婚約者が何か企んでいるようなので逃げたいんですが...

新田 ゆえ

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二話

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王太子ジークフリード視点

メアリーの兄であり、俺の親友であるリックから苦しげに告げられた衝撃の事実...

メアリーはもう乙女ではない、つまり、処女ではないのだ、と...

リックは、メアリーに強力な媚薬を盛られ、処理しないと精神病にかかると脅され仕方なく手を出した。

しかも、すでに経験済みだったそうだ...。

信用していたのに。

可愛くて、好きで好きでしょうがなかったのに。

だから俺とリックは計画し始めた。

一年ぶりにメアリーの家を訪れた今日から、だ。



それは、メアリーを俺に依存させて婚約破棄して、絶望させるというとても最低な計画だったというのに。

初日からいきなり優しくするのは変に思われるだろうから、だんだん優しくして行って、「あれ?こいつ私のこと好きなんじゃね?」と思わせるのだ。

優しくするのは計画のためだから。

他に意味はない。

そう自分にそっと言い聞かせておいた。



それからはだんだん態度を変えて行った。

笑顔を見せ、気遣うようになった。

いつもなら冷たくする態度も、とびきり甘やかすかのように。

そうしているうちに、どうして今まで冷たく接していたのか不思議になってきた。

どうして...あんな態度をとっていたんだろう?

本当に不思議だ...。



俺の態度が変わっていくにつれ、彼女の態度も前より柔らかくなった気がする。

褒めてあげれば花が咲いたかのように笑うし、少し触れればリンゴのように真っ赤に染まる。

「可愛い...」

無意識に呟かれたその言葉に俺は自分しかる。

ダメだ。

メアリーは実の兄にまで手を出す最低な女なんだ...依存させるどころか、自分が依存してどうする。

でも、メアリーも同じく俺に依存してきているはず...

俺は心のどこかで暗い喜びを感じていた。



今日はまたメアリーの家...でリックに計画の進行具合を伝えに来ていた。

「どう?ちょっとは依存し始めてるか?」

「あぁ。まだ完全じゃないが、アレは元々俺のことが好きだったんだと思うぞ」

多分絶対違うことを思わず口に出す。

そんなわけあるか。

冷たくされて好きになるとかそれ相当だぞ。

そんなそぶりは一度も見たことないしあり得ないだろ。

ちょっと調子に乗ったかも。

「ほお...もうそろそろ婚約破棄してもいいかもな。結婚してもいい年頃なんだから、わざと2人っきりのところで呼び出して適当に婚約破棄してくれ」

(は...?)


そっか、こんな計画がなかったら、リックからそんなことを聞かされなければ俺らは今頃結婚してたのか...

不意にメアリーがウエディングドレス姿で笑う妄想が頭に浮かぶ。

(綺麗、なんだろうな...)

もともと白くて、ほっそりした体型だから、フリルのついた真っ白なドレスが似合うだろう。

白いドレスは結婚式以外では着てはいけないというルールがある。

見たい...



ハッ、何を考えているんだ...俺は...

「すまない、とびっきり絶望させるならもっと、もっと依存させた方がいいと思うんだ。ほら、愛に限界はないだろ?だから少し考えさせてくれ」

「わかった」

結果、俺は大事なところで頷けず、逃げるような形になってしまった。
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