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二章 商品企画部のエリート部長は独裁者?
37話 そんなことしてへん!!
しおりを挟むその後、生放送はつつがなく終わった。
見た目の華やかさが反響を呼んで、大手SNSでは少しの間だがトレンド入りまで果たしたそうだ。
しばらくの売上アップは固いな、と鴨志田も希美を評価してくれた。仲川は、以来少し丸くなったらしい。
昇進への焦りが薄まったのだろう。
希美のおかげだ、と恵子には感謝された。
また社内では、店舗円滑化推進部もっと言うなら希美についての噂が広まっていた。
「……聞いた? 木原さんの話」
ただ今度は、好ましいものではないらしい。
同じビルに入っているコンビニで飲み物を買おうとしていると、女性社員の囁き合うような声が聞こえてくる。希美は商品棚の裏に隠れ、耳を立てた。
「あぁ、フェア企画の変更も成功させたんでしょ、たしか。やり手だよね」
「それがね、噂によるとあの仲川部長を誑かしたんだってさ。鴨志田さんにも色仕掛けしたとか。ほんと、すごいところ狙うよねぇ、それもイケメン二人ともなんて」
耳を疑う話だった。
希美は自分の身体を振り見る。
なにがとは言うまいが、すとんとしていた。
とても色香で惑わせそうにはない。
それに、彼氏ができたこともないのだ。今朝だって文鳥と戯れてきて、それで心を満たしてきた身である。
「そんなことしてへん!!」
いけないと分かりつつも、希美は叫んでしまった。
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