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彼と彼女の前世

-1-彼女の前世

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皆様も『早く物語進めてほしい』と思っていると思うので、前世の話は彼視点も含め、6話とさせて頂きます。本当はもっと長く焦らそうかと思ったんですが...。まあ、それは置いておいて一日何話更新できるか分からないですが、頑張ります!お気に入りと感想いただけると励みになります、よろしくお願いします。



そして次に目覚めたのは見覚えのないところだった。

見慣れた照明はなく、あるのは見たこともない不思議なランプ。

もしかして。

なんて言葉が脳裏をよぎったが、慌てて頭を振った。

(そんなライトノベルみたいな、死んだら転生しちゃった!みたいなことあるわけないよね)

と、盛大なフラグは本当に回収されるらしい。

私の手は幼い赤子のような手をしていて、部屋は本の中で見た中世ヨーロッパのような部屋だった。

「え...あいえ?(え...まじで?)」

私はまだあいうえおしか喋れない口で、生まれて初めて喋ったのだった。



それから特に何もいうことなくわたしはすくすく育った。

そう、現在5歳!

まだゆっくりだが、完璧に喋れるようになったのだ。

「お父様、おはようございます。今日も素敵ですね。」

毎日はここから始まる。

朝、着替えて朝食を取るために食堂に集まる。

 お父様いわく、普通の貴族は専属の侍女が着替えやら、なんやらをしてくれるそうだが、私たち家族は公爵家なので甘えた箱入り娘のようになってはいけないと、厳しく教育されるらしい。

 いやまあ、確かにそうだ。馬鹿な箱入り娘が誕生して代々受け継がれた公爵家が潰れるなんてあってはならない。

厳しく教育されるのもわかる。

...でもねぇ。

厳しく、かぁ。

わたしはなんだか胸に突っかかりを覚えた。



その胸の突っかかりがなんなのか...私は本を読んで考えないことにしていた。

でもそれは本を読むことで逆に分かってしまったのだ。

私が今読んでいるのは、ざまぁが目的のファンタジー小説。

ファンタジーと言っても、この世界では普通なわけで、魔法とかもバリバリあるみたいだから、ここの世界では現代小説とも呼べる。

まあそんな小説の主人公は、馬鹿な1人の男に恋をしていたのだが、その男が他の女に走ったせいで気付かされる。

『私は自由になりたいのだ』

と。

終わった恋に、けじめをつけて、また新しい恋なんかを探して、自分の思うままに生きてみたいと主人公が草原のなかたった一人で気付くのだ。

そんな1人に寄り添う影。

それは主人公の隠された婚約者だった。

その彼から自分に婚約者がいたことを知らされ、そこから恋がスタートする。

そして2人が付き合うことになって物語は終わる。

私は大事そうにその本を抱えて嬉しげにベットに飛び込んだ。


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