婚約者が何か企んでいるようなので逃げたいんですが...

新田 ゆえ

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一話

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私はこの家での厄介者。

その証拠に私の部屋は使用人と同じ大きさで、家具も必要最低限のベットと椅子とテーブルしかないの。

外に出ることすら許されない...。

だというのに、私は名ばかりの王太子殿下の婚約者でもある。

いつも態度は素っ気なくて冷たいけど、根は優しくて、本当にいい人。

そんな殿下が私の好きな人。

どんなに嫌われていてもどんどん好きになっていく。

これはもしかしたら恋じゃないのかもしれない。

執着なのかもしれない。

でもやっぱり恋かもしれない。

幸せになれるというなら一生殿下に会えなくても私は納得するだろう。

それで殿下が幸せになれるのなら安いものだ。



お兄様も私を嫌っている。

というか、家族全員が私を嫌っている。

お父様も、お母様も、お兄様も、妹のカトリーヌも。

そしてお兄様は殿下の親友でもある。

だからお兄様が私のことを嫌いでも、殿下の親友だから嫌えない...いや、心の中では心底嫌ってるけど態度に出せないんだよね...

心の中で留めておいてる。

お兄様は何を考えているか分からないし、相当の女好き...噂の中では私までもが手を出されたという噂もある。

いや、正確には、私がお兄様に手を出した、という方が正しい。

いや、本当はしてないよ?

してないけど、勝手にそんな噂すらも立てられるのである。

この噂も含め、お兄様のせいだと思っている。

だって私は部屋にこもっているだけだと言うのにどうして私が悪いみたいな言い方をされなきゃいけないのだ。

きっとお兄様がそんな噂を勝手に流したに違いないわ。

お兄様は私の居場所を全部なくする気なんだ。

社交界からも、きっと殿下の隣からもいなくさせられる気なんだ。



もう一年は殿下にあってない。

会いたいなぁ...

——バンっ

そして扉が急に開かれる。

「お嬢様、殿下が本日お訪ねになられるそうです」

「わかりました」

「では」

この使用人も、私を嫌っているのだろう。

明らかに舐めきった態度だ。

ノックもせずに部屋に押し入り、失礼しましたの礼もない。

「ふふふ、ははははは」

私の口から乾ききった笑い声が出た。



久しぶりに殿下に会える。

それだけで私の気分はルンルンだ。

いつくるのかな?

そぉーっと部屋から出てみる。

「あ、」

殿下だ!

ん?どこに行くんだろう。

ダメだとわかっていながら、後をつけてしまう。

...お兄様の部屋....

そっか、殿下は私じゃなくて、お兄様に会いにきたんだ...

期待していた数分前の私がとても馬鹿らしく思えた。

「.....本当なのか?.......メアリーが......」

私の名前が聞こえてピクッと反応する。

「ああ..............だ。.............がいい」

扉越しであまり聞こえない...

私は気づかれるのが嫌で、そっと部屋に戻った。



1時間後、私の部屋に殿下は来た。

きっとついでなんだよね...

殿下は私の部屋についても何も言わなかった。

微塵すらも興味がないという現れなのかな...

それからは特に話すこともなく、雑談して終わった。





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