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第一章

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「俺のさ、性奴隷にならない?」

αの人から出た衝撃の言葉。

「え?」

性....奴隷?

何言っちゃってんのこの人。

「頭大丈夫ですか?」

「ちっ。」

ん?今なんか舌打ちが聞こえたような聞こえたような...。

「ヤですよ」

「Ωに人権なんてないんだろ?なら俺がもらってやるって言ってんだよ」

ぐっ...確かに人権はなくても...

「社会的地位が一番低いだけで、奴隷になんてなりませんっ!!」

私がぷんぷん怒ると男はイラついたように、鋭く私を睨んでこう言い放った。

「理解しろよ。俺が責任取ってやるって言ってんだぞ?お前にYes以外の答えはないんだよ。それとも無理やりされたい?」

「ひっ」

殺意にも似たイラつきに私はびくっと体を震わせ、蛇に睨まれたカエルのようにピタリと動かなくなり息を止める。

「わかったか?」

にこりと不気味に笑う。


——怖い。

でもそんなこと思っても助けてくれる人はどこにもいなかった。

「...はい」

私は泣きながら無理やり笑顔を作って答えて見せた。
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