64 / 69
第四章: 新人教育
4-11
しおりを挟むここで神具の説明がされ、特に殺傷能力の高い直接的に攻撃する神具には、元々浄化作用がされている等、個別の効果があると伝えられた。
三人は一般人では知りえない内容に驚気と共に興奮を覚える。
武器や特殊能力には血が騒ぎ興奮する人が多く、この三人も例に漏れずで瞳を煌めかせた。
「それで、この神具を利用した戦闘スタイルが、さっき言ってたこの3つっていうことなんだよ」
ホワイトボードにも書いた神具使い、祈祷師、複合型の字の下に赤いペンで線を引く凌雅。
誰よりも柔らかな声質の凌雅に、三人の視線が集まった。
優しそうな笑顔に、ニコがホッと吐息を吐き出すと、甘やかな笑みが返ってきて、トクンと心臓が跳ねる。
その様子を見たジュディの冷たい眼差しが凌雅を捉えていた。
月島 凌雅。
親切で穏やかな気質だが、その反面甘いマスクと甘言に女性の心を攫っていく。
新も、またやってるよ……と呆れを含んだ顔で頬杖を付いた。
ジェイクに向ける盲目的な感情ではなく、ポッと暖かくなる気持ちに薄らと心の一部に凌雅という存在が住み着いた。
これは、ニコだけじゃない。多くの女性が陥る何とも悪烈な魔性の男だった。
「んん! まずお前たちには、この3つの性質を理解してもらい自分に合うスタイルを選んでもらう。それによって、戦闘の仕方が変わるからだ! また、自分のバディのスタイルを知り、戦いの形を模索する為にも、全タイプ頭に叩き込むように!」
凌雅の醸し出す甘い雰囲気を散らすように、アルベルトが咳払いをしながら本日のメインを話す。
今後は、このスタイルに合わせた教育も入るので、早くに決めなくてはならないのだ。
だが、言葉だけでは上手くイメージ出来ないのか、三人の表情は険しい。
何となく理解は出来るが……と言った所だった。
「……ジェイク先輩はどのスタイルですか?」
ニコは一度見た事のあるジェイクの戦闘スタイルを聞いてみた。
実際に見たからこそ想像がしやすい。
その質問んい、ジェイクはあっさりと答えた。
「複合型だ」
「複合型……ジェイク先輩は何を基準に決めたんですか?」
「元から複合型と、神具使い《アルマ・デイ》の要素しか無かったから、すぐには決めないで現場を何度か経験してスタイルを決めたな。最初から神具は拳銃タイプを使おうと決めていたから、実際に扱ってみて使用時の様子を見極めた。リロードの時間のロスタイムが出るから、その間に祈りで効果を底上げさせた。弾丸や特製祈祷煙草は毎回購入する必要があるから、一発の効果を上げたかったのも理由にある」
選択した時を思い出すように斜め上を見ながら話すジェイクに、新人三人だけじゃなく、全員がへぇぇぇ……と聞いていた。
神具や戦闘スタイルを確定するのは簡単なことではない。
一度決めたら、それをより磨くために切磋琢磨する必要があるので、コロコロと変えるものでは無いからだ。
「ちょっといいすか? 例えは考えているスタイルが、バディと相性の悪い感じだったら、どうなるんすかね」
ノートに何度かペンでトントンとしながら首を傾げたリアムに、ジュディはこてりと同じように首を傾げる。
「そのための前衛、後衛よ。スタイルは違っても、前衛は攻撃重視、後衛はサポート特化が多いわ。だから、能力的な問題だったら滅多な事じゃ相性が悪いとかは無いはずよ。__例外は勿論いるけれどもね」
チラリと視線を向けられたのはジェイクや新。
中には、オールマイティに動ける祓い師もいるのだ。
最初に前衛か後衛か決める時に、どちらも適性がある場合がある。
そういった祓い師が稀に現れ、熟練度が上がると、どんなタイプの祓い師ともバディを組む事が出来る
時に殉職した祓い師の穴埋めとしても動ける為、こういったどちらにも対応可能な祓い師はフリーの祓い師として重宝される。
ヴァンガード級からフリーの祓い師となれる為、セラフィエルと組む前のジェイクもフリーの祓い師として登録されていた。
だから、セラフィエルの固定砲台のような祓い師としての動きに対応出来ているのだ。
「…………そう、なんですね。ちなみにセラさんはなんなんですか?」
興味本位に聞いてきたニコに、丁度飲み物を飲もうとストローをくわえたセラフィエルが顔を上げた。
「僕は祈祷師です」
あまり対象者が居ないと言われている祈祷師が、思ったよりもすぐ側にいた事に三人は驚いた。
元々盲目なセラフィエルがどうやって祓うのかと不思議に思っていた所での回答に、ニコは思わず口を噤む。
体質によって出来る人と出来ない人が明確に分かれると教えられた祈祷師。
それをセラフィエルが行っているからこそ、一番に思いつくのは身体的ハンディキャップだった。
だが、そんな事流石に口には出せない。
だがここで、ニールとはまた違ったタイプの頭の足りない男、ティモフェイが口を開く。
「何かハンデがある人がなるのか? 祈祷師は」
考えがそのまま口に出たのだろう。悪気なく言った言葉は、ジェイクのまとう雰囲気を変えた。
あからさまにジェイクから怒りが滲みだし、目付きが鋭くなる。不快感はジェイクだけじゃなくジュディもで、眉に力が入り表情が険しくなった。
ジュディが口を開こうとした時に、ティモフェイの後頭部に強烈な一撃が降り注がれ、「うぐぅ!! 」と悲鳴がもれる。
かなり痛かったのだろう、目を細めて頭を抑え、机に額を当てるティモフェイはふるふると震えている。
「体質的な問題だと言っただろう阿呆。コイツのこの目は侵蝕痕であって体質じゃねぇ。あとお前、もう少し言葉に気をつけろ? 餓鬼みてぇに何でもかんでも思いついたことを言っていいわけじゃないからな?」
グイグイと大きな背中を足で軽く蹴る新は相変わらずである。
初対面であってもまったく態度を変えない様子にセラフィエルは苦笑した。
後頭部の痛みはありそうだが、苦痛に呻く様子はなく、大丈夫そうだと確認する。
こんな大魔王なのに、なぜか場の雰囲気が悪くならないのは、東洋人の可愛らしい見た目からか、何なのか。
少しの笑い声すら漏らしながらセラフィエルはティモフェイの言葉を否定した。
「違いますよ。祈祷師とは、神具を増幅装置のように扱う事で、他の2つよりも強力な祈りの力を宿くことが出来るようになります。力を宿す媒体を自らの体を使って行うスタイルの事を言います。」
「え、じゃあそっちの方がいいじゃないですか。何で皆さんやらないんですか?」
ニコが目を輝かせて聞くと、ジュディは怒りを吐息で逃がしながら、そんな簡単な事じゃないのよ、と首を振った。
16
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
終焉の晩餐会:追放される悪役令息は、狂欲の執事と飢えた庭師を飼い慣らす
河野彰
BL
かつて、ローゼンベルグ家の庭には白薔薇が咲き誇っていた。嫡男リュシアンは、そのバラのように繊細で、風が吹けば折れてしまいそうなほど心優しい青年だった。しかし、名門という名の虚飾は、代々の放蕩が積み上げた「負の遺産」によって、音を立てて崩れようとしていた。
悪役になり切れぬリュシアンと彼を執拗にいたぶる執事のフェラム、純粋な愛情を注ぐ?庭師のルタムの狂気の三重奏。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
【完結】異世界はなんでも美味しい!
鏑木 うりこ
BL
作者疲れてるのよシリーズ
異世界転生したリクトさんがなにやら色々な物をŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”うめー!する話。
頭は良くない。
完結しました!ありがとうございますーーーーー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる