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弊社社員が誠に申し訳ありません@竹葉亭
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五和商事シンガポール支社では、仕事納めの日に支社長が若手社員を労ってご馳走するという風習がある。
12月28日の昼、支社長の招待を受けた直樹は、先輩の金子文隆や数名の若手社員と共に、竹葉亭シンガポール店を訪れていた。
注文を済ませた支社長が、正面に座る直樹を気遣うように見た。
「梶、体調はもう大丈夫なのか?」
近間の献身的な看病のおかげで、高熱は2日で下がったが、大事を取って1日休暇を取ったのだ。
「はい。休暇も頂いたし、もう完治しています。ご心配おかけしました」
「クリスマスに災難だったな。日本じゃないんだし、体調管理は特に気をつけろよ」
「彼女に看病してもらったんだよな」
金子が横から茶々を入れてくる。
嫁候補を紹介されるのが面倒なので、直樹は恋人がいると社内で公言している。勿論、性別は明言していないので、周囲は勝手に「彼女」だと勘違いしてくれている。
クリスマスの首尾をしつこく聞いてきた金子に、看病されたことだけは話してあった。
金子は下世話だが仕事はできる男だし、同じ大学の先輩なので、逆らいづらい。
体育会系の悲しい性だ。
「それは彼女的にも嬉しいイベントだっただろうな」
支社長の言葉が意外で、直樹は首を傾げる。
「逆じゃないですか? クリスマスを台無しにしたのが申し訳なくて。週末はひたすら謝り倒しました」
「彼女、怒ってたか?」
「いえ、それが全然」
直樹は首を振った。
イブの日は、二人で買い出しに行って、ちょっといいワインや肉なんかを買って、一緒に料理して食事して、DVDを見て、夜は濃密に愛し合おうと思っていた。
その計画を近間も楽しみにしてくれていて、DVDは俺が選ぶと張り切っていたのに。
イブの前日に体調の異変を感じ、朝になっても起き上がれなかった時は自分を殴りたくなった。
年末処理に加え、年明けすぐにバンコク出張を控えているので、いつにも増して働きすぎていた自覚はある。
近間は優しい人だ。
何も言わずに看病してくれ、熱が下がった時には心底ほっとしたという顔をしていた。
それでも、計画が台無しになったことは残念に思っているだろうと、直樹が土下座する勢いで謝り続けていると、「これ以上謝ったら怒る」と足蹴りをかましてきた。
「謝ったら逆に怒られました」
「だろ? 愛だな愛」
支社長はしたり顔で頷く。
「はあ」
曖昧に頷く直樹に後輩の石野が言う。
「俺の妹も、彼氏が風邪引いた時、めっちゃ嬉しそうに看病に出かけてましたよ」
「そういうものですか」
それは女性でなくてもそう思うのだろうか。
直樹は看病された経験もなかったし、看病した経験もない。
看病ネタで盛り上がっていると、うな重が運ばれてきた。
シンガポールで一番と言われる竹葉亭の鰻だ。病み上がりでも全然ウェルカムだ。
てりてりの鰻に全員が歓声を上げる。支社長が年末の挨拶と直樹達若手社員への激励を述べ、お茶で乾杯した。
うな重を堪能しながら年末年始の予定や仕事の話をしていると、店の扉が開いた。なんとはなしに入口を見た直樹は箸を落としそうになる。
「近間さん」
思わず声に出てしまった。
不審そうにどうかしたかと訊く金子に、何でもないと誤魔化しながら、近間に視線を送る。
近間の方も気づいたのか、驚いた顔をしてから口の端だけ上げてみせた。
連れは欧米系の男3人だ。仕事の会食なのだろう。
支社長の仕事論に相槌を打ちながらも、近間が気になって仕方がない。
一方、2つ先のテーブルに座る近間の方は、直樹をちらりとも見ない。
穏やかに微笑んでいるが、ネイティヴとの英語での会話に神経を研ぎ澄ましているのが伝わってくる。
仕事をしている近間を見る機会は少ないので、新鮮だ。
当たり前だけど、外交官って感じだよなあ。
日本料理屋を選んでいるし、今日は近間がホストなのだろう。
日本の弾道ミサイル防衛について話しながら、うな重と江戸文化の説明もしている。
直樹のテーブルでは全員が食事を終え、デザートの冷やし白玉ぜんざいが運ばれてくる。
近間の方もシリアスな仕事の話は
終わったのか、楽しそうに雑談している。
誰かが冗談でも言ったのだろう。笑いが弾けると同時に、隣に座っている男が近間の背を撫でた。
ざらりと気分がささくれ立ち、直樹は唇を噛む。
手はすぐに離れたし、外国人のスキンシップの多さは知っている。
それでも嫌な気持ちに代わりにはない。
金髪に緑の目をした俳優のような男前だ。
注意して見ていると、事あるごとに近間の肩を叩いたり、背を撫でたりしている。
直樹はぎりりと奥歯を鳴らす。すぐにでも駆け寄っていて、気安く触るなとその手を払いたいが、できるはずもない。
やがて、近間が席を立った。手洗いと一緒に会計を済ませるのだろう。
竹葉亭はインターコンチネンタルホテルの1階にあるため、ホテルのトイレを利用することになる。店を出る近間の後を追いかけ、直樹はトイレへ入った。
「近間さん」
「偶然だったな。なに、おまえもトイレなの?」
近間は呑気に答えた。その腕を取り、強引に個室へ連れ込み、鍵をかける。
「なんだよ、仕事中だぞ」
直樹がふざけていると思ったのだろう。笑いながら抗議する近間を壁に押し付けた。
「隣にいた奴、誰ですか」
低い声で問うと、近間の顔から笑いが消える。
「隣? ああ、アルベールはフランス大使館の空軍武官だよ。あとの2人はアメリカとイギリスの……んっ」
説明する近間の唇を塞いだ。舌で唇をこじ開けようとすると、全力で身体を押し返される。
「やめろ。怒るぞ。おまえ、どうしたんだよ」
「簡単に、触らせないでください」
搾り出すように言うと、不機嫌の原因を察した近間は、大きく息を吐いた。
「……あのなあ。ここ外国だぞ。世界中から来てる奴らと仕事してるんだ。ボディタッチとかハグとか頬合わせる挨拶とか、普通だろ。おまえだって、帰国子女なんだからよく知ってるだろ」
「でも、あの男はなんか嫌です。どう見ても触りすぎです。すみません、無茶苦茶なこと言ってるのは分かってるんです」
近間は呆れ切っている。
でも、嫌なものは嫌だった。
この人を、誰にも見せずに俺だけの籠の中に閉じ込めておきたい。
大きな翼で羽ばたくこの人を好きになったはずなのに、その翼をもぎ取りたいと思ってしまう。
「アルベールにはブリジットっていう美人の奥さんがいるよ。おまえ、俺のこともうちょっと信じろよ」
近間は手を伸ばすと、直樹の頬をぶにぶにと引っ張った。
「いひゃいれす……」
じゃれていると、人が入ってくる気配がした。
しかも、よく知っている声だ。
「やっぱ鰻サイコーだわ」
「支社長太っ腹っすよね」
金子と石野だ。男二人で個室に入っているとか、知られたら社会的に死ぬ。
直樹と近間は同時に息を詰めた。
金子達は呑気におしゃべりしながら、用を足している。
「そういえば、梶さんの彼女ってどんな人なんすか?」
「いや、俺も会ったことはないよ。時々話聞くだけ」
直樹はぎょっとする。
なんの話を始めるのだ、こいつらは。
「アイドルみたいな子と付き合ってそうですよね。梶さん、取引先の女の子達からもモテモテだし」
近間にじろりと睨まれ、天井を仰ぐ。
今すぐここから逃げ出したい。どこでもドアが欲しい。
「あいつ、スペックはいいからなあ。でも、今はその年上の彼女にメロメロみたいよ」
「うわー、なんかやらしいっすね。年上の女って」
「俺が話振ると、大体ノロけてくるからな。綺麗でカッコよくて可愛いとか。看病の話してた時も、優しくて天使みたいだとか言ってたし。聞いてる方が照れるわ」
居たたまれず、直樹は両手で顔を覆った。
なんの罰ゲームだよ、これ。恥ずかしくて死ぬぞ。
近間は近間で、俯いて耳まで真っ赤になっている。
金子に石野。覚えとけよ。
「羨ましいっす。俺も年上の彼女欲しい」
「はは。今度SQのCAと合コンあるから、おまえも混ぜてやるよ」
手を洗う音がして、ようやく二人はトイレを出ていく。
直樹と近間は、互いにゆでダコ状態で黙っていた。
なんかもう色々無理だ。恥ずかしい。
やがて、近間が顔を上げる。
目が合うと、同時に噴き出した。
「年上の彼女って誰?」
「あんた以外誰がいるんですか。彼女ではないですけど」
「羞恥プレイ極まるな」
「弊社社員が誠に申し訳ありません」
アンドロイド口調で言うと、近間は肩を震わせて笑う。
「天使って……おまえ、ほんと俺のこと好きなのな」
「大好きですよ。アルベールとやらに嫉妬するくらい」
「うん、嫉妬してろよ。されるの、嬉しいから」
軽く触れ合うだけのキスをして、時間差でトイレを出た。
12月28日の昼、支社長の招待を受けた直樹は、先輩の金子文隆や数名の若手社員と共に、竹葉亭シンガポール店を訪れていた。
注文を済ませた支社長が、正面に座る直樹を気遣うように見た。
「梶、体調はもう大丈夫なのか?」
近間の献身的な看病のおかげで、高熱は2日で下がったが、大事を取って1日休暇を取ったのだ。
「はい。休暇も頂いたし、もう完治しています。ご心配おかけしました」
「クリスマスに災難だったな。日本じゃないんだし、体調管理は特に気をつけろよ」
「彼女に看病してもらったんだよな」
金子が横から茶々を入れてくる。
嫁候補を紹介されるのが面倒なので、直樹は恋人がいると社内で公言している。勿論、性別は明言していないので、周囲は勝手に「彼女」だと勘違いしてくれている。
クリスマスの首尾をしつこく聞いてきた金子に、看病されたことだけは話してあった。
金子は下世話だが仕事はできる男だし、同じ大学の先輩なので、逆らいづらい。
体育会系の悲しい性だ。
「それは彼女的にも嬉しいイベントだっただろうな」
支社長の言葉が意外で、直樹は首を傾げる。
「逆じゃないですか? クリスマスを台無しにしたのが申し訳なくて。週末はひたすら謝り倒しました」
「彼女、怒ってたか?」
「いえ、それが全然」
直樹は首を振った。
イブの日は、二人で買い出しに行って、ちょっといいワインや肉なんかを買って、一緒に料理して食事して、DVDを見て、夜は濃密に愛し合おうと思っていた。
その計画を近間も楽しみにしてくれていて、DVDは俺が選ぶと張り切っていたのに。
イブの前日に体調の異変を感じ、朝になっても起き上がれなかった時は自分を殴りたくなった。
年末処理に加え、年明けすぐにバンコク出張を控えているので、いつにも増して働きすぎていた自覚はある。
近間は優しい人だ。
何も言わずに看病してくれ、熱が下がった時には心底ほっとしたという顔をしていた。
それでも、計画が台無しになったことは残念に思っているだろうと、直樹が土下座する勢いで謝り続けていると、「これ以上謝ったら怒る」と足蹴りをかましてきた。
「謝ったら逆に怒られました」
「だろ? 愛だな愛」
支社長はしたり顔で頷く。
「はあ」
曖昧に頷く直樹に後輩の石野が言う。
「俺の妹も、彼氏が風邪引いた時、めっちゃ嬉しそうに看病に出かけてましたよ」
「そういうものですか」
それは女性でなくてもそう思うのだろうか。
直樹は看病された経験もなかったし、看病した経験もない。
看病ネタで盛り上がっていると、うな重が運ばれてきた。
シンガポールで一番と言われる竹葉亭の鰻だ。病み上がりでも全然ウェルカムだ。
てりてりの鰻に全員が歓声を上げる。支社長が年末の挨拶と直樹達若手社員への激励を述べ、お茶で乾杯した。
うな重を堪能しながら年末年始の予定や仕事の話をしていると、店の扉が開いた。なんとはなしに入口を見た直樹は箸を落としそうになる。
「近間さん」
思わず声に出てしまった。
不審そうにどうかしたかと訊く金子に、何でもないと誤魔化しながら、近間に視線を送る。
近間の方も気づいたのか、驚いた顔をしてから口の端だけ上げてみせた。
連れは欧米系の男3人だ。仕事の会食なのだろう。
支社長の仕事論に相槌を打ちながらも、近間が気になって仕方がない。
一方、2つ先のテーブルに座る近間の方は、直樹をちらりとも見ない。
穏やかに微笑んでいるが、ネイティヴとの英語での会話に神経を研ぎ澄ましているのが伝わってくる。
仕事をしている近間を見る機会は少ないので、新鮮だ。
当たり前だけど、外交官って感じだよなあ。
日本料理屋を選んでいるし、今日は近間がホストなのだろう。
日本の弾道ミサイル防衛について話しながら、うな重と江戸文化の説明もしている。
直樹のテーブルでは全員が食事を終え、デザートの冷やし白玉ぜんざいが運ばれてくる。
近間の方もシリアスな仕事の話は
終わったのか、楽しそうに雑談している。
誰かが冗談でも言ったのだろう。笑いが弾けると同時に、隣に座っている男が近間の背を撫でた。
ざらりと気分がささくれ立ち、直樹は唇を噛む。
手はすぐに離れたし、外国人のスキンシップの多さは知っている。
それでも嫌な気持ちに代わりにはない。
金髪に緑の目をした俳優のような男前だ。
注意して見ていると、事あるごとに近間の肩を叩いたり、背を撫でたりしている。
直樹はぎりりと奥歯を鳴らす。すぐにでも駆け寄っていて、気安く触るなとその手を払いたいが、できるはずもない。
やがて、近間が席を立った。手洗いと一緒に会計を済ませるのだろう。
竹葉亭はインターコンチネンタルホテルの1階にあるため、ホテルのトイレを利用することになる。店を出る近間の後を追いかけ、直樹はトイレへ入った。
「近間さん」
「偶然だったな。なに、おまえもトイレなの?」
近間は呑気に答えた。その腕を取り、強引に個室へ連れ込み、鍵をかける。
「なんだよ、仕事中だぞ」
直樹がふざけていると思ったのだろう。笑いながら抗議する近間を壁に押し付けた。
「隣にいた奴、誰ですか」
低い声で問うと、近間の顔から笑いが消える。
「隣? ああ、アルベールはフランス大使館の空軍武官だよ。あとの2人はアメリカとイギリスの……んっ」
説明する近間の唇を塞いだ。舌で唇をこじ開けようとすると、全力で身体を押し返される。
「やめろ。怒るぞ。おまえ、どうしたんだよ」
「簡単に、触らせないでください」
搾り出すように言うと、不機嫌の原因を察した近間は、大きく息を吐いた。
「……あのなあ。ここ外国だぞ。世界中から来てる奴らと仕事してるんだ。ボディタッチとかハグとか頬合わせる挨拶とか、普通だろ。おまえだって、帰国子女なんだからよく知ってるだろ」
「でも、あの男はなんか嫌です。どう見ても触りすぎです。すみません、無茶苦茶なこと言ってるのは分かってるんです」
近間は呆れ切っている。
でも、嫌なものは嫌だった。
この人を、誰にも見せずに俺だけの籠の中に閉じ込めておきたい。
大きな翼で羽ばたくこの人を好きになったはずなのに、その翼をもぎ取りたいと思ってしまう。
「アルベールにはブリジットっていう美人の奥さんがいるよ。おまえ、俺のこともうちょっと信じろよ」
近間は手を伸ばすと、直樹の頬をぶにぶにと引っ張った。
「いひゃいれす……」
じゃれていると、人が入ってくる気配がした。
しかも、よく知っている声だ。
「やっぱ鰻サイコーだわ」
「支社長太っ腹っすよね」
金子と石野だ。男二人で個室に入っているとか、知られたら社会的に死ぬ。
直樹と近間は同時に息を詰めた。
金子達は呑気におしゃべりしながら、用を足している。
「そういえば、梶さんの彼女ってどんな人なんすか?」
「いや、俺も会ったことはないよ。時々話聞くだけ」
直樹はぎょっとする。
なんの話を始めるのだ、こいつらは。
「アイドルみたいな子と付き合ってそうですよね。梶さん、取引先の女の子達からもモテモテだし」
近間にじろりと睨まれ、天井を仰ぐ。
今すぐここから逃げ出したい。どこでもドアが欲しい。
「あいつ、スペックはいいからなあ。でも、今はその年上の彼女にメロメロみたいよ」
「うわー、なんかやらしいっすね。年上の女って」
「俺が話振ると、大体ノロけてくるからな。綺麗でカッコよくて可愛いとか。看病の話してた時も、優しくて天使みたいだとか言ってたし。聞いてる方が照れるわ」
居たたまれず、直樹は両手で顔を覆った。
なんの罰ゲームだよ、これ。恥ずかしくて死ぬぞ。
近間は近間で、俯いて耳まで真っ赤になっている。
金子に石野。覚えとけよ。
「羨ましいっす。俺も年上の彼女欲しい」
「はは。今度SQのCAと合コンあるから、おまえも混ぜてやるよ」
手を洗う音がして、ようやく二人はトイレを出ていく。
直樹と近間は、互いにゆでダコ状態で黙っていた。
なんかもう色々無理だ。恥ずかしい。
やがて、近間が顔を上げる。
目が合うと、同時に噴き出した。
「年上の彼女って誰?」
「あんた以外誰がいるんですか。彼女ではないですけど」
「羞恥プレイ極まるな」
「弊社社員が誠に申し訳ありません」
アンドロイド口調で言うと、近間は肩を震わせて笑う。
「天使って……おまえ、ほんと俺のこと好きなのな」
「大好きですよ。アルベールとやらに嫉妬するくらい」
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