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謝罪
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季節が、静かに一つ進んでいた。
朝の光は以前より少しだけ強く、窓辺に落ちる影の輪郭もはっきりしている。
奏多はその影をぼんやり眺めながら、ゆっくりと呼吸を整えていた。
もう、胸を締めつけるような不安はない。
完全に消えたわけではないけれど、波のように押し寄せてくることもなくなった。
(……ちゃんと、今日を迎えてる)
それだけで、少しだけ誇らしい気持ちになる。
リビングの方から、カップを置く音がした。
桐谷が朝の準備をしている音だ。
この家で過ごす時間が「当たり前」になってきた証拠でもある。
「起きてるか」
ドア越しにかかる声。
「起きてる」
そう返すと、ドアが開いて桐谷が顔を出した。
以前のような張りつめた雰囲気はなく、落ち着いた目をしている。
何か変化があったとすれば、タメ口で話すことになったことぐらいだろう。
「今日は、外に出る」
唐突な一言だった。
奏多は一瞬だけ瞬きをする。
外、という言葉に、身体が強張ることも、もう少なくなった。
代わりに浮かんだのは、少しの緊張と、それ以上の好奇心。
「……どこか、用事?」
「ああ。俺の方の仕事だ。
ただ、留守番させるより、一緒に動いた方がいい」
命令ではない。
選択肢を渡す言い方だった。
奏多は少し考えてから、静かに頷いた。
「……行く。」
「そうか。なら準備しておけ。」
短く答える桐谷の声には、信頼が滲んでいた。
外出の準備をしながら、奏多は鏡の前に立つ。
自分の顔をしっかり見るのは、久しぶりだった。
過去の痛い名残はある。
でも、左目の奥には確かに“生きている今”が宿っている。
(……ここから、なんだ)
過去に戻るわけでもない。
無理に先へ進むわけでもない。
ただ、今の自分で、次の場所へ行く。
玄関で靴を履くと、桐谷が先に立って扉を開けた。
外の光が差し込み、風が一瞬だけ部屋に流れ込む。
「行くぞ」
その一言に、奏多は微笑みながら小さく頷いた。
一歩、外へ踏み出す。
それは逃避でも、強制でもない。
――自分で選んだ、次の章の始まりだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
車を降りた瞬間、空気が変わった。
建物の前に立つだけで、ここが“桐谷の場所”だと分かる。
人の気配は多くないのに、どこか張りつめた緊張が漂っている。
『なんか、すごく懐かしいなぁー。』
奏多は一度だけ深く息を吸い、足元を確かめるように一歩前へ出た。
「無理なら、すぐ戻るから、なんかあればすぐ言うんだぞ?」
隣に立つ桐谷が、低い声で言う。
視線は前を向いたままだが、奏多の様子を気にかけているのが伝わってくる。
「……大丈夫」
自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。
中へ入ると、視線が一斉に集まった。
露骨なものもあれば、さりげなく様子をうかがうものもある。
その中で、最初に気づいたのは――蓮さんだった。
「……奏多?」
一瞬、言葉を失ったような顔。
それから、信じられないものを見るように目を見開く。
「生きて……戻ってきたんだな
よかった、、、。」
蓮さんはそこまで感情を隠さないタイプだ。
だからこそ、その言葉には飾りがなかった。
奏多は小さく頷く。
「……はい。お久しぶりです。」
声はまだ完全ではないが、蓮はそれを気にする様子もなく、
一歩距離を詰めてから、ふっと息を吐いた。
「……よかった。ほんとに」
その一言で、胸の奥に溜まっていた緊張が少しだけ解けた。
「心配かけてすみません。」
一方、部屋の奥で腕を組んでいた男が、ゆっくり近づいてくる。
長谷川だった。
以前と変わらない無表情。
感情を表に出さない分、何を考えているのか分かりにくい。
「……戻ったのか」
低く、淡々とした声。
「はい」
奏多が答えると、長谷川はじっとその顔を見つめた。
怪我の痕、体の細さ、立ち姿――
すべてを静かに確認するような視線。
「……すまなかったな、。」
それは意外な言葉だった。
奏多が一瞬驚いたように目を瞬かせると、
長谷川は視線を外し、続ける。
「前は……常に、どこかで自分を削っていた」
核心を突く言葉に、奏多の胸がわずかに揺れる。
桐谷が一歩前に出た。
「こいつは、今は俺の判断で動かしてる。
余計な詮索はするな」
長谷川はすぐに頷いた。
「承知しています。
ただ……顔を見ておきたかっただけです」
それだけ言うと、少しだけ頭を下げた。
よく見ると、長谷川の右の手の小指がなくなっていたー。
俗にいうけじめというやつだろうかー。
けれど、久しぶりに会った長谷川の仕草は、奏多を“部外者”ではなく、この場に戻ってきた一人として扱っている証だった。
蓮が空気を和らげるように言う。
「まあ、今日は顔見せにきてくれたんだろ?」
そう言って、奏多の方を見る。
「無理すんな。ここは逃げ場も多い」
冗談めかしてはいるが、本気の気遣いだった。
奏多は、ほんの少し口元を緩める。
「……ありがとう」
その様子を、桐谷は黙って見ていた。
奏多がこの場所で、誰かに受け入れられているのを確認するように。
***
その場がひと段落し、人の気配が少なくなった廊下で、奏多は桐谷の少し後ろを歩いていた。
足音が反響するたび、空気が研ぎ澄まされていく。
そのとき――背後から、低い声がかかった。
「……少し、いいか」
長谷川だった。
桐谷が一瞬だけ奏多を見る。
奏多は小さく頷いた。
「ここで待っている」
桐谷はそう言って数歩離れ、二人きりの距離をつくった。
長谷川は、廊下の窓際に立ったまま、しばらく何も言わなかった。
視線は外に向いていて、奏多の方を見ていない。
「……戻ってきたと聞いた時、正直、驚いた」
ようやく口を開いた声は、いつもの無機質さよりも低かった。
「助かったと聞いても、信じきれなかった。
お前は……あんな怪我を負ったら身体的にも、精神的にも、その、もう無理だろうと思ってた。」
その言葉に、奏多の胸が小さく揺れる。
否定も反論もせず、ただ黙って聞いた。
長谷川は、ゆっくりとこちらを向いた。
「言わば、全ての始まりは俺だ。」
視線が、真っ直ぐ奏多を捉える。
「ただ、悔しかったんだ。
たった一瞬でなりたかった場所を奪われたことが。」
淡々と語られる事実。
言い訳はなかった。
「結果として、お前を陥れた。
間違いに気づいた時には……あの状態だった」
長谷川は一度、深く息を吐いた。
「俺は、自分の判断を正しいと思い続けてきた。
けれど、もうその時点で俺はお前に負けてた。」
そして、静かに頭を下げた。
「……すまなかった」
その言葉は短く、はっきりとしていた。
曖昧さも、逃げもない。
奏多は一瞬、言葉を失った。
謝られることを、想定していなかったからだ。
「……僕は」
掠れた声で、ゆっくり言葉を選ぶ。
「長谷川さんを、責めるつもりはないです」
長谷川が顔を上げる。
「でも……忘れたわけでも、平気だったわけでもない」
正直な言葉だった。
それでも、声は不思議と震えていなかった。
「ただ……今は、生きてここにいる。
それだけで、精一杯で」
長谷川は、少しだけ目を細めた。
そして、ほんの一瞬だけ、ためらってから続ける。
「俺は、お前を見誤っていた。
弱いという意味ではない。
……耐えすぎる人間だという意味で」
その言葉は、評価でも同情でもなかった。
事実としての認識だった。
「これから先、俺は同じ判断をしない。
お前を含めて、守るべきものを後回しにしない」
奏多は、その言葉を静かに受け取った。
「……ありがとうございます」
そう答えると、長谷川は小さく頷いた。
「謝罪は、これで終わりだ。
許しを求めるつもりもない」
長谷川らしい区切り方だった。
桐谷が近づいてくる気配がする。
それに気づき、長谷川は一歩下がった。
「……戻ってきてくれて、良かった」
その一言だけを残し、長谷川は踵を返した。
奏多は、しばらくその背中を見送ってから、
ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥に、重く沈んでいたものが、
少しだけ形を変えた気がした。
「……話、できたか」
桐谷の声。
奏多は頷く。
「うん。ちゃんと……」
「そうか」
それ以上は聞かれなかった。
その距離感が、今は心地よかった。
二人は並んで歩き出す。
廊下の光は、来たときよりも柔らかく見えた。
――謝罪は、過去を消すためのものじゃない。
未来を、少しだけ変えるためのものだ。
奏多は、そう感じていた。
朝の光は以前より少しだけ強く、窓辺に落ちる影の輪郭もはっきりしている。
奏多はその影をぼんやり眺めながら、ゆっくりと呼吸を整えていた。
もう、胸を締めつけるような不安はない。
完全に消えたわけではないけれど、波のように押し寄せてくることもなくなった。
(……ちゃんと、今日を迎えてる)
それだけで、少しだけ誇らしい気持ちになる。
リビングの方から、カップを置く音がした。
桐谷が朝の準備をしている音だ。
この家で過ごす時間が「当たり前」になってきた証拠でもある。
「起きてるか」
ドア越しにかかる声。
「起きてる」
そう返すと、ドアが開いて桐谷が顔を出した。
以前のような張りつめた雰囲気はなく、落ち着いた目をしている。
何か変化があったとすれば、タメ口で話すことになったことぐらいだろう。
「今日は、外に出る」
唐突な一言だった。
奏多は一瞬だけ瞬きをする。
外、という言葉に、身体が強張ることも、もう少なくなった。
代わりに浮かんだのは、少しの緊張と、それ以上の好奇心。
「……どこか、用事?」
「ああ。俺の方の仕事だ。
ただ、留守番させるより、一緒に動いた方がいい」
命令ではない。
選択肢を渡す言い方だった。
奏多は少し考えてから、静かに頷いた。
「……行く。」
「そうか。なら準備しておけ。」
短く答える桐谷の声には、信頼が滲んでいた。
外出の準備をしながら、奏多は鏡の前に立つ。
自分の顔をしっかり見るのは、久しぶりだった。
過去の痛い名残はある。
でも、左目の奥には確かに“生きている今”が宿っている。
(……ここから、なんだ)
過去に戻るわけでもない。
無理に先へ進むわけでもない。
ただ、今の自分で、次の場所へ行く。
玄関で靴を履くと、桐谷が先に立って扉を開けた。
外の光が差し込み、風が一瞬だけ部屋に流れ込む。
「行くぞ」
その一言に、奏多は微笑みながら小さく頷いた。
一歩、外へ踏み出す。
それは逃避でも、強制でもない。
――自分で選んだ、次の章の始まりだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
車を降りた瞬間、空気が変わった。
建物の前に立つだけで、ここが“桐谷の場所”だと分かる。
人の気配は多くないのに、どこか張りつめた緊張が漂っている。
『なんか、すごく懐かしいなぁー。』
奏多は一度だけ深く息を吸い、足元を確かめるように一歩前へ出た。
「無理なら、すぐ戻るから、なんかあればすぐ言うんだぞ?」
隣に立つ桐谷が、低い声で言う。
視線は前を向いたままだが、奏多の様子を気にかけているのが伝わってくる。
「……大丈夫」
自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。
中へ入ると、視線が一斉に集まった。
露骨なものもあれば、さりげなく様子をうかがうものもある。
その中で、最初に気づいたのは――蓮さんだった。
「……奏多?」
一瞬、言葉を失ったような顔。
それから、信じられないものを見るように目を見開く。
「生きて……戻ってきたんだな
よかった、、、。」
蓮さんはそこまで感情を隠さないタイプだ。
だからこそ、その言葉には飾りがなかった。
奏多は小さく頷く。
「……はい。お久しぶりです。」
声はまだ完全ではないが、蓮はそれを気にする様子もなく、
一歩距離を詰めてから、ふっと息を吐いた。
「……よかった。ほんとに」
その一言で、胸の奥に溜まっていた緊張が少しだけ解けた。
「心配かけてすみません。」
一方、部屋の奥で腕を組んでいた男が、ゆっくり近づいてくる。
長谷川だった。
以前と変わらない無表情。
感情を表に出さない分、何を考えているのか分かりにくい。
「……戻ったのか」
低く、淡々とした声。
「はい」
奏多が答えると、長谷川はじっとその顔を見つめた。
怪我の痕、体の細さ、立ち姿――
すべてを静かに確認するような視線。
「……すまなかったな、。」
それは意外な言葉だった。
奏多が一瞬驚いたように目を瞬かせると、
長谷川は視線を外し、続ける。
「前は……常に、どこかで自分を削っていた」
核心を突く言葉に、奏多の胸がわずかに揺れる。
桐谷が一歩前に出た。
「こいつは、今は俺の判断で動かしてる。
余計な詮索はするな」
長谷川はすぐに頷いた。
「承知しています。
ただ……顔を見ておきたかっただけです」
それだけ言うと、少しだけ頭を下げた。
よく見ると、長谷川の右の手の小指がなくなっていたー。
俗にいうけじめというやつだろうかー。
けれど、久しぶりに会った長谷川の仕草は、奏多を“部外者”ではなく、この場に戻ってきた一人として扱っている証だった。
蓮が空気を和らげるように言う。
「まあ、今日は顔見せにきてくれたんだろ?」
そう言って、奏多の方を見る。
「無理すんな。ここは逃げ場も多い」
冗談めかしてはいるが、本気の気遣いだった。
奏多は、ほんの少し口元を緩める。
「……ありがとう」
その様子を、桐谷は黙って見ていた。
奏多がこの場所で、誰かに受け入れられているのを確認するように。
***
その場がひと段落し、人の気配が少なくなった廊下で、奏多は桐谷の少し後ろを歩いていた。
足音が反響するたび、空気が研ぎ澄まされていく。
そのとき――背後から、低い声がかかった。
「……少し、いいか」
長谷川だった。
桐谷が一瞬だけ奏多を見る。
奏多は小さく頷いた。
「ここで待っている」
桐谷はそう言って数歩離れ、二人きりの距離をつくった。
長谷川は、廊下の窓際に立ったまま、しばらく何も言わなかった。
視線は外に向いていて、奏多の方を見ていない。
「……戻ってきたと聞いた時、正直、驚いた」
ようやく口を開いた声は、いつもの無機質さよりも低かった。
「助かったと聞いても、信じきれなかった。
お前は……あんな怪我を負ったら身体的にも、精神的にも、その、もう無理だろうと思ってた。」
その言葉に、奏多の胸が小さく揺れる。
否定も反論もせず、ただ黙って聞いた。
長谷川は、ゆっくりとこちらを向いた。
「言わば、全ての始まりは俺だ。」
視線が、真っ直ぐ奏多を捉える。
「ただ、悔しかったんだ。
たった一瞬でなりたかった場所を奪われたことが。」
淡々と語られる事実。
言い訳はなかった。
「結果として、お前を陥れた。
間違いに気づいた時には……あの状態だった」
長谷川は一度、深く息を吐いた。
「俺は、自分の判断を正しいと思い続けてきた。
けれど、もうその時点で俺はお前に負けてた。」
そして、静かに頭を下げた。
「……すまなかった」
その言葉は短く、はっきりとしていた。
曖昧さも、逃げもない。
奏多は一瞬、言葉を失った。
謝られることを、想定していなかったからだ。
「……僕は」
掠れた声で、ゆっくり言葉を選ぶ。
「長谷川さんを、責めるつもりはないです」
長谷川が顔を上げる。
「でも……忘れたわけでも、平気だったわけでもない」
正直な言葉だった。
それでも、声は不思議と震えていなかった。
「ただ……今は、生きてここにいる。
それだけで、精一杯で」
長谷川は、少しだけ目を細めた。
そして、ほんの一瞬だけ、ためらってから続ける。
「俺は、お前を見誤っていた。
弱いという意味ではない。
……耐えすぎる人間だという意味で」
その言葉は、評価でも同情でもなかった。
事実としての認識だった。
「これから先、俺は同じ判断をしない。
お前を含めて、守るべきものを後回しにしない」
奏多は、その言葉を静かに受け取った。
「……ありがとうございます」
そう答えると、長谷川は小さく頷いた。
「謝罪は、これで終わりだ。
許しを求めるつもりもない」
長谷川らしい区切り方だった。
桐谷が近づいてくる気配がする。
それに気づき、長谷川は一歩下がった。
「……戻ってきてくれて、良かった」
その一言だけを残し、長谷川は踵を返した。
奏多は、しばらくその背中を見送ってから、
ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥に、重く沈んでいたものが、
少しだけ形を変えた気がした。
「……話、できたか」
桐谷の声。
奏多は頷く。
「うん。ちゃんと……」
「そうか」
それ以上は聞かれなかった。
その距離感が、今は心地よかった。
二人は並んで歩き出す。
廊下の光は、来たときよりも柔らかく見えた。
――謝罪は、過去を消すためのものじゃない。
未来を、少しだけ変えるためのものだ。
奏多は、そう感じていた。
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