかったから、一気にぐたりと力が抜けた。
そう、大魔王な新は、気を抜いて話を聞かない新人に容赦なくハードな書類ケースを投げ飛ばしていたのだ。
ニールのように絶妙なバランスで角をぶつからないようにしつつ、怪我なく痛みだけを与えている。
なんだその技術は……とジェイクがこぼしていて、新は苦笑混じりにニールを指差していたのだった。
44
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
終焉の晩餐会:追放される悪役令息は、狂欲の執事と飢えた庭師を飼い慣らす
河野彰
BL
かつて、ローゼンベルグ家の庭には白薔薇が咲き誇っていた。嫡男リュシアンは、そのバラのように繊細で、風が吹けば折れてしまいそうなほど心優しい青年だった。しかし、名門という名の虚飾は、代々の放蕩が積み上げた「負の遺産」によって、音を立てて崩れようとしていた。
悪役になり切れぬリュシアンと彼を執拗にいたぶる執事のフェラム、純粋な愛情を注ぐ?庭師のルタムの狂気の三重奏。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
(完結)冷徹アルファを揺さぶるオメガの衝動
相沢蒼依
BL
名門・青陵高校に通う佐伯涼は、誰もが一目置く完璧なアルファ。冷静沈着で成績優秀、規律を重んじる彼は、常に自分を律して生きてきた。だがその裏には厳格な父と家の名に縛られ、感情を抑え込んできた孤独があった。
一方、クラスの問題児と呼ばれる榎本虎太郎は自由奔放で喧嘩っ早く、どこか影を抱えた青年。不良のような外見とは裏腹に、心はまっすぐで仲間思い。彼が強さを求めるのは、かつて“弱さ”ゆえに傷ついた過去がある。
青陵高校1年の秋。冷徹で完璧主義の委員長・佐伯涼(α)は、他校の生徒に絡まれたところを隣のクラスの榎本虎太郎(Ω)に助けられる。だがプライドを傷つけられた佐伯は「余計なことをするな」と突き放し、二人の関係は最悪の出会いから始まった。
《届かぬ調べに、心が響き合い》
https://estar.jp/novels/26414089
https://blove.jp/novel/265056/
https://www.neopage.com/book/32111833029792800
(ネオページが作品の連載がいちばん進んでおります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる