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恋をしよう
お味はいかが(1)-4
しおりを挟む「これは! 私の為に、佳亮くんが作ってくれたカレーなんだから、簡単でもなんでも、世界でひと品のものだよ! 美味しい…。肉を噛めばじゅわっと肉汁が口の中に広がるし、ニンジンは野菜の甘みが生きてる。玉ねぎがルーの辛さを引き立てていて、ジャガイモはカレーを吸って美味しく味付けされちゃってる! 憎いくらい美味しいわ、このカレー!」
そ、そこまで? でも今日はカレールウを使ったから、別に手が込んでいるわけじゃない。
「簡単なカレールウのカレーで此処まで盛り上がれる人も珍しいですよね。ブラウンソースから作ったんだったらいざ知らず」
「ぶらうんそーす? とは?」
もぐもぐと、気持ちよいくらいに食べ進めている薫子が、カレーを口に入れたまま聞いた。
ブランソースとは小麦粉をバターで炒めて作った茶色いルウをブイヨンで煮詰めたソースのことだ。フランス料理の基本のソースで、シチューや肉料理に使う。
「へええ! そんなものも作れるの!?」
「時間のある時なら作りますよ。味も調節できるので好みの味が出せます」
佳亮が言うと、薫子は更に、すごおい! と目を輝かせた。
「カレーを好みの味に調節するとか…! 神業!? いや? このカレーも十分美味しいよ!? これで十分じゃない!?」
「…そうですか…?」
佳亮が問うと、薫子は意気込んで、そうだよ! と叫んだ。
「ああ~、カレーひとつでもこの神業…。佳亮くんのご飯が毎日食べられたらもう天国じゃない!? いや、確実に天国だね! 私はそんな、天国に住みたい…! 佳亮くん、佳亮くんの料理は素晴らしいよ! みんなに誇っても良いと思う!」
たかがカレールウのカレーだけで大袈裟だな。でも、久しぶりに人に食べてもらう食事を作って楽しいと思えたかもしれない。
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