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第三章 まだ見ぬあなたに、こんにちは
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「ミサキ、このデバイスに向けて歌え。誰の曲か検索する」
『豪華レストランビュッフェ五名様ご招待』で用意された席が、店の一角を貸し切ったコの字型ソファだったのは幸運だった。マコトたち以外の客が近くにいなかったので、ミサキも渋々ながらタイシの無茶振りに応えてくれる。
空になったエリヤの皿の近くに置かれたタイシのデバイスから、地球儀のような立体映像が浮かび上がった。ミサキの小さな声がたどたどしくメロディを紡ぎ始めると、その曲調に合わせるかのように各国が明滅する。やがて、覚えている部分まで歌い切ったミサキが、はあっと大きく息をはきながらソファに沈んだ。
「オ疲レ様デシタ。素人ニシテハ、マアマアデス。次ハモット頑張リマショウ」
「余計なお世話よっ! なんなの、このバトラー。タイシそっくりじゃない」
デバイスの中に常駐して、執事のように音声でサポートしてくれるAIバトラーは、持ち主の使用履歴などに応じて性格を変える。タイシのデバイスにいるバトラーは、確かにタイシのような言い回しをすると、マコトも思った。
「ありがとう、ミサキちゃん。すごく上手だったよ」
「いいのよ、そういうのは。……仲間探しのためじゃなかったら、絶対に歌わないわ」苦虫を噛み潰したような顔をしたミサキが、口直しとばかりにブッシュドノエルにかぶりつく。
「検索結果デマシタ。照合率九十ニパーセント。表示シマス」
バトラーの声に合わせて、地球儀の映像が動画へと切り替わった。すぐに、賑やかな歓声が聞こえてくる。どこかのライブ会場だろうか。暗いステージの上で、淡い色の長い髪をふたつに結んだ少女がたたずんでいた。黄色や橙色を基調とした衣装をまとった姿が、まるでヒマワリのようにも見える。やがて、ゆっくりと降り注ぐ一条の照明を受けて、俯いていた顔が天を仰いだ瞬間。はっと、マコトは息を呑んだ。
見覚えがあったわけではない。動画越しに視線が合ったからといって、記憶が戻ることもない。ただ純粋に、驚いた。あまりにもまぶしい笑顔。この場所にいられることが、うれしくて楽しくて仕方ないのだと、そう全身で叫んでいる少女から目を離すことができない。――そして。
『豪華レストランビュッフェ五名様ご招待』で用意された席が、店の一角を貸し切ったコの字型ソファだったのは幸運だった。マコトたち以外の客が近くにいなかったので、ミサキも渋々ながらタイシの無茶振りに応えてくれる。
空になったエリヤの皿の近くに置かれたタイシのデバイスから、地球儀のような立体映像が浮かび上がった。ミサキの小さな声がたどたどしくメロディを紡ぎ始めると、その曲調に合わせるかのように各国が明滅する。やがて、覚えている部分まで歌い切ったミサキが、はあっと大きく息をはきながらソファに沈んだ。
「オ疲レ様デシタ。素人ニシテハ、マアマアデス。次ハモット頑張リマショウ」
「余計なお世話よっ! なんなの、このバトラー。タイシそっくりじゃない」
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「ありがとう、ミサキちゃん。すごく上手だったよ」
「いいのよ、そういうのは。……仲間探しのためじゃなかったら、絶対に歌わないわ」苦虫を噛み潰したような顔をしたミサキが、口直しとばかりにブッシュドノエルにかぶりつく。
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見覚えがあったわけではない。動画越しに視線が合ったからといって、記憶が戻ることもない。ただ純粋に、驚いた。あまりにもまぶしい笑顔。この場所にいられることが、うれしくて楽しくて仕方ないのだと、そう全身で叫んでいる少女から目を離すことができない。――そして。
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