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恋をしよう
出会い(2)
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声は甘めのテノールか、それより少し高音。背は180センチ程はあるだろうか、羨ましい(佳亮は166しかないから、背丈に関してはコンプレックスの塊だ)。肌は白く、目深に被ったニット帽と口元まで覆っているマフラーの間にある瞳がやけに涼やかだ。前髪は重くて、分けている。襟足は眺め。髪色はこがねに近い茶色で、店内の照明に良く映えた。多少よれている感じがして、着ているコートの真っ黒なインナーも、真っ黒なアウターに真っ黒なインナーでボトムも黒のダメージジーンズなんてちょっとどうかと思うけど、それを補って余りある美貌の持ち主だと思った。
先刻(さっき)支払いに悪態を付いてしまった気持ちが、ちょっと押しやられる。人の第一印象というのは、なるほど顔からの情報が大きいのだなあ、と昔読んだ新聞記事を思い出してみたりした。
佳亮が拾ってやった一円玉までレジへ出してしまうと、黒いコートの人はビニール袋を受け取り(レシートは受け取らなかった)、ちょっとこっちを振り向いて会釈をしてきた。
(あ、いい人)
いいえ、気にしないで、のつもりで、佳亮もちょっとだけ手を振ってみた。直ぐに店員に声を掛けられたので、それはほんのちょっとの出来事だった。
先刻(さっき)支払いに悪態を付いてしまった気持ちが、ちょっと押しやられる。人の第一印象というのは、なるほど顔からの情報が大きいのだなあ、と昔読んだ新聞記事を思い出してみたりした。
佳亮が拾ってやった一円玉までレジへ出してしまうと、黒いコートの人はビニール袋を受け取り(レシートは受け取らなかった)、ちょっとこっちを振り向いて会釈をしてきた。
(あ、いい人)
いいえ、気にしないで、のつもりで、佳亮もちょっとだけ手を振ってみた。直ぐに店員に声を掛けられたので、それはほんのちょっとの出来事だった。
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