11 / 46
恋をしよう
予期せぬ展開(5)
しおりを挟む「…すみません、出過ぎた真似をして。これっきりなので、それは収めてください」
自嘲気味な笑みを浮かべる佳亮を、戸惑った薫子が見ている。それでも駄目なら、
「気持ち悪くて食べられないなら捨ててくれて構いません。僕が、お礼がしたかっただけなので…」
佳亮が言うと、薫子が口を開いた。
「そ、んな…。こんなことされたら、お姉さんお礼したくなっちゃうでしょ! 良いわ、杉山くん。明日はお仕事お休み?」
急に何を言い出すんだろう。確かに今日は金曜日で明日は休みだけど。
「それじゃあ、話は早いわ。貴方、明日、私の家に来なさい。そして料理を作って。私が食べて美味しいと言ってあげるわ」
ええっ、そんなの薫子に負担になるだけではないか。しかも「美味しいと言う」なんて決めつけている。
「大瀧さん、無理しないでください。僕なら卵を受け取っていただけるだけで良いので…」
「卵はもちろんありがたく頂くわ。でも、それとこれとは話が別よ」
別かなあ? 佳亮が首をひねると、薫子はこう言った。
「過去、どんな女の子に手料理を酷評されたのか知らないけど、今の世の中、料理が出来ない女だっていっぱいいるのよ。そう思ったら、料理のできる杉山くんは優秀なの! もっと自信持ってほしい」
ぐっとこぶしを握って薫子が力説する。でも、好きだった女の子に料理ができることを嫌がられた経験は、そう簡単には覆せない。
「兎に角! 明日、私の家に来なさい。そして、私の為に手料理を振舞って」
高い位置から見下ろされると、余計にノーとは言えない。佳亮は俯いて頷いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる