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藤森×坂井編
Lawyer and Loan Shark 2
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藤森の部屋はシックだ。家具は本革か木材。色味はベージュとダークブラウン。
同じ間取りなのに、プラスチック素材と布地でカラフルな坂井の部屋とは趣が異なる。
「なんか、無理に誘ったみたいで悪かったな」
「いえ、こちらこそ冬馬が余計なことを」
「しっかりしてるよなー、冬馬君。つまみ、適当でいいよな」
ローテーブルに置かれた皿には、生ハムとロックフォール、無花果のドライフルーツ。
全然適当ではない。
「凄いですね、バーみたいだ」
「ジャンキーなものが良ければ、ばかうけもあるけど、食う?」
「ばかうけ? 冗談じゃなくて?」
きょとんとすると、藤森は駄菓子の袋を見せた。
あまりのミスマッチに坂井は笑う。
「好きなんですか?」
「美味いだろ、これ」
「ですね、いただきます」
急いでハンバーグを平らげてから、胸元が大きめに開いたサマーニットとお気に入りの細身のパンツに着替えてきた。
我ながらあざといかとも思ったが、藤森もワイシャツ姿だったので、部屋着のまま来なくて良かった。
下心を抜きにしても、藤森と飲むのは楽しい。
聞き上手だし、強面に見えて考え方も物の見方が優しい男だ。
酒はするする進んで、持参したスペインのカヴァも、藤森が出した赤ワインもすぐに空になった。
「それで、うっかり失言して、クライアントの元旦那さんを怒らせてしまったんですよね。離婚した弁護士に離婚調停なんて任せられるかって怒鳴られて」
好きに愚痴って構わないという藤森の好意に甘えて、思う存分吐き出した。
「そんなに怒るなんて、坂井さん何言ったの」
「そこは言いたくありません。自分でも反省してるので、同じ言葉は口にしたくもないです」
「じゃあ無理に聞くのは良くないな」
空になったグラスをテーブルに戻すタイミングが重なって、藤森とふと視線が合った。
バツイチで子持ちのバイで、相手はノンケ。
遠回りかつオブラートで幾重にもくるんでさりげなく好意を伝え続けているのだが、全く伝わっていない。
というより、おそらく気づかないフリをされている。
見つめて瞬いてみるが、すっと視線を逸らされた。
「坂井さん、まだ飲めるか? 何にする?」
なんて素知らぬ風に聞いてくる。
ちょっぴり悔しくて、小型のワインセラーから高そうな貴腐ワインを抜き取った。
「良いチョイスだな」
惜しむでもなく、さっさとコルクを抜いてくれるところがらまたカッコ良くて腹が立つ。
注がれたワインは蕩けるように芳醇な甘さだった。
「にしても大変な1日だったな」
藤森の労いに、坂井は肩を竦めた。
「元はと言えば俺が悪いんですけど、パラリーガルや事務員の前で罵倒されたのは結構応えますね。雰囲気も気まずくなるし。藤森さんは、そういうことないですか?」
話を振ると、藤森は記憶を探るように天井を仰いだ。突き出た喉仏がセクシーだ。
「俺は、どっちかというと怒鳴る側だからなあ。ああでも、昔、経営してるキャバクラでトラブって、従業員や他の客の前で土下座したことはあるな」
「え、藤森さんが?」
ガタイが良く、度胸も迫力も人並み以上の藤森が土下座?
「そ。完全に店の嬢に非があったから頭下げたが、あれは屈辱だったな。思い出す度にもやもやした気持ちになっていた」
それなりに時が経ったのか、藤森は昔話のように話すが、土下座なんて聞いている方が気分が悪い。
「そういう時、藤森さんはどうやって忘れてますか?」
そうだな、と少し考えてから藤森は答えた。
「次に同じ失敗をしないよう、反省して、対策を取る。あとは特に何もしないな。時間薬だ。それに、自分が思うほと、他人は自分に関心がない。坂井さんが思うほど、そのパラリーガルも事務員も気にしてないと思うぞ。人は、他人の失敗なんてすぐに忘れる」
「そうでしょうか」
「そういうもんだよ。さ、飲んで喋って、ちょっとはすっきりしたか?」
藤森はからかうような、それでいて存外優しい口調で言った。外では眼光鋭い目が、今は柔らかく坂井を映している。
ああ、やっぱりいい男だ。
この甘いワインを含んだまま、キスしたい。
裸になって、抱き合いたい。
頭がくらくらする。ぞくりと欲望が背筋を走る。
我慢、できない。
酔いがカンフル剤となり、坂井は夢遊病者のように藤森のワイシャツに手を伸ばした。
「坂井さん?」
「もう少し、慰めてください」
擦り寄って、顔を近づける。
藤森が眼を見張るのを間近で見る。
唇が触れる寸前、口元を手のひらで覆われた。
「駄目だ」
藤森が拒絶する。囁くような声だった。
嫌ではなく、駄目。
だったらお願い。一度だけでいい。
キスだけでいいから。
口を塞がれているので、坂井は視線だけで語りかける。自然に視界が潤んだ。
藤森が眉をひそめる。
男が葛藤している様子は、好きだ。
少し開いた唇から舌を出し、そっと藤森の指を舐めた。視線が絡む。
「くそっ」
藤森が毒づいた。
それを了承と取って、緩んだ手を跳ね除けて、そのまま噛み付くようにキスをした。
性急に舌を差し入れると、厚く存在感のある舌が応じてくる。
ワインの甘さを打ち消す、男の唾液の味。匂い。
後ろ髪に差し入れられた指が心地よい。
「ん、あ…」
こんなキスをしたのは久しぶりで、坂井は夢中で貪る。
気持ちいい。気持ちいい。
藤森のキス顔を堪能していると、凛々しい眉の下で伏せられていた瞼が開いた。
「そんなに見るなよ」
キスの合間に囁かれる。
ああ、もう。
股間はとっくに勃起していて、はしたなく腰が揺れてしまう。
ちゅっ、くちゅっと淫らなキスの音。
どうしよう。止まらない。おさまらない。
藤森のモノで、激しく貫かれたい。
藤森の手が腰に回る。熱が伝わる。手のひらを添えた胸板が逞しい。耳鳴りがする。
「坂井さん」
名を呼ぶ藤森の声は情欲に濡れている。
「藤森さん」
呼び返して、膝小僧を藤森の股間に押し付けた。
熱くて、反応している。そのサイズ感に期待が増す。思わず吐息が漏れた。
「どういうつもりだよ」
「こういうつもりです」
興奮で震える指先でバックルに触れる。
「酔ってんのか」
「酔ってます。俺、酔うと記憶なくすんです」
明日には忘れているから。
その意味を込めてもう一度キスを乞うたが、藤森は応じてくれなかった。
立ち上がってキッチンに入ると、流しの水で顔と手を洗っている。
酔い覚まし。帰れってことか。
潔く諦め、坂井はキーケースを掴み、廊下に向かう。
「どこ行くんだ」
タオルで顔を拭いた藤森が言った。
濡れた前髪から雫がぽたりと落ちる。
立ち止まる坂井の前を横切ると、藤森は寝室の扉を開いた。
薄暗い部屋に、白いシーツがぼんやり浮かび上がる。
「ベッドはこっちだ」
「え…」
「したいんだろ、来いよ」
藤森が誘う。獣のような目をしている。坂井は喉を鳴らした。
同じ間取りなのに、プラスチック素材と布地でカラフルな坂井の部屋とは趣が異なる。
「なんか、無理に誘ったみたいで悪かったな」
「いえ、こちらこそ冬馬が余計なことを」
「しっかりしてるよなー、冬馬君。つまみ、適当でいいよな」
ローテーブルに置かれた皿には、生ハムとロックフォール、無花果のドライフルーツ。
全然適当ではない。
「凄いですね、バーみたいだ」
「ジャンキーなものが良ければ、ばかうけもあるけど、食う?」
「ばかうけ? 冗談じゃなくて?」
きょとんとすると、藤森は駄菓子の袋を見せた。
あまりのミスマッチに坂井は笑う。
「好きなんですか?」
「美味いだろ、これ」
「ですね、いただきます」
急いでハンバーグを平らげてから、胸元が大きめに開いたサマーニットとお気に入りの細身のパンツに着替えてきた。
我ながらあざといかとも思ったが、藤森もワイシャツ姿だったので、部屋着のまま来なくて良かった。
下心を抜きにしても、藤森と飲むのは楽しい。
聞き上手だし、強面に見えて考え方も物の見方が優しい男だ。
酒はするする進んで、持参したスペインのカヴァも、藤森が出した赤ワインもすぐに空になった。
「それで、うっかり失言して、クライアントの元旦那さんを怒らせてしまったんですよね。離婚した弁護士に離婚調停なんて任せられるかって怒鳴られて」
好きに愚痴って構わないという藤森の好意に甘えて、思う存分吐き出した。
「そんなに怒るなんて、坂井さん何言ったの」
「そこは言いたくありません。自分でも反省してるので、同じ言葉は口にしたくもないです」
「じゃあ無理に聞くのは良くないな」
空になったグラスをテーブルに戻すタイミングが重なって、藤森とふと視線が合った。
バツイチで子持ちのバイで、相手はノンケ。
遠回りかつオブラートで幾重にもくるんでさりげなく好意を伝え続けているのだが、全く伝わっていない。
というより、おそらく気づかないフリをされている。
見つめて瞬いてみるが、すっと視線を逸らされた。
「坂井さん、まだ飲めるか? 何にする?」
なんて素知らぬ風に聞いてくる。
ちょっぴり悔しくて、小型のワインセラーから高そうな貴腐ワインを抜き取った。
「良いチョイスだな」
惜しむでもなく、さっさとコルクを抜いてくれるところがらまたカッコ良くて腹が立つ。
注がれたワインは蕩けるように芳醇な甘さだった。
「にしても大変な1日だったな」
藤森の労いに、坂井は肩を竦めた。
「元はと言えば俺が悪いんですけど、パラリーガルや事務員の前で罵倒されたのは結構応えますね。雰囲気も気まずくなるし。藤森さんは、そういうことないですか?」
話を振ると、藤森は記憶を探るように天井を仰いだ。突き出た喉仏がセクシーだ。
「俺は、どっちかというと怒鳴る側だからなあ。ああでも、昔、経営してるキャバクラでトラブって、従業員や他の客の前で土下座したことはあるな」
「え、藤森さんが?」
ガタイが良く、度胸も迫力も人並み以上の藤森が土下座?
「そ。完全に店の嬢に非があったから頭下げたが、あれは屈辱だったな。思い出す度にもやもやした気持ちになっていた」
それなりに時が経ったのか、藤森は昔話のように話すが、土下座なんて聞いている方が気分が悪い。
「そういう時、藤森さんはどうやって忘れてますか?」
そうだな、と少し考えてから藤森は答えた。
「次に同じ失敗をしないよう、反省して、対策を取る。あとは特に何もしないな。時間薬だ。それに、自分が思うほと、他人は自分に関心がない。坂井さんが思うほど、そのパラリーガルも事務員も気にしてないと思うぞ。人は、他人の失敗なんてすぐに忘れる」
「そうでしょうか」
「そういうもんだよ。さ、飲んで喋って、ちょっとはすっきりしたか?」
藤森はからかうような、それでいて存外優しい口調で言った。外では眼光鋭い目が、今は柔らかく坂井を映している。
ああ、やっぱりいい男だ。
この甘いワインを含んだまま、キスしたい。
裸になって、抱き合いたい。
頭がくらくらする。ぞくりと欲望が背筋を走る。
我慢、できない。
酔いがカンフル剤となり、坂井は夢遊病者のように藤森のワイシャツに手を伸ばした。
「坂井さん?」
「もう少し、慰めてください」
擦り寄って、顔を近づける。
藤森が眼を見張るのを間近で見る。
唇が触れる寸前、口元を手のひらで覆われた。
「駄目だ」
藤森が拒絶する。囁くような声だった。
嫌ではなく、駄目。
だったらお願い。一度だけでいい。
キスだけでいいから。
口を塞がれているので、坂井は視線だけで語りかける。自然に視界が潤んだ。
藤森が眉をひそめる。
男が葛藤している様子は、好きだ。
少し開いた唇から舌を出し、そっと藤森の指を舐めた。視線が絡む。
「くそっ」
藤森が毒づいた。
それを了承と取って、緩んだ手を跳ね除けて、そのまま噛み付くようにキスをした。
性急に舌を差し入れると、厚く存在感のある舌が応じてくる。
ワインの甘さを打ち消す、男の唾液の味。匂い。
後ろ髪に差し入れられた指が心地よい。
「ん、あ…」
こんなキスをしたのは久しぶりで、坂井は夢中で貪る。
気持ちいい。気持ちいい。
藤森のキス顔を堪能していると、凛々しい眉の下で伏せられていた瞼が開いた。
「そんなに見るなよ」
キスの合間に囁かれる。
ああ、もう。
股間はとっくに勃起していて、はしたなく腰が揺れてしまう。
ちゅっ、くちゅっと淫らなキスの音。
どうしよう。止まらない。おさまらない。
藤森のモノで、激しく貫かれたい。
藤森の手が腰に回る。熱が伝わる。手のひらを添えた胸板が逞しい。耳鳴りがする。
「坂井さん」
名を呼ぶ藤森の声は情欲に濡れている。
「藤森さん」
呼び返して、膝小僧を藤森の股間に押し付けた。
熱くて、反応している。そのサイズ感に期待が増す。思わず吐息が漏れた。
「どういうつもりだよ」
「こういうつもりです」
興奮で震える指先でバックルに触れる。
「酔ってんのか」
「酔ってます。俺、酔うと記憶なくすんです」
明日には忘れているから。
その意味を込めてもう一度キスを乞うたが、藤森は応じてくれなかった。
立ち上がってキッチンに入ると、流しの水で顔と手を洗っている。
酔い覚まし。帰れってことか。
潔く諦め、坂井はキーケースを掴み、廊下に向かう。
「どこ行くんだ」
タオルで顔を拭いた藤森が言った。
濡れた前髪から雫がぽたりと落ちる。
立ち止まる坂井の前を横切ると、藤森は寝室の扉を開いた。
薄暗い部屋に、白いシーツがぼんやり浮かび上がる。
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