女装マニアな魔法使いが愛を伝道する

清十郎

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新井宏の章

第2話 下着泥棒

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(これまでのあらすじ……)

 少年には幼馴染の少女がいました。そして、いつしか、その少女に対して少年は恋心をいだいてしまいます。しかし、高校進学を控えたある時、少年は少女の車庫で古着として処分される少女の中学時代の制服を見つけてしまい、それを持ち帰ってしまったのでした。

**********

 二階建てのその家は、少年のいる道路からは、生け垣を挟んでこじんまりとした庭が広がっていました。

 少年はその生け垣の隙間を見つけると、その隙間から庭の中に侵入し、そろそろと庭を横断して建物側にたどり着いきました。

(はぁ、はぁ……、ふぅ……、はぁ、はぁ……)

 そこは、一階のリビングの大きなサッシに面した上がり台で、地面より一段高くコンクリートが打ちっぱなしで敷かれて作られており、恰好の物干し場になっていました。

 そしてそこには、その家の家人の多くの洗濯物が、まだ干されたままになっていました。

(はぁ……はぁ……んっ……はぁ……んんっ……)

(ドキン! ドキン! ドキン! ドキン! )

 なんと、少年はその洗濯物の干された物干しから、女性物の下着類を、音も立てずに次々と抜き取っていきました。

(はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……)

(ドキン! ドキン! ドキン! ドキン! )

 しかし、深夜の静寂の中では、衣類のカサカサとする衣擦れの音なき音にさえ、非常に神経を尖らせなければなりません。

 その少年が、現に今、行っている行為には、恐らくはその種の極端なまでの注意が求められる筈であります。

 それどころか、少年の中では消したくても絶対に消しようのない大きな心臓の音が、少年の呼吸すら止めてしまいそうな勢いで、少年の脳幹の中において、巨大な音で響いていました。

 圧し殺した筈の呼吸も、過呼吸かと思うほどに押さえようもなく荒くなってきていました。

(はっ……はっ……はっ……はっ……はっ……)

(ドクン! ドクン! ドクン! ドクン! )

 そして、そうした注意を払いつつ、その少年自身にとっても、ある程度の満足できる獲物を手にしたことを確認できたのでしょう。

 獲物を胸に抱えたまま、少年はゆっくりと後ずさりすると、侵入した時と同じ生垣の隙間から家の敷地を出て、隣の公園にある公衆トイレの中に入っていきました。

**********

(はぁ、はぁ、はぁ……、んん……、ふぅ~!)

 トイレの中で少年は、ようやくひとごこちついたように、大きく息をつきました。そして、トイレの白色燈の明かりの下で、今、取ってきたばかりの獲物を、ひとつひとつ、確認するかのように、しげしげと眺めていきます。

(はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……)

 実物を灯りの元で見て、それを実際に手にしていることで、少年はまた興奮で息を荒げ始めました。そして、無意識の内にそれらの獲物……衣類に自らの鼻先をこすりつけるように匂いをかぎいでいきます。

(はぁ……ふんふん……あぁぁ……ふんふん……はぁはぁ……ふんふん……)

 いかに、それらが女性の肌に密着している肌着であろうと、すでに洗濯済みのその繊維に女性の香りがあろう筈もありません。

 しかし、少年の鼻腔を通じて伝わるその香り、少年の家庭で使うものとは明らかに違うその家庭の洗剤や柔軟剤の香りが、根拠もなく、少年の興奮を誘っていました。

 ひょっとしたら、普通では不可能な、女性の肌着に顔を埋めて匂いをかぐという、そのあり得ない行為自体に、ただ興奮していただけなのかもしれません。

(はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……)

 ひととおり香りを楽しんだ少年は、次に、更なる変態的な行動に移りました。

 獲得した獲物の中でも、特に女性をシンボリックに表徴しているものを取り出しました。女性のふくよかな乳房を包み、秘密の花園を守る肌着、プラジャーとパンティです。

 少年はそのパンティとブラジャーを取り出すと、その生地の裏側に舌を這わせたのでした。

 それは、少年にとっての知り合いの少女が、僅か数時間前のこの日の日中に身につけていたであろう下着でした。

 恐らくは、その少女の乳房や秘所がじかに密着していたであろう部分を、自分が舐めるという倒錯的な行為に、自ら興奮しているのでしょう。

(はぁ、はぁ……れろれろ……はあ、はあ……んぐんぐ……はぁ……れろれろ……)

 次に、少年は更に唐突な行動に出てきました。なんと、その公衆トイレの洗面台の前で、着ているものをすべて脱ぎはじめたのです。

 恐らくは、少年にとっての予定の行動であったのかもしれませんが、きっと、自宅に帰るまでとても待ちきれなかったのでありましょう。

 それとも、自分の反道徳的犯罪行為がばれないように、コトが終われば洗濯物を元に戻すことを考えていたのでしょうか。

 いずれにせよ、少年は今からこの場所で思いを遂げたいようでした。激しく呼吸を荒げながらも、衣服を脱いでいる少年の表情は、歪んだ喜びに満ち溢れていました。

 そして、これから少女に変わるために不要な自分の男物の衣類は、洗面台の上にくしゃくしゃに丸めて置きました。

(はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、……ゴクッ、はぁ、はぁ、はぁ……)

 まず、パンティーに足を通すとゆっくりとそれを引き上げました。

 しかし、男子である彼の身体には、パンティーという女性用の下着と機能的に相容れないものが備わっています。

 少年は勃起するおのがモノをパンティーのクロッチの方に押し込みました。巾広いクロッチの少女の綿パンティーは優しく少年のそれを包み込み拘束しました。

「あぁぁぁ……、はぁぁぁん……、んんん……、アソコが……、ジンジンするぅ……」

 少女のパンティが少年の股間を優しく圧迫し、包みこみます。少年は、少女の手のひらで自分のモノを優しく押さえ込まれているかのような妄想で、恍惚とした表情で、官能に浸りこんでいました。

 膨らみを想定したマチのある男性用ブリーフでは決して得られない淫靡な感触です。

 次に少年は、ブラジャーに両手を通します。少女用らしい控え目な飾りレースのついたノンワイヤーの白いブラジャーです。

 ホックは2段2列でしたが、少年はこれが初めてとは思えないような慣れた手つきで、後ろ手になりながら背中のホックを上手に留めました。

 肩のストラップやブラのサイドなどに指を差し込んで、パチンパチンと、伸縮する部分のブラジャーの形を整える……とても初めてには見えない、慣れた手つきでした。

「はぁぁぁ……、あぁぁぁ……、締めつけが……、あぁぁぁ……、気持ちいい……」

 少年は、洗面台の鏡にうつるブラジャーを見ながら、カップやサイドに指を這わせています。下着姿の少女の体を、いやらしい手つきでまさぐっているかのような、鏡の中の自分の姿に、自ら興奮しているようでした。

「あぁぁぁ……、さわって……、もっとぉ……、はぁぁぁ……、さわってぇ……」

 そして、少年は再び下半身に移り、黒のスクールストッキングを穿きます。

 見た目にはどちらが前か後ろか分かりませんが、お尻側にタグがあるので容易に判別がつきました。それにストッキングの先端部分が縫い目になっているので、爪先をそれに合わせれば履きやすい筈です。

 少年もそんなことは既に承知の様子にて、履き方にまったく躊躇がありませんでした。

 手慣れた手つきでストッキングの片足部分を両手でたぐりこませ、ストッキングの先端に自らの足の爪先をあてがい、するすると上へと引き上げていきます。

 足全体を暖かく優しく包む軽い拘束感に、少年の喜びはますます増幅していきます。

「はぁ、はぁ、はぁ、……ふぅ~~。」

 続けて少年は紺のブルマを取り出しました。しばし、少年はブルマに顔を埋めて、その感触を堪能していました。

 特に、ブルマの股間を念入りに嗅いで舐めて、頭の中では、中学時代の体育の時間での、あの子の姿を思い浮かべているのかも知れません。その緩んだ口元からはヨダレが垂れていました。

 次に示した少年の行動は、もはや規定の路線です。少年は当たり前のように、濃紺のブルマに足を入れて、これを穿きましたた。

 これにより、少年の股間は、パンティー・ストッキング・ブルマと三重にしっかりと押さえつけられ、少女の股間と見分けられない程に膨らみは押さえつけられていました。

 ピッタリとパンティーとブルマを穿き終えた少年は、無言のまま頬を火照らせて股間の疼きの余韻を楽しんでいます。洗面台の鏡にうつるその下着姿を、いやらしい手つきで撫で回しながら、それをうっとりとして眺めています。

「あぁぁ……可愛い……ああん、そこぉ……さわってぇ……揉んでぇ……あぁぁ……」

 しかし、少年のこの妄想劇場はまだまだ終わりを告げることはありません。

 次に少年は白い清楚なスリップを広げます。胸元には控え目なレースがついていて、裾にはレースではなく別の白い生地をタック気味に切り替えて、フリルのように絞って縫い付け、可愛らしく裾をヒラヒラとさせています。

 そのスリップを、少年は頭からしゅるしゅると被り、ストラップを両肩に掛けるとストンと生地が落ちていきました。

 スリップのひんやりする感覚が、そしてつるつるすべすべする心地好い感触が、少年の全てを包み込んでいきます。その自らの姿をトイレの鏡に写し眺めて少年はうっとりとしていました。

 この気持ち良い官能の時間が永遠に続くことを夢見ながら、少年は今のこの時の幸せを全身で感じていたのでした。

**********

(おわりに)

 少年は、深夜、幼馴染の家の中庭に入り込み、洗濯物の物干しからその子の下着を盗みます。そして、公衆トイレの中でそれを着込んで女装し、背徳の悦楽をひとり楽しんでしまうのでした。
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