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定例会議 4
しおりを挟む今までにない2組の移民の民達が穏やかに話、笑いあっている姿を全員が見ていて信じられないと目を見開いている。
「…………わらってる」
「ナギサ?」
「どうして私はこんなに孤独なのに……寂しくて寂しくて仕方ないのに……死にたくなるのに」
ツーと流れてきた涙にパートナーは目を見開きハンカチで涙をふいてあげている。
なぜいきなり泣き出したのか分からなくオロオロしている所にアリステアが近付いてきた。
「…………何をしているのだ」
「アリステア様、プリンやヨーグルトをおすすめしたらカオスです」
「……」
なぜプリンやヨーグルトでこんな状況になるのだ、と目が物語っている。
しかしその答えは芽依から帰ってこないのだがアリステアが挨拶して回った移民の民の数人の表情が少しだけ変わっているのには気付いていてた。
「…………ナギサ最近の様子はどうだろうか、恙無く生活は出来ているか?」
「アリステア、私たちはいつもと変わりは無い。それよりこの新しい移民の民はなんなんだ、浮気はするわ私の花嫁に手を出すわ。なぜ諌めない、パートナーはどうした」
「浮気って……ここの常識は本当に困ったもんですね」
はぁ、と息を吐き出しテーブルからヨーグルトを取っての蓋を開けた芽依は、ガミガミ騒いでいる人外者をアリステアに任せナギサの前に来る。
「はい、あーん」
唐突にトロリとしたヨーグルトを差し出されナギサは涙で潤んだ目を見開いた。
「……え」
「ヨーグルト嫌い?」
「……好きよ」
「じゃあ、はい、あーん……口開ける!」
「えっ!はい!…………美味しい」
「美味しいものは笑って食べよう、はいどうぞ」
あまりにも無反応だったので埒が明かないと無理やり口に入れた芽依に驚きながらもナギサはそれを食べた。
ユキヒラみたいに自分から話しかけてくれるくらいギリギリでも頑張ろうとしてくれたなら無理やり口にねじ込む事はしなかったのだが仕方ない。
「…………久しぶりに……久しぶりにヴィラルキス以外と話をした……こんなに楽しい事だったんだよね……ヨーグルトとっても美味しいよ」
「…………どうしようセルジオさん胸がギュッとして泣きそう」
うるっ……とする芽依の側にそろりと1人、また1人と近付いてくる移民の民。
その人達はあの場所でユキヒラたちを見ていた人で緊張しながら近付いてきた。どうやら伴侶は止めたりしなかったようだ。
「……なんなんだ、なんで……」
ナギサの伴侶、ウィラルキスは集まりだした花嫁や花婿に呆然とすると小さく笑ったナギサを見て目を見開く。
初めて会った時の綺麗だと言って見せてくれた弾けるような笑みは数ヶ月で消えて、1年経った今会話すらあまりしない。
最低限しか動かないナギサに悲しい思いをヴィラルキスもしていたのだが、芽依はそんなナギサを一瞬で動かした。
それが信じられなかったのだ。
「………………メイが教えてくれた、あれが移民の民への正しい接し方のようだ。日に日に笑みをなくして無気力になるのは、メイ達移民の民は病に掛かるようなもののようだぞ。常識が接し方が、何もかもが私たちとは違うようだ」
花嫁や花婿達は、定例会議に出席する前に徹底的に他者との繋がりを切られていたようだ。
話すな近づくな触れるな着いていくな。
守るために言われ続けた言葉や力に雁字搦めになった花嫁達は定例会議で合う同胞にすら話し掛ける事が出来なくなっていた。
まだ来て数ヶ月や 1番新しい数週間の人ですら表情は陰っている。
そんな時に現れた伴侶の居ない芽依という存在は花嫁達に昔当たり前であった日常を思い出させてくれた。
ユキヒラと話していたのが1番効果が高かったのだろう。
芽依に促されて自分で動き出し皿に食事を取る様子は、それすらも見ない光景だったのだろう、ウィラルキスだけじゃない皆が驚いていた。
少しづつ笑みが戻りだし自分の意思で動き、中には食べ物を取り分けサーブしている姿に浮気だと騒ぐ人外者はいなかった。
いつの間にか移民の民が全員集まり、話していなかった為の拙い会話をしながらも談笑している姿。それは花嫁や花婿がずっと望んでいた事で、やっと触れ合う事が出来て泣き出す人もいる。それぞれが慰めあっていて、そこにはやっと手に入った幸せがあった。
「ねえセルジオさん!みんな笑っていた方が幸せでしょ!」
みんなで集まって話していた芽依は振り向き少し声を張り上げて言うと、眩しそうに目を細めたセルジオが小さく笑った。
「…………ああ、そうだな」
こうして移民の民への認識を少し改めた領主と移民の民を呼んだ人外者達が自分の伴侶が笑う姿に感化され話をし触れ合う事を少しずつだが増やしていった。
まず最初は移民の民同士でと、集まり話す場を設け、少しずつだがこの世界の人間や人外者とも話をし始めた。
しかし、やはり等価交換が基本で捕食対象である事に変わりは無いので、パートナー達の気苦労は倍増されたらしい。
しかし、日に日に笑みを増やしていく大事な伴侶に満更でもないようだ。
そしてアリステアの領民や人外者たちは移民の民への対応を改める様言われ戸惑いながらも態度を変えていった。
少しずつ元気を取り戻し他領や他の国から追随を見せないほどの移民の民の生存率を誇ることになる。
それは、今後この領地に現れる移民の民の幸せを考え束縛を禁じ自由に過ごす努力をしたから。
しかし、国の保護を受けないアリステアの手から離れてしまっている移民の民にはなかなか伝わらず、変わらない自我の喪失や自殺者は後を絶たないという。
いつか、移民の民に優しい世界になって欲しいのだと芽依はアリステアに話していた。
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