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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

公式イベント3

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大量に発射された雪玉の勢いに負けて吹き飛ばされる敵チーム。
リボンがハラハラと落ちるのを見てナズナがガッツポーズを作った。
雪玉1回だが、武器使用での当たりの為スタミナも全損しているのだ。
ハラハラと落ちたリボンの持ち主はその場から飛ばされ最初の広い噴水広場に飛ばされる。
戦闘不能だ。

「なるほど、盾で防いだらセーフなんだな」

何人かが盾で防ぎ命中を避けたプレイヤーを見てカガリが言う。
それにファーレンも気付きしっかりと盾を握りしめる。

『フェアリーロードつえぇぇぇぇぇ』

敵味方全員から言われてナズナがない胸を張った。
ちびっ子つよし。

「っでも、総大将が前にいるのは失策じゃないかな!!!」

飛び出て雪玉を投げるのはアーサーだ。
それをファーレンが防ぎタクが剣を振り上げる

『剣!?』

「武器使用禁止なんて言ってないだろ!?」

「っ!なるほど、確かにスタミナを削れるし…」

「アーサーあぶねぇ!」

投げ込まれた雪玉を剣で切るカンザキ。

「わるい!……餌食になるな、鍔迫り合いは危ないかぁ」

「スキル『氷雪の舞』」

後に下がったアーサーを追うように、クラーティアが吹雪を作る。
寒さに震えてスタミナが減る!
更に更に、雪嵩が増えて足を取られる!
慌てて元からフィールドに何個も設置されている雪山の影に隠れた。

「強いな、フェアリーロード」

「分かってたけどな」

「回復のアリアが居ないのがキツいな」

アリアは総大将として後ろに待機していた。

「お。コレあたりじゃね?」

「ん?」

聞こえた声に振り向くと、かまくらが有り中で餅を焼いている。
うまぁー!と聞こえる声にカンザキは口を開けた。
他にも何人かかまくらが当たり、餅やみかん、鍋なんかもある。

「えぇぇ、あんなのもあるのかよ!」

しかも食べてスタミナ回復しているのだ。
減ったスタミナは途中に有るかまくらに入り食べる事で回復が出来ると、プレイヤーが理解した。
しかし、

「うまぁ…あったかぁ……うわぁぁぁ!!」

食べてる最中の攻撃には注意である。
キイロチームのリボンがハラハラと落ちた。

「……鬼畜仕様」

ヒクヒクと口を引き攣るのがわかるプレイヤーたち。

そして、スイが動いた。

「スキル【破壊のロンド】」

弾きだした音楽はかなりの指力が必要だろう、かなりの指の弾きだ。
そしてそれは…………………

「!?ぎゃーーーー!?!?!?」

「なんだこれぇ!?」

響く絶叫。
そして無残な姿に、フェアリーロード含むミドリチームが引く。

「…………えっと」

困ったように笑ったスイが使ったのは、魔法の一種。
しかも、こんなの見たことない。

人以外の物をランダムで壊すものだ。
しかも広範囲指定しているため、被害者はかなり居る。
バラバラと散る雪山や装備。
装備が壊れたプレイヤーは初期装備すら着てない最低限の下着姿。
雪山も無くなり、丸見えになったプレイヤー達をミドリチームは呆然と見つめた。

「………い、いきまーす……」

そんな敵チームに楽器を振り上げるスイ。
鬼畜以外の何者でも無い。

ごちゃぁぁぁぁ

人が潰された音じゃない。
そして一撃で散ったスタミナに、リボンはハラリと落ちていった。
慈悲もなし!!!


『……………………奏者ってそんなんじゃなくない!?!?』

ばっ!と予備の装備を出してスイを狙うアカチーム。
雪に足を取られながらも走り込むアカチームに合わせるようにアオチームも走った。
バレないようにアカチーム、アオチームに雪玉当ててるミドリチームとキイロチーム。

「私達も負けないよ!」

キラキラガールが出てきて雪玉と武器を持ち飛び出す。
さすがランカー、飛び交う雪玉を避けながら着実に敵に雪玉を当てている。

4チーム入り乱れたこの雪合戦に、フェアリーロード達もスタミナを減らしながら雪玉を当てた。

「5分前」

後からクリスティーナの声が響きわたり、半数のミドリチームが下がっていく。

「なんだ?」

いきなり後退したミドリチームにアカチームは怪訝な表情をした。
下がってご飯を貪っているのだ。
それを見た3チームはまた表情を崩した。
ムキムキ女子がエプロンで配給してるのだ。

『なんで!?!?』

あったかご飯を食べてまた戻ってくるミドリチーム。
それは交互に行っているが、フェアリーロードとキラキラガールの活躍で後に下がることは無かった。
そしてスイのバフはミドリチームをドンドン強化していく。


そしてとうとう、強化されたものすごくすごいステータスのスイが、雪玉を持った。

「スイたんが雪玉持ってる!!」

「ぎゅっぎゅっってしてるぅぅ」

落ちている雪玉を掴みぎゅっと握る。
敵チームが何人かゴクリ…と喉を鳴らしてちょっと前に出てきた。
自殺願望者ですね、わかります。

「………あれが奏者かぁ、おかしな奏者だな」

カンザキが盾を出しながら言った。
彼は盾と剣を使う小回りの聞く剣士タイプなのだ。

「スイ、」

「はい?」

グレンが指を指す。
キイロチームが固まっている所だ。
そこを狙え、と言ったグレンにスイは頷いた。

「こっちか!?」

「スイたんの玉受けれるのか!?」

何人かのスイ信者が(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァしている。
雪玉が周りで飛び交う中、スイはゆっくりと雪玉を指示された方へと投げるフォームをする。
指先に力を入れて……………

「いきまーす……」

投げた!!!
どこぉぉぉぉぉ………………………

モクモクと地吹雪を上げるスイが放った雪玉は一直線に放たれ一番前に居る大きな盾を叩き割り後にいる敵チームと雪山、かまくらをも吹き飛ばしそして………

「……き、キイロチームの総大将、1回あたった、残り4回……」

最奥に居るキイロチームの総大将にぶち当たった。
椅子から弾き飛ばされたキイロチーム総大将を見た4チームはギギギギギ………と軋んだ音を立てながらスイを見る。

「…ふむ、後ろまで届いたか」

「グレンさぁぁぁぁん!?!?」

考え込むグレンに涙目のスイ。
まさかの出来事にスイはガクガクとグレンを揺さぶった。
そんなに飛ぶとは思ってなかったのだ。
ほわわん、と2人で話をしていたそんな時だった。
ファーレンはなにかに気付き慌ててスイの元へ叫びながら走りよる。


「スイ!グレンさん!!」



切羽詰まったファーレンの声が聞こえて振り向いた時には大量の雪玉が2人めがけて投げ放たれていた。
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