Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう

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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

イメチェン

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無事に黒のアンダーを2枚買ったファーレンは、 小さく息を吐き出した。

店員のドスの効いた大声でアンダーをすすめてくるが、 やはりへんな柄がついたものばかりだ。
どんどん精神がすり減りながらもやっと買えた事にホッとする。

「………うーん、私はいいかなぁ」

スイは店内を眺めながら言うと、 店員は服を掴もうとする。
それに気付き手を振って断りつつ店を出た。


「推しの強い店員だったね」

「スイ、スキンヘッドのゴツイおっさんいただろ?あのおっさんが店員の女の人が動いてない時すげぇ顔して圧力掛けてた」

「そうだったの?こっわい……あ、これ」

茶色の紙袋をファーレンに渡すと、 ファーレンは俺に? と首をかしげながら受け取る。
中を見てみると

オレッチシリーズのアンダーが2枚
キラキラと輝く目がファーレンを見ていた。

ギギギ…とブリキのように鈍い動きでスイを見ると、 まるで女神様のような神々しさで

「私からの気持ちよ、 受け取って」

「どんな気持ちが込められてるってんだよ!!」

紙袋を地面に叩きつけ、袋は結晶化して消えたがインナーはしっかりと握り締めているファーレン。
地団駄を踏みながら悔しがるが、ちゃんとインナーはストレージへと収納されていた。






あの店から少し離れた場所に別の洋服屋を見つけたスイ。
スイは鎧などは使わず服そのものが装備として使えるものを買っているのでデザイン重視である。
スピード重視や、遊撃などは服のみの人が多い。

「ここ可愛いー」

女性物、男性物と半々に置かれていて全身コーディネートできるような品揃えである。
お値段的にリーズナブルで、 だが種類は豊富ステータスも申し分なかった。
ファーレンも、 へぇ…と店内を眺める。

「………あの、ステータスの高い服の上から鎧とか着ても問題ないですか?」

「え?ステータス値って事かい?着るのは問題ないけど重複はしないから高い数値の方しか反映されないよ」

服を畳んでいる店員にファーレンが聞くと、 服として着ることはもちろん可能だが鎧の方が数値が高かったらステータスに反映されるのは鎧のみ、との事だった。
リーゼロッテに言われた事を早速実践して聞くファーレン。
ちなみに、ファーレンは金銭的な問題でインナーと同じく低価格のズボンと気持ち程度のスピードアップブーツを履いていた。

「………うーん、俺も服買うかな」

「あ、 ファーレンも買う? じゃあお互いバラバラに見よっか」

「そうだな、 そうするか」

2人頷きあい、 また後で!とハイタッチしてから別れた。









        [ファーレンサイド]

「………どうすっかな、 鎧か服か…服にするならしっかり数値見ながらだけど鎧のが防御力は高そう……でもなぁ」

ファーレンはリーゼロッテに言われた言葉が引っ掛かっていた。

獣型の時は体の盾も作ってあげる

体の盾とはどんな物か、鎧を付けていても使えるのか
そもそも手に持つ盾以外の形が浮かばない。

「……………よし。 服買おう」

結局鎧は買わず服にしたファーレン。
鎧購入は最低限インナーとズボンも必要になるが、 服のみの場合そこまで出費はない。
ファーレンはデザインは勿論防御力に優れた物を片っ端から見て行った。

「インナーが黒だからどんな色でもとりあえず合うかなぁ?俺どっちかって言うとカガリさんより軽いから弾かれやすいし……むしろ弾かれた方がいいのか…………?」

んん?と悩みながら服をあれこれ見ていく。
この作業が意外と大変だったりする。
デザイン重視のみだと服についているステータスがあっていなかったり、ステータス重視にすると変な服装になる。

「うーん、盾職だから防御は勿論だけど俺小回り効くようにした方がいいのかな……」

足首に羽が付いた茶色のブーツを持ってみる。
しかし、 自分が羽の付いた靴を履くイメージは全然出来なくそっと棚に戻したファーレン。
うーん、と唸りながらも数着の服を見ては頷いたり首を傾げたりと百面相をしながらショッピングを楽しんでいた。







[スイサイド]

「うーん、色々あるから迷うなぁ」

以前はおばあちゃんが選んでくれた服はデザイン重視で可愛い服だった。
リアルではあまりしない手足をだす服装に喜んでいた。
今は自分で選ぶとなるといつもと同じ感じになるんじゃないかなー、 と心配しつつ見て回る。

スイの外せないポイントは動きやすさ。
出来たらスカートを履きたいが、足技も最近使いだしたスイにとってタイトスカート等の足の可動域を制限する服は選びたくない。
大きなベルトがワンポイントのカーキのタイトスカート、 すごく可愛い。
両方に少しだけスリットが入っていて、その場所も黒のレースがあり直接肌が見えない様になっている。
可愛い。
でも、 動きづらい却下。

持っていたスカートを戻してグルッと服を見ていく。
今までが可愛い系だったから、カッコイイ系にしようか?

パンツスタイルもいいよね

そこで、スイは1枚の服を掴む。

「こ…これは!!!」

それは真っ白なシャツだった。
だが、襟に真っ赤な花の刺繍がされていて、胸元は少しだけ広がっている。
普通の長袖だが、裾は短めでレースが施されていた。
それがまた綺麗なのだ。
波打つレースの形で柄は花柄、 レースの為腹部が見えるのだがあまり違和感はない。

「これ着たい! 方向性が決まった!」

ギラギラと周りを見だしたスイはそのシャツに様々な服を当てながらバランス、そしてステータスを確認して選んでいく。







「「おまたせ!」」

買い物を済ませた2人は店の前で合流した。
お互い笑顔でお待たせ! と言った後二人とも停止する。
そして喚き出した。

「なんだその格好!!乳溢れんぞ!!足出過ぎだろうが!」

「溢れないわ!!頑固オヤジか!ファーレンこそ何!……なんか…似合ってるわ!ちくしょう」

「褒めてる!」

「いやいやな!!」

「素直に褒めれ!!!」

ギャーギャー騒ぐが顔は笑っていた。
やり取りを楽しんでいるのがわかるし、ちゃんと似合ってるといっているのだ。

ファーレンは黒のアンダーの上からエンジ色の丈が短いジャケットを羽織っている。
ズボンは左右色違いのサルエルパンツを履いていて、腰のくびれが強調されていた。
パンツは膝下の長さで足首まである茶色のブーツを履いて、手には黒の革手袋が嵌められていた。

耐久のベスト
エンジ色した丈の短いジャケット
自身の防御力の2倍の攻撃を5分の1の確率で防ぐ事が出来る。

属性耐性のサルエルパンツ
左右色違いのサルエルパンツ。
右側は赤、左側は紺色をしていて、火と水の属性攻撃を30パーセントカットしてくれる。

力のブーツ
足首まである茶色のブーツ。
敵の攻撃を受けても踏ん張り続けてくれるブーツ。
自身の防御力の2倍の攻撃を受けた場合は無効となる。

革手袋
黒の革手袋。
風の抵抗を少し和らげてくれる。

盾職が選んだ自分だけの装備だ! とファーレンは満足そうだ。



スイは先程の白のシャツを着ている。
胸元は軽く開きこぼれんばかりに胸が主張している。
長袖は7分まで折られていて、 腹部はレースでチラチラと見えていた。
黒のタイトスカートに見えるだろう膝丈のスカートを履いているが、 深い位置までスリットが入っている。
同じく白のふわふわブーツには、 アクセントに両足の側面に半永久的にキラキラ輝く星空の球体がついている。
実はこれは、初期にリィンがくれた髪飾りを加工したものだ。
店の店員にダメ元で頼んだ結果、 あっさり了承してもらった。 頼んでおいてなんだが、 了承して貰えた事にかなりびっくりした。

どう頑張っても、今回セクシー系でまとめた服装にこのアクセサリーが似合わなかったが、何処かに取り入れたいと考えたスイは、 靴に付けたことでアクセントになり一気にしっくりときた。
しかも嬉しい効果付きだ。

後は黒縁メガネに、今まで低い位置でツインテールに結んでいた髪をおろし、 横に流して完成。
一気に雰囲気が変わった。

レフ板のシャツ
光を当てて影を飛ばし綺麗に見せる効果がある。
これにより、 戦闘時仲間内のプレイヤーの注目を浴びる。

ハイスピードの見せかけタイトスカート
スピードアップ効果があるタイトスカート。
深くスリットが入っていることで動きに制限がない。
※スカートは捲れたりするが、中は黒くなり見えない仕様になっている。

羊雲のブーツ(星空のオーブ付き)
ふわふわと動く羊をモチーフに作られた重量の持たないブーツ。
使用者の意思でジャンプや飛行時の補助をする。
星空のオーブ効果で夜間は更に効果アップ。

索敵の黒縁メガネ
スキルを保有しなくても索敵が出来るようになるメガネ。
無難な黒縁メガネ。


「どうよ!動く奏者としてなかなかな効果じゃない?」

ふふん!と腰に手をやり胸を張ると、 はち切れんばかりの胸がふるりと揺れた。
それにはプレイヤーのみなならずNPCもガン見している。
ファーレンは呆れ顔だ。

「…………せめてシャツ変えたら?中着るとか……乳爆発するぞ」

「やだよ、 せっかく現実ではしない格好なんだから。 あと爆発しないっつの」

「そのシャツのせいでさらに注目集めてるし。 乳隠せ」

「乳乳言うな」

ほら、行こう!と、 グイッとファーレンの腕を掴んで歩き出す。
そしておもむろに振り向いた。

「あ、ファーレン」

「なに?」

「似合ってるよ」

「!?………………………………………アリガト」

真剣に、 しかし軽く笑みを乗せて言うスイに目を見開き顔を赤らめたファーレンは、 視線をさ迷わせながら小さくお礼を言った。

「(勝ったな)」

その様子に勝ち誇った様な顔をしてファーレンを見ていたのを、 照れているファーレンは気付かなかった。
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