The 25th Hour -祓霊庁第七支部事件録-

くみたろう

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第四章: 新人教育

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 ニコが少し手を上げて聞くと、ジュディは頷いた。

「エクソシストになる方法は、基本的に私たち祓い師と変わらないわ。一度祓い師となって退職、独学で知識をつけて個人でエクソシストになった人もいるわね。祓霊庁はつれいちょうで外部向けにも修正請願はやっているから、そこで神の力を授かるのが一般的よ。始まりは様々で、その後を選ぶのも自由だわ。悪魔の階級や、種類もデータベースに乗っている物は基本的に見ることも可能だから、かならずしも祓霊庁はつれいちょうでなくてはいけないわけではないわ」

祓霊庁はつれいちょうは大きな組織だ。その分抱えている祓い師の人数も多いから、ある程度予想できる悪魔の階級に応じて祓い師の選別が出来るし、信頼を得ている。だがな。個人ではそれが難しい。ホットラインはまた別だが、予め来た依頼を悪魔が強いからと断る場合がある。逆に、対応可能だと危険手当として依頼料をはね上げる場所もあるな」

 アルベルトが腕を組みながらジュディの言葉を補助するように続けた。

「……金額を上げる」

「そうよ。祓霊庁はつれいちょうでは、予め決められている料金表があって、それ以上の追加料金は無いけど、個人は全て自分で決めれるから。その分料金も割増傾向よ。個人の方が初動が早いから、一刻を争う時にはエクソシストに頼む人も多いのだわ」

 こういった場合があるから、以前の工場で対応したマシューのように「金にものを言わせる祓い師」のイメージを持つ人が居るのは事実だ。
 彼らには祓い師もエクソシストも関係ない。一般市民からしたら、結局は同じ悪魔祓いをする人と一括りにされてしまう。

 全員がなるほど……と納得して板書を書いていく。
 思ったよりもちゃんと聞いてくれていると、安心していると、また別の質問が飛んできた。

「悪魔の強さによって、対応できる祓い師が変わるって聞いたけど、どう違うんだ」

 ティモフェイが首を傾げながら聞く。
 大きな体を無理やり椅子に詰め込んでいるような窮屈そうな様子にジュディが咳払いをしてから、またホワイトボードを確認する。
 もう凌雅が消して書く準備をしていた。

「祓い師、エクソシストどちらもそれぞれ力の強さは違うわ。見習いは知識量は勿論、実践経験が少なく実力も足りない。だから、祓霊庁はつれいちょうでは明確な位置付けをしているの。それが階級制度よ」

 ジュディが後ろを見ると、既に階級について凌雅が丁寧に書き始めていた。
 それぞれの階級と、その中に含まれる三つの段階。

「今。あなた達はApprenticアプレンティスApprenticアプレンティスという階級になるの。見習いよ」

「見習い」

「そう、知識を学び、現場を知って少しずつ階級を上げるんだ。無駄に死んで欲しくないからな」

 新が書類を見終わり机に置きながら言った。
 三人の視線が新に向かう。 その後すぐに、ニコはセラフィエルを見た。

「……あの、セラ……さんの階級はなんなんですか?」

 唐突に聞かれたセラフィエルは、ニコに顔を向けて穏やかに笑顔を向けた。

 
InitiateイニシエイトExorcistオペラティブです」

「あなた達の階級Apprenticアプレンティスの中には更に三つの階級があるの」

 NoviceノービスTraineeトレイニーApprenticeアプレンティスの三種類がある。
 
 最初はApprenticeアプレンティスから開始して、Noviceノービスまで行き、国家資格でもあるInitiateイニシエイトを受けて合格したら、一人前となる。
 このInitiateイニシエイトの中でも、一番上の位置にセラフィエルが居ることを教えると、全員が驚いていた。
 やはり盲目の祓い師は、それだけで弱く見られるのだろう。

 この階級によって扱える悪魔の等級がある事を伝えると、三人はそれぞれ顔を見あわせていた。
 
 四つに別れている階級のうち上位階級のSentinelセンチネルと、Vanguardヴァンガードがバディを務めると聞いて、ニコの眼差しがジェイクに固定する。
 
 この場には、四人のSentinelセンチネルが居る。
 その一人のジュディとニコはバディを組むのだが、やはりニコはジェイクと組みたいのだ。
 あの時助けてくれた姿が今も目に焼き付いている。

 同じSentinelセンチネルなら、良いじゃないかと思っているのだ。
 だが、同じSentinelセンチネルでも、その戦闘スタイルは違うし、相性もある。
 新人が特に怖い先輩でチェンジしたいだったり、優しい先輩で良かった、など、それぞれ意見はあるが、相性や性格なども加味されている為、個人での変更は認められていない。
 勿論、Sentinelセンチネルからでもだ。


「こうやって、少しずつ祓い師として強くなっていって、それに合う悪魔祓いの現場に行くの。無理をして強い悪魔と引き合せる事はしないから安心して。もし何かあったら、退避、又はこちらから支援員として派遣もするわ。この階級を示すブローチは、緊急信号にもなっているから、強く押すとここに知らせが来るの。忘れないでね。Sentinelセンチネル Initiateイニシエイトの組み合わせだと、ある程度どの位の悪魔にも対応可能になるわ。それでも難しい時は緊急として上位のSentinelセンチネル Vanguardヴァンガード同士で組んで現場に向かう。ここら辺は、まだ早いからおいおいでいいわ」

 そう言って、ずらりと等級が書かれた紙が全員に渡された。
 祓い師の等級は勿論、悪魔の等級や種類、性質や階級コードも書いてある。

「等級は勿論だけど、悪魔の種類や性質は必ず頭に入れること。階級コードは悪魔祓いが終わったあとの書類作成に使うから、確認しながらでもいいわ。後々覚えた方が楽よ」

 ここまで話をして、1度休憩を挟むことになった。
 勉強を受ける三人は、新の監視の目が鋭く気を抜く事が出来なかったから、一気にぐたりと力が抜けた。
 そう、大魔王な新は、気を抜いて話を聞かない新人に容赦なくハードな書類ケースを投げ飛ばしていたのだ。
 ニールのように絶妙なバランスで角をぶつからないようにしつつ、怪我なく痛みだけを与えている。
 なんだその技術は……とジェイクがこぼしていて、新は苦笑混じりにニールを指差していたのだった。
 
 
 
 
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