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第一章
いち
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「ん...」
次に目覚めたのは白い天井。
まだ体の熱は引いていない。
「ふわぁぁぁぁ...」
大きくあくびをもらす。
そして私を覗きこむ一つの影。
ぼやけていた視界がだんだんとハッキリ見え始める。
そこに見えたのは整った顔立ちの、チャラそうな金髪のお兄さん。
私からはそう見えるけど、世間的に言えば王子様とやらなのかな?
んんん?
整った、顔立ち?
...
もしかして、
α?
「え?」
「気づくのが遅えよ。」
「まじですか?」
「当たり前だろ。俺みたいなイケメンがβにいてたまるか。」
すごい自信だけど...
まあαなんてこんなものなのか。
「それで?なんでΩがここにいるわけ?」
「・・・・」
固まること数秒。
「ええええええええええ!?」
私、16年間偽ってきたΩがバレたようです。
「うるせえよ!俺の耳を壊す気か!」
「ご、ごめんなさい...」
怒鳴りつけられるように怒られ、少ししゅんとしてしまう。
「いや、別に...というか、バレてないと思ってたのか?」
「だ、だって16年間も私は隠し通してきたのに...」
「ヒートの状態であんな人目につくところにいれば誰でも気付くだろ。」
「ヒートって、あのヒート?」
「そのヒート以外に何があるんだよ」
ヒートとは、Ωの発情期のことである。
...今までヒートなんて一度も起きたことがなかった、なのに、どうして今...
せめて家の中で起きたなら薬を使えたのに...
私は顔を真っ青にしてαを見上げる。
「ごめん...」
αはどうしてか私に謝っている。
「どうして謝るんですか?」
「っ...だから、その、ヤッた。」
「え?」
「だーかーら!!!お前がヒートになってて、それで抑えられなくて犯したんだよ...!」
そういえば、と思い出す。
ヒートの状態のΩにαは引き寄せられ、発情すると聞いている。
...
私はそこでようやっと自分の体の状態に気づいた。
下半身はどろどろに、白っぽい液体でぐちょぐちょになっており、下腹部はまだ訴えるような痛みと、うずきが混じっている。
「...あ...私...まだキスもしたことなかったのに...」
そう思うとボロボロ涙が溢れてくる。
前世も含め、ずっと処女だったのだ。
前世かろうじて、唇を合わせるだけのキスを一度したことがあっただけの、乙女だったのだ。
それなのに、なんで。
「...悪かった...」
「っく、ふぅ...ぐすん」
そして私は十分間という間声をできるだけ押し殺しながら泣いたのだった。
◇
私が泣き止んで、αの人は罪悪感を感じているのか、重たい表情だ。
「もういいです...気にしては...居ますけど...どうせΩに人権なんてありませんから」
「...人権、か。」
何が言いたいのだろうか。
「なあ。」
「?」
「俺のさ...性奴隷にならない?」
正直、襲われたと聞いた時より驚きましたとも。
次に目覚めたのは白い天井。
まだ体の熱は引いていない。
「ふわぁぁぁぁ...」
大きくあくびをもらす。
そして私を覗きこむ一つの影。
ぼやけていた視界がだんだんとハッキリ見え始める。
そこに見えたのは整った顔立ちの、チャラそうな金髪のお兄さん。
私からはそう見えるけど、世間的に言えば王子様とやらなのかな?
んんん?
整った、顔立ち?
...
もしかして、
α?
「え?」
「気づくのが遅えよ。」
「まじですか?」
「当たり前だろ。俺みたいなイケメンがβにいてたまるか。」
すごい自信だけど...
まあαなんてこんなものなのか。
「それで?なんでΩがここにいるわけ?」
「・・・・」
固まること数秒。
「ええええええええええ!?」
私、16年間偽ってきたΩがバレたようです。
「うるせえよ!俺の耳を壊す気か!」
「ご、ごめんなさい...」
怒鳴りつけられるように怒られ、少ししゅんとしてしまう。
「いや、別に...というか、バレてないと思ってたのか?」
「だ、だって16年間も私は隠し通してきたのに...」
「ヒートの状態であんな人目につくところにいれば誰でも気付くだろ。」
「ヒートって、あのヒート?」
「そのヒート以外に何があるんだよ」
ヒートとは、Ωの発情期のことである。
...今までヒートなんて一度も起きたことがなかった、なのに、どうして今...
せめて家の中で起きたなら薬を使えたのに...
私は顔を真っ青にしてαを見上げる。
「ごめん...」
αはどうしてか私に謝っている。
「どうして謝るんですか?」
「っ...だから、その、ヤッた。」
「え?」
「だーかーら!!!お前がヒートになってて、それで抑えられなくて犯したんだよ...!」
そういえば、と思い出す。
ヒートの状態のΩにαは引き寄せられ、発情すると聞いている。
...
私はそこでようやっと自分の体の状態に気づいた。
下半身はどろどろに、白っぽい液体でぐちょぐちょになっており、下腹部はまだ訴えるような痛みと、うずきが混じっている。
「...あ...私...まだキスもしたことなかったのに...」
そう思うとボロボロ涙が溢れてくる。
前世も含め、ずっと処女だったのだ。
前世かろうじて、唇を合わせるだけのキスを一度したことがあっただけの、乙女だったのだ。
それなのに、なんで。
「...悪かった...」
「っく、ふぅ...ぐすん」
そして私は十分間という間声をできるだけ押し殺しながら泣いたのだった。
◇
私が泣き止んで、αの人は罪悪感を感じているのか、重たい表情だ。
「もういいです...気にしては...居ますけど...どうせΩに人権なんてありませんから」
「...人権、か。」
何が言いたいのだろうか。
「なあ。」
「?」
「俺のさ...性奴隷にならない?」
正直、襲われたと聞いた時より驚きましたとも。
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