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ご飯作りだよ!!①
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というわけで、翌朝...
またあの食卓を囲むことになったのだが、やっぱりまずいものはまずかった。
そして、多分私を溺愛しているであろうお父様にこんな無茶振りを申し込んだ。
「お、お父様!私、お料理がしてみたいです!実は、日頃のお礼をお父様やお母さまにしたくて、それで、お礼をするときは気持ちが一番大事だって聞いたことがあったので!」
...いや、聞いたというより読んだが正解だがな。
と、そんなことは置いておいて...
「ああ...!やっぱり、リリーはなんていい子なんだろう、親思いの世界一可愛い娘だよ、でも料理は危なくないか...?」
お父様は目にうるうる感動の涙を溜めながらお母様(?)を見る。
「そうねぇ...でもきっといい経験になるわ。怪我なんて魔法でチャチャっと治せると思いますしね?リリーのやりたいことをやればいいと思うわ、お母様は」
な、なんて素敵な大人なんだ...
久しぶりにホワイトな人を見た気がする。
どうしてこんなにもホワイト人たちから真っ赤な衣装を纏ったブラックな悪役が生まれてきたのか...謎である。
お兄様はホワイトな攻略対象だというのに。
.....ん?
お兄様は攻略対象?
そうだったぁぁぁぁ!
わたしには兄がいたんだった、
食事するときわたしとお母様とお父様しか居なかったから完全に忘れてたけど...私を悪役として断罪する一人のメンバーだったはず、そうして、その親友として立ち、私の断罪するための材料のほとんどを提供するのが....
「レイモンド....」
公爵家のお嬢様に長らく使える、執事。
それは、一人しかいないわけで...
◇
...これ呑気にご飯がまずいとか言ってられるのか?
「どうされました、お嬢様?」
「ひぃっ!」
「....」
「な、なんでもないのよ」
「そ、そうですか...」
レイモンド、まあ訳してレイは訝しげな目線を私に向けるが、それ以上は追求しないでいてくれた。
「はぁ...」
「お嬢様、流石に、ため息ばかりだと気になるんですが」
もうこれで何回目のため息だと言わんばかりにレイが私に少しきつめに行ってくる。
「ご、ごめんなさい....大したことじゃないのよ」
「どうしてそこでお嬢様が謝るんですか...まあ私で良ければ、話、聞きますけど」
「...怖い夢を見たの」
「...」
なんて答えていいのか考えている様子だ。
「子どもっぽいんですね」
そして言った後に私の様子を探るように見る。
「別にそれくらいで怒ったりしないわ。ただ、その夢が、本当に起こるんじゃないかって、不安になって...」
「...どんな、夢、ですか」
おずおずと珍しくレイが弱気にそっと聞く。
「私が、いろんな悪いことを働いて、それが皆んなの怒りを買ってしまって、ひどい目に遭う夢....」
「みんなとは、だれ、ですか」
「その中には貴方もいたわ。冷たい目で、誰一人も信じてくれなくて」
きっとアニメの中のリリアンナはこんな気持ちだったのだろう。
確かに悪いことはしたけど、それを複数人で返すのはいじめだ。
「っ...。私は...」
レイが苦しげに何かを訴えようとしてくる。
「ごめんなさい。暗くさせてしまったわね。所詮夢だわ、私、そんなこたより、お料理がしたいの。貴方も手伝ってよね」
私は半端無理やりに話題を変えたのだった。
またあの食卓を囲むことになったのだが、やっぱりまずいものはまずかった。
そして、多分私を溺愛しているであろうお父様にこんな無茶振りを申し込んだ。
「お、お父様!私、お料理がしてみたいです!実は、日頃のお礼をお父様やお母さまにしたくて、それで、お礼をするときは気持ちが一番大事だって聞いたことがあったので!」
...いや、聞いたというより読んだが正解だがな。
と、そんなことは置いておいて...
「ああ...!やっぱり、リリーはなんていい子なんだろう、親思いの世界一可愛い娘だよ、でも料理は危なくないか...?」
お父様は目にうるうる感動の涙を溜めながらお母様(?)を見る。
「そうねぇ...でもきっといい経験になるわ。怪我なんて魔法でチャチャっと治せると思いますしね?リリーのやりたいことをやればいいと思うわ、お母様は」
な、なんて素敵な大人なんだ...
久しぶりにホワイトな人を見た気がする。
どうしてこんなにもホワイト人たちから真っ赤な衣装を纏ったブラックな悪役が生まれてきたのか...謎である。
お兄様はホワイトな攻略対象だというのに。
.....ん?
お兄様は攻略対象?
そうだったぁぁぁぁ!
わたしには兄がいたんだった、
食事するときわたしとお母様とお父様しか居なかったから完全に忘れてたけど...私を悪役として断罪する一人のメンバーだったはず、そうして、その親友として立ち、私の断罪するための材料のほとんどを提供するのが....
「レイモンド....」
公爵家のお嬢様に長らく使える、執事。
それは、一人しかいないわけで...
◇
...これ呑気にご飯がまずいとか言ってられるのか?
「どうされました、お嬢様?」
「ひぃっ!」
「....」
「な、なんでもないのよ」
「そ、そうですか...」
レイモンド、まあ訳してレイは訝しげな目線を私に向けるが、それ以上は追求しないでいてくれた。
「はぁ...」
「お嬢様、流石に、ため息ばかりだと気になるんですが」
もうこれで何回目のため息だと言わんばかりにレイが私に少しきつめに行ってくる。
「ご、ごめんなさい....大したことじゃないのよ」
「どうしてそこでお嬢様が謝るんですか...まあ私で良ければ、話、聞きますけど」
「...怖い夢を見たの」
「...」
なんて答えていいのか考えている様子だ。
「子どもっぽいんですね」
そして言った後に私の様子を探るように見る。
「別にそれくらいで怒ったりしないわ。ただ、その夢が、本当に起こるんじゃないかって、不安になって...」
「...どんな、夢、ですか」
おずおずと珍しくレイが弱気にそっと聞く。
「私が、いろんな悪いことを働いて、それが皆んなの怒りを買ってしまって、ひどい目に遭う夢....」
「みんなとは、だれ、ですか」
「その中には貴方もいたわ。冷たい目で、誰一人も信じてくれなくて」
きっとアニメの中のリリアンナはこんな気持ちだったのだろう。
確かに悪いことはしたけど、それを複数人で返すのはいじめだ。
「っ...。私は...」
レイが苦しげに何かを訴えようとしてくる。
「ごめんなさい。暗くさせてしまったわね。所詮夢だわ、私、そんなこたより、お料理がしたいの。貴方も手伝ってよね」
私は半端無理やりに話題を変えたのだった。
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