2 / 23
彼と彼女の前前世
-2-彼の馬鹿な前前世
しおりを挟む
「麗!麗...頼むから...一生に一度の頼みだから目を開けてくれ...!」
道路の真ん中で冷たくなった彼女の手を握り、必死に叫ぶ。
俺が殺した。
そんな罪悪感が今更に重く積もる。
「愛してるんだ...」
失って初めて気づいた、感情。
俺は数分前の自分を刺し殺してやりたくなった。
まさか、親友との何気ない会話であんなことを聞かれると思ってなかったのだ。
こんなのは言い訳にもならいと思うが、好きなのだと、図星を言われ慌てて気が動転してしまったのだ。
なんでも言うことをいつもそつなくこなしてくれる麗が今だけは何も聞いてくれない。
いや、これからも。
俺はその事実が嫌でも、麗の、息がないことに気付かされ、その場で泣き続けることしかできなかった。
◇
情けない。自分が憎くてしょうがない。
どうして俺に悪口を言われただけで麗があんなにも動揺して、死んでしまったのか。
それは亡くなった麗の日記でわかったことだった。
いや、よく考えれば分かったことだった。
4月4日
今日も社長はカッコいい。私なんて目にも止まっていないだろうけど、もしかしたら秘書だから、情くらいはあるのかもしれない。告白して必死に頼んだら一度くらいは食事に行けるかもしれない。まあ、私に告白する勇気なんてないんだけども。
4月5日
今日は部下に押し付けられた仕事を社長が手伝ってくれた。あの子、ちょっと男慣れしている感じでちょっと苦手だから、あまり会話したくなくて受け取ってしまったけど、社長と一緒に残業して仕事できたから感謝しよう。
4月5日
今日は飲み会があった。運良く社長の隣の席になれたけど、次はどうなんだろう。もし社長の隣に可愛い女の子が座っていたら嫉妬してまた社員を怖がらせてしまうかもしれない。だから本当は二人で飲みたかった、なんてことはここだけの秘密である。
4月6日
今日は社長がとてもやる気だ。やっぱり仕事ができる人はいいなと思う。わたしは言われた仕事をこなすのが精一杯で、人の面倒まで見てあげられる社長に憧れる。いつか社長と一緒になれたら...なんて思わないから、社長に少しでも近づければいいな、なんで思った。
...俺は読むのが辛くなってここで日記を閉じてしまった。
読むたびに罪悪感が募り、恋い焦がれる。
自分はなんて馬鹿なことをしたんだろう。俺がもっとこの感情にさえ気づいていれば彼女が死ぬことはなかった。
いくら恋焦がれても彼女がこの世に戻ってくることはない。
2人で飲みたいならいくらでも行ってあげればよかった。
苦手な部下がいるなら、言ってくれればよかった。
なんて後悔も、今になってみればなんの役にもたたない。
なぜなら、彼女はもうここにはいないのだから。
自分に言い聞かせるように放ったその言葉は、何よりも重く心にのしかかっていった。
◇
それから俺は何をするにも気力が起きず、あれだけ色んな人や、麗に褒められた仕事にも手がつかなかった。
病は気から、と言う言葉通り、何も気力が起きない俺はあっという間に病気に蝕まれた。
そして、そのまま蝕まれるまま抵抗せず、俺は麗が亡くなってから半年という時が経とうとしたときに眠くなった。
この眠りが、いつもの睡魔でなく、もう二度と起きれない、抗えない強制的な眠りであることに俺は気付きながらも、もうこんな世界に用はないと、いつも通り抵抗することなくあっけなく眠りについたのだった。
道路の真ん中で冷たくなった彼女の手を握り、必死に叫ぶ。
俺が殺した。
そんな罪悪感が今更に重く積もる。
「愛してるんだ...」
失って初めて気づいた、感情。
俺は数分前の自分を刺し殺してやりたくなった。
まさか、親友との何気ない会話であんなことを聞かれると思ってなかったのだ。
こんなのは言い訳にもならいと思うが、好きなのだと、図星を言われ慌てて気が動転してしまったのだ。
なんでも言うことをいつもそつなくこなしてくれる麗が今だけは何も聞いてくれない。
いや、これからも。
俺はその事実が嫌でも、麗の、息がないことに気付かされ、その場で泣き続けることしかできなかった。
◇
情けない。自分が憎くてしょうがない。
どうして俺に悪口を言われただけで麗があんなにも動揺して、死んでしまったのか。
それは亡くなった麗の日記でわかったことだった。
いや、よく考えれば分かったことだった。
4月4日
今日も社長はカッコいい。私なんて目にも止まっていないだろうけど、もしかしたら秘書だから、情くらいはあるのかもしれない。告白して必死に頼んだら一度くらいは食事に行けるかもしれない。まあ、私に告白する勇気なんてないんだけども。
4月5日
今日は部下に押し付けられた仕事を社長が手伝ってくれた。あの子、ちょっと男慣れしている感じでちょっと苦手だから、あまり会話したくなくて受け取ってしまったけど、社長と一緒に残業して仕事できたから感謝しよう。
4月5日
今日は飲み会があった。運良く社長の隣の席になれたけど、次はどうなんだろう。もし社長の隣に可愛い女の子が座っていたら嫉妬してまた社員を怖がらせてしまうかもしれない。だから本当は二人で飲みたかった、なんてことはここだけの秘密である。
4月6日
今日は社長がとてもやる気だ。やっぱり仕事ができる人はいいなと思う。わたしは言われた仕事をこなすのが精一杯で、人の面倒まで見てあげられる社長に憧れる。いつか社長と一緒になれたら...なんて思わないから、社長に少しでも近づければいいな、なんで思った。
...俺は読むのが辛くなってここで日記を閉じてしまった。
読むたびに罪悪感が募り、恋い焦がれる。
自分はなんて馬鹿なことをしたんだろう。俺がもっとこの感情にさえ気づいていれば彼女が死ぬことはなかった。
いくら恋焦がれても彼女がこの世に戻ってくることはない。
2人で飲みたいならいくらでも行ってあげればよかった。
苦手な部下がいるなら、言ってくれればよかった。
なんて後悔も、今になってみればなんの役にもたたない。
なぜなら、彼女はもうここにはいないのだから。
自分に言い聞かせるように放ったその言葉は、何よりも重く心にのしかかっていった。
◇
それから俺は何をするにも気力が起きず、あれだけ色んな人や、麗に褒められた仕事にも手がつかなかった。
病は気から、と言う言葉通り、何も気力が起きない俺はあっという間に病気に蝕まれた。
そして、そのまま蝕まれるまま抵抗せず、俺は麗が亡くなってから半年という時が経とうとしたときに眠くなった。
この眠りが、いつもの睡魔でなく、もう二度と起きれない、抗えない強制的な眠りであることに俺は気付きながらも、もうこんな世界に用はないと、いつも通り抵抗することなくあっけなく眠りについたのだった。
10
あなたにおすすめの小説
あなたのためなら
天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。
その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。
アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。
しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。
理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。
全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。
初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
【完結】身代わりとなります
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
レイチェルは素行不良の令嬢として悪名を轟かせている。しかし、それはレイチェルが無知ゆえにいつも失態をしていたためで本人には悪意はなかった。
レイチェルは家族に顧みられず誰からも貴族のルールを教えてもらわずに育ったのだ。
そんなレイチェルに婚約者ができた。
侯爵令息のダニエルだ。
彼は誠実でレイチェルの置かれている状況を知り、マナー講師を招いたり、ドレスを作ってくれたりした。
はじめは貴族然としている婚約者に反発していたレイチェルだったがいつのまにか彼の優しさに惹かれるようになった。
彼のレイチェルへの想いが同情であっても。
彼がレイチェルではない人を愛していても。
そんな時、彼の想い人である隣国の伯爵令嬢フィオラの国で革命が起き、彼女は隣国の貴族として処刑されることが決まった。
そして、さまざまな思惑が交錯する中、レイチェルは一つの決断を下し・・・
*過去と未来が行ったり来たりしながら進行する書き方にチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんがご了承ください。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる